OBS Studio(以下OBS)でマイクに音声フィルターを追加している人も多いはずです。
フィルターは便利ですが、追加・設定しただけで終わっていないでしょうか。
その場合、効果がきちんと発揮されないケースがあるかもしれません。
じつは、フィルターを追加したらフィルターの順番を正しく変える必要があります。
- マイクにフィルターを追加する。
- フィルターの設定内容を変更する。
- フィルターの順番を変更する(例 : ノイズ抑制→リミッター)。
具体的なやり方を見ていきましょう。
関連OBSでマイク音質が悪い?改善すべき必須の方法【完全ガイド】
目次
フィルターの順番が重要な理由
上から順番にかかる
OBSでは、フィルターを追加すると上から順番に適用されていきます。
たとえば、
- ノイズ抑制
- コンプレッサー
というように並んでいる場合、最初に適用されるのはノイズ抑制です。そのつぎにコンプレッサーです。
参考OBS Audio Filter Guide(外部リンク)
順番が不適切だとどうなる?
では、フィルターの順番が不適切だとどうなるのでしょうか。音質に影響することがあるのです。
- 音質が悪くなる、不自然になる
- フィルターの効果が満足に発揮されない
この点、フィルターを新規に追加すると、新しいフィルターは下にどんどん追加されていきます。
しかし、フィルターは上から順番にかかっていくわけです。そこで、自分でフィルターの順番を変更しましょう。
ドラッグで並べ替え
並べ替えの方法は簡単です。フィルターを上下にドラッグしてください。
矢印アイコンでも同じことができます。
鉄板のフィルター順番
順番の一例
では、どのような順番がよいのでしょうか。残念ながら「確実にこれだ!」という順番はありません。
ただ、無難な設定例ならあります。あくまでも一例ですが、参考にしてください。
- ノイズ抑制
- ゲイン
- ノイズゲート(またはエキスパンダー)
- 3バンドイコライザー
- コンプレッサー
- リミッター
流れとしては、(1)ノイズを減らしてから(2)音量・音質を整えて、最後に(3)音割れを防ぐというイメージで並べています。
必ずしもこの順番である必要はありません。
また、ここに書いたフィルターをすべて使わなければいけないというわけでもありません。
最低2点だけ押さえればOK
2つだけ覚えておいてください。
- ノイズ抑制は最初に適用する(使うなら)
- リミッターは最後に適用する(使うなら)
覚えておくべきことはこれだけです。詳細は後述します。
各種フィルターの機能まとめ
フィルターの順番を考えるには、各種フィルターの機能・役割をある程度理解しておく必要があります。
そこで、OBSに標準で搭載されているフィルターを表にまとめました。
機能・役割 | |
ノイズ抑制 | 環境ノイズを減らしたいときに(例 : タイピング音) |
ゲイン | 音量を大きくしたいときに |
ノイズゲート | 一定以下の小さい音をカットしたいときに |
エキスパンダー | 一定以下の小さい音をカットしたいときに(より自然) |
アップワードコンプレッサー | 小さな音を大きくして、音の大小をそろえたいときに |
コンプレッサー | 大きな音を潰して、音の大小をそろえたいときに |
リミッター | 音割れを防ぎたいときに |
3バンドイコライザー | 低音・中音・高音の帯域を調整したいときに |
極性を反転する | 通常は使わない |
VST 2.x プラグイン | 音楽制作で使われるプラグインを使いたいときに |
この表を見れば、適用順番も理解しやすくなるはずです。
太字のフィルターは初心者にもおすすめです。設定が比較的容易で、効果もわかりやすいので、使ってみてください。

順番を考えるときのポイント
ノイズ抑制は最初に適用
ノイズ抑制は最初に適用します。したがって、いちばん上に配置しましょう。
なぜ最初に適用したほうがよいのかというと、事前に不要なノイズをカットしたほうが合理的だからです。
たとえば、ノイズ抑制とゲインを使うとします。
ゲイン→ノイズ抑制の順序だとおかしなことになります。
- ノイズを含んだ音を増幅してから、ノイズを除去することになる
- ノイズ抑制で満足にノイズを除去しきれなくなる
したがって、ノイズ抑制は最初に適用してください。
リミッターは最後に適用
つぎは、リミッターの順番を考えてみましょう。これは最後に適用したいので、いちばん下に配置します。
なぜ最後に適用するのかというと、リミッターは音割れを防ぐための防波堤として機能するフィルターだからです。
たとえば、ゲインとリミッターを使うとします。
このとき、リミッター→ゲインの順序だと問題があります。
- リミッターで抑えた音量を超えるリスクがある
- 歪んだような不快な音になることがある
というのも、リミッターはユーザー側で設定した音量の上限(しきい値)を超えたときに、その入力した音を抑え込んでくれます。
しかし、その後ゲインを適用することで音量が上がるわけです。すると、リミッターで設定した上限を超えてしまうかもしれません。
そうすると、リミッターの意味がなくなります。したがって、リミッターは最後に適用するのが鉄則です。
残りは好きにして
ノイズ抑制とリミッターのあいだの順番は、好きに設定してかまいません。
- 実際に明確な違いがあるとは限らない
- 各フィルターの設定内容のほうが大事
たとえば、3バンドイコライザーとコンプレッサー、どちらを先に適用すべきかは考えが分かれるところです。
また、ノイズゲートを使うとして、どの段階で適用すべきかも悩む部分です。
しかし、あまり気にしすぎる必要はありません。まずはノイズ抑制とリミッターの配置を意識してください。
マイク音質が悪いときは
フィルターの順番を変えたのにマイク音質が悪いと感じる場合、さまざまな原因が考えられます。
- 口元とマイクの距離・角度は適切か
- 部屋の反響音が入っていないか
- 身の回りにノイズ発生源はないか
- マイクの仕様・特性が関係していないか
- 音量設定は適切か
- OBSで内蔵マイクを選択していないか
- OBSのフィルター設定の内容は適切か
- Windows、アプリの設定は適切か
そこで、1個ずつ原因を潰していきましょう。必ずしもOBSの問題とは限りません。
マイク音質を向上する方法については、下記ページをご覧ください。


まとめ
OBSでは、フィルターは上から順にかかっていきます。フィルターの役割を考えつつ並べていきましょう。
ノイズ抑制とリミッターの配置さえ注意すれば、あとは自由でかまいません。
また、VSTプラグインを使っている場合も基本パターンは同じです。
マイク音声をモニタリングするか、または録画機能を使いつつ、フィルターの順番を決めてみてください。


2006年から15年以上、ゲーム実況のやり方の解説記事を書いています。書いた記事数は1,000本以上。ゲーム配信、ゲーム録画、動画編集の記事が得意です。
記事はていねいに、わかりやすく!ゲーム実況界の教科書をめざしています。