OBS Studio(以下OBS)の音声モニタリング機能について見ていきましょう。
ここでいう「音声モニタリング」とは、OBSが入力した音を自分で確認するときに使う機能のことをさしています。
- モニター(monitor) : 監視すること
- モニタリング(monitoring) : 同上
同機能を使わなくても配信はできるのですが、配信している音を自分でも聞きたいときに適宜使うことがあります。
Windows用の解説です。
便宜上、ライブ配信を前提にしていますが、録画の場合も基本的に同じです。
目次
どんなときに使うのか
音声モニタリングを使うのはどのようなときでしょうか。代表的なケースは3つ考えられます。
マイクの音質を確認したい
ゲーム配信ではマイクを使って自分の声を入れるわけですが、マイクの音質などを確認したいことがあります。
そこで、マイクテストの一環としてマイクの音をモニタリングするのです。
マイクに向かって声を入れると、少し遅れて自分の声が返ってきます。こうすることでマイクの音質をほぼリアルタイムで確認できます。
確認が終わったら「モニターオフ」に戻しましょう。
ゲーム機の音を聞きたい
これは、PC周辺機器であるキャプチャーボードを購入した場合に該当します。つまり、Switchなどのゲーム配信をやりたい場合の設定です。
「映像キャプチャデバイス」を追加してOBSにゲーム機の画面を映すわけですが、初期設定ではゲーム音が自分に聞こえません(視聴者には聞こえる、動画にも音は入る)。
ではどうするのかというと、一例として「映像キャプチャデバイス」の音声モニタリングをONにするのです。
そうすると、PCからゲーム音が出て自分にも聞こえるようになります。つまり、OBSに映っているゲーム画面を見つつ、PCから出ているゲーム音を聞きながらプレイできるというわけです。
動画の音を聞きたい
PCのHDD/SSDに保存してある動画を視聴者に見せたい場合、「メディアソース」を追加することで画面を映せます。
ただ、音声モニタリングをONにしないと初期設定では自分に音が聞こえません。つまり、画面はOBSに映っているのに、動画の音は自分に聞こえない(視聴者には聞こえる)という状態です。
そこで、自分でも音を聞きたい場合に「メディアソース」の音声モニタリングをONにします。
なお、メディアソースについては下記ページをご覧ください。
モニタリングデバイスを設定する
どこからOBSの音を出すのか
まず前提として、「モニタリングデバイス」の設定を行いましょう。重要な部分です。
- 「設定」→「音声」の順にクリックする。
- 「モニタリングデバイス」を「既定」にする。
- 「OK」をクリックする。
モニタリングデバイスとは、OBSで音をモニタリング(再生)するときに使う機器のことです。
たとえば、ノートPCにUSBヘッドセットを接続していて、マイク音(自分の声)をUSBヘッドセットから出して聞きたいとします。
このとき「モニタリングデバイス」の設定が適切であれば、モニタリングしている音はUSBヘッドセットから聞こえてきます。
しかし、設定が不適切だとノートPC内蔵のスピーカーから音が出てしまい、USBヘッドセットからは音が出ません。
つまり、OBSの音をどの機器から出して聞きたいのか決めるのが「モニタリングデバイス」の設定なのです。
「既定」にしておく
では、どのような設定にすればよいのでしょうか。
通常は「既定」にしておいてください。「既定」とは、ふだん私たちがPCで音を出して聞くのに使っている機器のことをさしています(既定のデバイス)。
たとえば、(配信外で)USBヘッドセットから音を出してゲームをプレイしたり、YouTubeの動画を見ているとしましょう。
このとき、OBSの「モニタリングデバイス」を「既定」にしておけば、OBSの音「も」USBヘッドセットから出ます。
つまり、USBヘッドセットで音声モニタリングできます。
しかし、「既定」以外の機器にすると、USBヘッドセットからOBSの音が出ない(自分に聞こえない)ケースが出てくるかもしれません。
モニタリングデバイスが複数あるPC環境の場合、意図的に「既定」以外を選ぶケースもあるにはあるのですが、私たち初心者は「既定」にしておいたほうが無難です。
音声モニタリングの画面を開く
音声モニタリングするには、「オーディオの詳細プロパティ」という設定画面を開きましょう。
▲ここに歯車アイコンがない場合は、上部メニューバー「編集」→「オーディオの詳細プロパティ」でも開けます(バージョン28.0以上で同アイコンが表示)。
設定画面の見方ですが、たとえばマイク音をモニタリングしたい場合は「マイク」の「音声モニタリング」の部分に着目します。
つまり、音声モニタリングしたい項目を横方向に見ていき、その項目の「音声モニタリング」の設定を変更するようにしてください。
設定を変更する
「音声モニタリング」の設定は3種類から選べます。必要に応じて変更しましょう。
説明 | 配信への影響 | 重要度 | |
モニターオフ | 初期設定 | なし | A |
モニターのみ(出力はミュート) | 音を自分で聞きたいときに | 配信には乗らない | A |
モニターと出力 | 音を自分で聞きたいときに | 配信にも乗る | C |
モニターオフ
初期設定では「モニターオフ」になっています。
これは、配信者自身が音声をモニタリングしない、音を聞かない設定です。意外かもしれませんが、「モニターオフ」でも配信に影響はありません。
たとえば、キャプチャーボードを使用しているときに「モニターオフ」の設定だったとして、配信者自身にはゲーム音は聞こえないのに視聴者には聞こえるというケースがあるかもしれません。しかし、それで正常です。
基本は「モニターオフ」にしておき、必要に応じて「モニターのみ(出力はミュート)」に変更すればよいのです。
モニターのみ(出力はミュート)
音声モニタリングしたいときは、「モニターのみ(出力はミュート)」にしましょう。
モニタリングはするけれども、音声は配信に乗せないという設定なので、その意味で「モニターのみ」という表現になっています。
「出力はミュート」という表現からすると、選んではいけないようなイメージを持つかもしれません。
しかし、ほかの音声設定が正しくできているなら(←重要)、「出力はミュート」で問題ないのです。
もし「モニターのみ(出力はミュート)」ではなく、「モニターと出力」にした場合、モニタリングデバイスの設定によっては音が二重になってしまうことがある点に注意してください。
なお、「デスクトップ音声」は「モニターのみ(出力はミュート)」にしません。出力をミュートにすると、PCゲームなどのデスクトップ音声を流せなくなるからです。
モニターと出力
では、「モニターと出力」はどのような設定かというと、これは音をモニタリングしつつ、配信に乗せる設定です。
通常、「モニターと出力」にする機会は多くありません。これを使うことがあるとすれば、たとえばキャプチャーボード使用時にゲーム音だけ入れたいという場合など限られた場面です。
どうしても「モニターと出力」にする必要がある場合は、OBSの「デスクトップ音声」を無効にするか、ミュートにしましょう。
または、「モニタリングデバイス」の設定(上述)を変えます。「既定」以外の、完全に別のオーディオ機器を選んでください。
「モニターと出力」はうかつに選ぶと音が二重になるので、注意が必要です。
聞こえないときは?
音声モニタリングしているのに音が聞こえない場合、問題の切り分けをしましょう。
具体的には、レベルメーターが動いているか確認します。音を入れながら目的のレベルメーターを見ます。
- マイク
- 映像キャプチャデバイス
- メディアソース
もし動いているにもかかわらず音が聞こえない場合は、以下の2点を見直してください。
- 「モニタリングデバイス」の設定(上述)
- 「オーディオの詳細プロパティ」の「音声モニタリング」の設定(上述)
どちらも問題ないならOBSを再起動します。
それでも問題が解決しないときは、OBSを終了し、その状態でPCから音が聞こえる状態をめざします。OBSの音声モニタリングの設定は正しいのですが、OBSとは関係ないところでつまずいています。
もしレベルメーターが動いていない状態で音が聞こえない場合は、キャプチャーボード関連、またはマイク関連の設定・接続をそれぞれ見直しましょう。
2006年から15年以上、ゲーム実況のやり方の解説記事を書いています。書いた記事数は1,000本以上。ゲーム配信、ゲーム録画、動画編集の記事が得意です。
記事はていねいに、わかりやすく!ゲーム実況界の教科書をめざしています。
コメント
この設定だと、音量バランスの調整ができない感じですよね?
音声モニタリングをゲーム機などの音声をPCで聞くために使っているのでしょうか。
変則的な使い方なので正しい用途を先に説明した方が良いかと思います。
音量バランスの調整は、実際のライブ配信で自分で確認するか、録画するかになります。
変則的な使い方というのはどのような点でしょうか?
音声モニタリングの目的については、冒頭で「どんなときに使うのか」の部分に
書いたとおりです。