「Switchの画面をiPhone/iPadに映す方法はないの?」という疑問は、多くの人が1回は抱くかもしれません。
PCを所有していない、PCを購入する予定がない人にとっては、そのような方法があれば助かるでしょう。
では、実際のところどうでしょうか。
目次
結論 : 映せない(例外あり)
周辺機器・アプリがない
結論としては、Switchの画面をiPhone/iPadに映す方法は基本的にありません。
Switchの画面をiPhone/iPadに映すための周辺機器・アプリが事実上存在しないからです。後述するとおり例外はありますが、簡単な方法ではありません。
Switchのゲーム配信をしている人は、一般的にPCを使っています。
キャプチャーボードという「PC用」の周辺機器を用いて、Switchの画面を「PCに」映しているのです。
Switchのゲーム配信をしたいならPC + キャプチャーボードが必要、という点をまずは覚えておきましょう。PCが必要です。

iPadOS 17の登場で変わる?
ただ、2023年9月に「iPadOS 17」がリリースされました。
同バージョンでは、アップデートの目玉機能としてUVCがサポートされています。これにより、Switchの画面をiPadに映す方法が新たに誕生する運びとなりました。
キャプチャーボードは買わないといけませんが、「やろうと思えばできる」という状況にはなりました。
詳細は後述します。
USBケーブルで接続しても意味がない
近年のiPad/iPhoneにはUSB-C端子が搭載されています。たとえば下記製品です。
- iPad(第10世代)
- iPad mini(第6世代)
- 11インチiPad Pro(第4世代)
- iPad Air(第4世代)
- iPhone(第15世代)
しかし、iPadとSwitchをUSBケーブルで接続しても、Switchの画面をiPadに出力することはできません。
USBケーブルで物理的に接続することはできますが、それだけです。なにも起きません。
SwitchのUSB-C端子は、以下のような用途で使うためのものです。
- Switch本体の充電
- Joy-Con充電グリップの接続
- Proコントローラー(プロコン)の有線接続・充電
- 有線LANアダプターの接続
iOS/iPadOS用のキャプボがない
iPhone/iPadでの動作を保証するキャプチャーボードがありません。
GC550 PLUS | Game Capture HD60 S | GV-USB3/HD | |
製品画像 | |||
接続方式 | USB 3.0 | USB 3.0 | USB 3.0 |
エンコード方式 | ソフトウェアエンコード | ソフトウェアエンコード | ソフトウェアエンコード |
解説・レビュー | こちら | こちら | こちら |
備考 | 編集ソフト付属 | 低遅延 | 編集ソフト付属 |
iOS用のキャプチャーボードがあれば、iPhone/iPadの画面をSwitchに映せるでしょう。しかし、実際はない(に等しい)のです。
もし商品ページに「iPhone/iPad対応」と書かれてある製品があったとしても、それはiPhone/iPadで動作するという意味ではありません。
あくまでも「iPhone/iPadの画面を『PCに』映せますよ」という意味です。つまり、PCでの動作を前提としています。
アダプターは目的・機能が違う
iPhone/iPadには、アクセサセリーとして複数のアダプターが発売されています。しかし、これも意味がありません。
- Lightning - Digital AVアダプタ
- Lightning - USB 3カメラアダプタ
- USB-C Digital AV Multiport アダプタ
まず、1番めと3番めのアダプターは、iPhone/iPadの映像・音声を外部出力するための機器です。「外部出力」という点がポイントです。
たとえば、以下のような用途で使います。
- iPhone/iPadの画面を大画面TVに映したい
- iPhone/iPadとキャプチャーボードをHDMI接続し、画面をPCに映したい
では、2番めの「Lightning - USB 3カメラアダプタ」はどうでしょうか。
これもやはり意味がありません。同アダプターにはUSB端子が搭載されており、キャプチャーボードと接続すること自体はできます。
しかし、iOS用のキャプチャーボードが事実上存在しないため、接続してもiPhone/iPadでは動作しません。
同アダプターは以下のような用途で使います。
- 一眼カメラの写真をiPhoneに取り込む
- 一部のオーディオインターフェイス(例 : AG03)をiPhoneで使う
PCなしでミラーリングできない
Switchの映像・音声をiPhone/iPadにミラーリングできないのでしょうか。これができれば、iPhone/iPadでSwitchのゲーム配信ができます。
結論としては、できるにはできます。
しかし、PC + キャプチャーボードが必要です。かなり強引なやり方になりますが、たとえば以下のような手順になります。
- キャプチャーボードを使い、Switchの画面をPCに映す(音も出る)。
- ミラーリングアプリ「LetsView」をPC・スマホにインストールし、PCの画面をiPhone/iPadにミラーリングする。
- iPhone/iPadにPCの画面、Switchの画面が映る(音も出る)。
- iPhone/iPadでライブ配信を開始する(配信アプリが必要)。
ただ、PCがあるならわざわざiPhone/iPadでゲーム配信する意味はありません。画質・利便性の観点からすると、PCを使って配信したほうがよいでしょう。
つまり、この方法は実質的に無意味です。
解決策は?iPadについて
2023年9月時点ではまだ一般的な方法ではありませんが、iPadの場合はiPadOS 17以降でSwitchの画面を映すことができます。
必要なものは以下のとおりです。
- USB Type-Cポートを備えたiPad(USB-Cがないとダメ)
- iPadOS 17以上
- UVC対応のキャプチャーボード
- USB Type-Cに変換するケーブル(必要に応じて)
- キャプチャーアプリ(画面を映すアプリ)
用語が難しく感じるかもしれません。ここで決定的に重要なのは、キャプチャーボードが必要という点です。
すなわち、SwitchとキャプチャーボードをHDMIでつなぎ、キャプチャーボードとiPadをUSBでつなぎます。SwitchとiPhoneを直接接続するわけではありません。
注意点がとても多いので、初心者にはおすすめしません。もし興味がある場合は、外部サイトの下記記事を参照してください。
参考 iPadが実用的なHDMI入力の外部モニターになる iPadOS 17のUVCサポートで実現 実際に試してみた(外部サイト)
また、瀬戸弘司さんの解説動画もあります。
余談
苦肉の解決策になりますが、iPhone/iPadで動作する「FEBON iCAPTURE」(外部リンク)という海外製品があります。
この製品はAmazonでは売られていませんし、筆者は使用経験はありません。動画を見た範囲で少し話をさせてください。
まず、FEBON iCAPTUREのほかに、以下のアクセサリーが必要です。
- Lightning端子を搭載するiPhone/iPadの場合 : Lightning - USB 3カメラアダプタ
- USB-C端子を搭載するiPadの場合 : USB-Cハブ
iPhone/iPadにアクセサリーを接続し、そのうえでアクセサリーのUSB端子にFEBON iCAPTUREを接続しましょう。
注意が必要なのは、公式サイトによると遅延が100ms(0.1秒)ある点です。
これだけ遅延が大きいと、iPhone/iPadに映っている画面を見ながらプレイするのは厳しいと言わざるをえません。アクション系のゲームやシューティング系のゲームは、タイミングが合わず操作しづらいはずです。
上記動画では遅延を回避するため、さらにHDMI分配器を追加で用意しています。Switchの映像・音声をモニター・FEBON iCAPTUREに分配出力し、遅延のないモニター側を見てプレイしています。
このあたりの話は難しいかもしれません。手間がかかります。
まとめ
基本的に、Switchの映像・音声をiPhone/iPadにする方法はないものと思ったほうがよいでしょう。
FEBON iCAPTUREについては、初心者がいきなりこれを使ってゲーム配信するのは困難を伴います。そもそもネット上に日本語の情報がほぼありません。
iPadについてもまだ情報が少なく、知見が増えるのを待ったほうが無難です。
私たち初心者がSwitchのゲーム配信をするのであれば、PC + キャプチャーボードを用意するのが無難です。
