PCゲームをキャプチャーソフトで録画したさい、音ズレを経験したことはないでしょうか。
音ズレは、映像と音声のタイミングがズレている状態のことです。
よくあるパターンとして
- 動画が長いほど音ズレしやすい
- 動画前半では問題ないのに、じょじょに途中から音ズレする
- 動画の後半になるほど大きく音ズレする
といった傾向があります。
その音ズレの原因は、ひょっとしたら動画がVFRという方式で録画されていることが原因かもしれません。
音ズレの直し方について簡単に見ていきましょう。
目次
CFRとVFR
音ズレを直すうえで覚えておきたいキーワードが2つあります。CFRとVFRです。
フレームレートについて
まず前提として、フレームレートの意味について確認しておきましょう。
動画はパラパラマンガと同じで、画像をすばやく切り替えて表示しています。その結果、画像が動いているように見えます。
▲出典 : 『スーパーマリオワールド』(任天堂)より
そして、1秒間に何枚の画像を表示しているのかを表すのがフレームレートです。単位はfpsです。
- 1秒間に30枚の画像を表示 → 30fps
- 1秒間に60枚の画像を表示 → 60fps
30fpsよりも60fpsの動画のほうが滑らかに動きます。比較動画を作りました。
▲出典 : 『スーパーマリオワールド』(任天堂)より
CFRは一定
ここからが本題です。
フレームレートは本来、1秒間に表示される画像はどの区間も一定です。たとえば、30fpsの動画であれば、動画の最初から最後まで1秒間に30コマあります。
これをCFR(Constant Frame Rate/固定フレームレート)といいます。
VFRは変動
しかし、CFRだとファイルサイズが大きくなるというデメリットがありました。
そこで登場したのがVFR(Variable Frame Rate/可変フレームレート)です。同方式の場合、1秒間に表示される画像数は一定ではありません。変動します。
たとえば、動画のとある区間では1秒間に30コマ表示するけれども、動きが少ない別区間では20コマ表示に減らします。
VFRは音ズレの原因に
ファイルサイズの観点からは効率がよいVFRですが、音ズレに注意しましょう。
VFRの動画を「再生」するだけなら問題ないかもしれません。しかし、動画を編集ソフトで読み込んだとき音ズレが発生する可能性があります。
なぜなら、大半の編集ソフトはVFRに対応していないからです。VFRに対応した編集ソフトは「Premiere Pro」など少数派です。
そこで、VFRの動画では編集時に音ズレが問題になります。
ファイルサイズ | 動きの滑らかさ | 動画編集ソフトとの相性 | |
CFR | 大 | 一定 | ◯ |
VFR | 小 | 変動 | × |
なお、Premiere Proは2018年のアップデートでVFRに対応しましたが、完璧に対処できるわけではないようです。
その動画はVFR?確認しよう
では、音ズレが起きている動画はVFRでしょうか。調べてみましょう。
VFRになるキャプチャーソフト
PCゲームを自分で録画した場合、VFRかCFRかの判別は簡単です。
以下のキャプチャーソフトで録画したのであればVFR動画です。
- ShadowPlay(GeFroce Experience)
- 新ShadowPlay(NVIDIAアプリ)
- Xbox Game Bar
- Steamクライアント(ゲームレコーディング機能)
Bandicamについては、設定画面を開いて確認してみてください。初期設定だとVFRですが、CFRに変更している可能性もあります。
- 「ビデオ」→「設定」の順にクリックする。
- 「フレームレート」横の「…」をクリックする。
- 「VFR使用」「CFR優先」のどちらが選択されているか確認する。
なお、OBS Studioで録画したのであればCFR動画です。
Mediainfoで確認
動画がVFRなのかCFRなのか知りたいとき、いちばん確実なのはMediainfoで確認する方法です。
ダウンロード・インストール方法は以下のとおりです。
- 公式サイトにアクセスする。
- 「ダウンロード」をクリックする。
- ダウンロードしたファイルをダブルクリックする。
- 画面を順に進めていく。
つぎにMediainfoを起動しましょう。
- 画面下の「スタート」ボタン(窓アイコン)をクリックする。
- 「すべてのアプリ」をクリックする。
- 画面を下にスクロールし、「Mediainfo」を探してクリックする。
Mediainfoが起動したら簡単な初期設定を行います。
- 「言語」を「日本語」にする。
- 「出力形式」を「ツリー」にする。
- 「エクスプローラーに統合 (ファイルの右クリックメニューに登録)」にチェックが入っていることを確認する。
- 「OK」をクリックする。
あとは動画をMediainfoで読み込むだけです。動画をドラッグ&ドロップしてもよいですし、「ファイル」から動画を読み込んでもかまいません。
「映像」の「フレームレートの種類」と書かれてある部分を探してください。そこに「固定 (CFR)」または「可変 (VFR)」と書かれてあります。
次回からは動画上で右クリックすれば情報を表示できます。わざわざMediainfoを起動して動画を読み込む必要はありません。
- 動画上で右クリックする。
- 「その他のオプションを確認」をクリックする。
- 「Mediainfo」をクリックする。
- 情報が表示される。
VFRをCFRに変換しよう
HandBrakeを使う
もし動画がVFRであった場合は、CFRに変換しましょう。その変換した動画を編集ソフトで読み込むのです。そうすれば音ズレは発生しません。
では、どうやってVFRをCFRに変換するのかというと、HandBrakeという無料アプリを使います。
つまり、大まかな手順としてはこうなります。
- HandBrakeで動画を読み込む。
- VFRをCFRに変換する。
- CFR動画を編集ソフトで読み込む。
- いつもどおり編集する。
ダウンロード・インストール
さっそくHandBrakeを使う準備をしましょう。
- 公式サイトにアクセスする。
- 「Download HandBrake」と書かれた赤色のボタンをクリックする。
- ダウンロードしたファイルをダブルクリックする。
- 画面を順に進めていく。
HandBrakeを起動して「You must install .NET Desktop Runtime to run this application.」と表示された場合は、そのまま「Download it now」をクリックしてください。
そして、いまダウンロードしたファイル(.NET 8.0 Desktop Runtime (v8.0.7) - Windows x64 Installer)をダブルクリックし、インストールします。
使い方
まずはHandBrakeで動画を読み込みましょう。動画をドラッグ&ドロップするか、またはファイルを選択します。
つぎに、「動画」タブを開いてください。以下のようにします。
- 「フレームレート (FPS)」を「Same as source」にする(元動画と同じフレームレート)。
- 「固定フレームレート」にする。
- 「品質」は22か、それより小さい数字にする(数字が小さいほど高画質・ファイルサイズ大)。
- 「保存先ファイル」で任意の場所を指定する。
設定できたら「エンコード開始」をクリックします。しばらく待ちましょう。「保存先ファイル」で指定した場所に動画が生成されます。
最後に、いま変換した動画を編集ソフトで読み込んで完了です。
まとめ
定番のキャプチャーソフトがVFR方式であることは珍しくありません。
録画した動画が編集時に音ズレする場合は、VFR方式が原因でないか疑ってみてください。
そのさい、動画前半では音ズレしていないように感じることもあるので、しっかりと動画後半部分で音ズレしていないか確認する必要あります。
もしHnadBrakeでVFR→CFRへの変換が煩雑である場合は、CFRで録画できるキャプチャーソフトを使うとよいでしょう。
BandicamやOBS Stduioがその例です。
2006年から15年以上、ゲーム実況のやり方の解説記事を書いています。書いた記事数は1,000本以上。ゲーム配信、ゲーム録画、動画編集の記事が得意です。
記事はていねいに、わかりやすく!ゲーム実況界の教科書をめざしています。