ゲーム実況をするなら、事前にガイドラインに目を通してみましょう。ゲームメーカーが作成・公開している利用規約のことです。
ガイドラインに従うかぎり、その範囲内で自由にゲーム実況ができます。読むのに少し時間がかかるかもしれませんが、ルールを守りながらゲーム実況するためにはとても重要です。
基本的に、ガイドラインは個人用です。法人用でない点に注意してください。
目次
なぜガイドラインを読むの?
著作物は無断利用できない
なぜガイドラインを読む必要があるのでしょうか。それは、以下の行為はメーカーに無断でできないからです。
- ゲーム配信(ライブ配信)を行う
- ゲームを録画した動画を投稿する
「俺が買ったものだから、なにをしても自由だ」とはいきません。所有権と著作権は別問題だからです。
著作権については、著作権法という法律で「他人が作ったもの(著作物)を無断利用したらダメだよ。利用したいなら作った人・会社に許可をもらってね」と規定されています。
具体例 | 著作権法上の用語 | |
他人が作ったもの | ゲームソフト | 著作物 |
利用 | ゲーム実況 | 複製、公衆送信 |
作った人・会社 | ゲームメーカー | 著作者、著作権者 |
ゲームソフトも著作物である以上、私たちがゲーム実況で利用するためにはガイドラインを読むことが重要になってきます。
なぜなら、メーカー側が「ガイドラインに書いてあるルールを守るなら、うちのゲームを使ってもいいよ」と許可してくれているからです。
最悪どうなる?
ルールを守らない場合、悪質なケースでは逮捕される可能性があります。
2023年5月18日には、『シュタインズ・ゲート 比翼恋理のだーりん』のガイドラインを守らなかったYouTuberが全国で初めて逮捕されました。
「コンテンツ海外流通促進機構(CODA)」によると、近年ではゲーム会社や各ゲームでガイドラインが定められ、ゲームのプレー動画の投稿を認めている場合も多い。
ただ、そうした場合にも特典映像やエンディングは公開しないなど、ゲームの性質によって様々な基準がある。
ガイドラインを探そう
では、ガイドラインはどこにあるのでしょうか。
公式サイトを確認する
メーカーによっては、包括的なガイドラインを設けて公式サイトに掲載している場合があります。
あくまでも一例ですが、以下はメーカーが公開しているガイドラインの一覧です。
- アークシステムワークス
- インティ・クリエイツ
- カプコン
- コーエーテクモゲームス
- サイバーコネクトツー
- スパイク・チュンソフト
- セガ
- ディースリー・パブリッシャー
- ニトロプラス
- 日本ファルコム
- 任天堂
- バンダイナムコエンターテインメント
- フロム・ソフトウェア
- ベセスダ(ゼニマックス・メディア)
- マイクロソフト
- ロックスター・ゲームス
- BLIZZARD
- CD PROJEKT RED
- Cygames
- EA
- Epic Games
- KADOKAWA
- Riot Games
- Studio Wildcard(英語)
- Ubisoft
タイトルを検索する
メーカーが包括的なガイドラインを出していない場合、タイトルごとにガイドラインを設けている可能性があります。つまり、個別ガイドラインがあるかもしれません。
そこで、以下のようなキーワードでGoogle検索します。
- タイトル + ガイドライン
- タイトル + 利用規約
- タイトル + ポリシー
具体的には、以下のようなキーワードで調べます。
- 「ウマ娘 ガイドライン」
- 「原神 ガイドライン」
- 「FF ガイドライン」
- 「ドラクエ ガイドライン」
- 「桃鉄 ガイドライン」
- 「ペルソナ ガイドライン」
見つからない場合
ガイドラインが見つからないこともあるでしょう。理由は3つ考えられます。
- ガイドラインを公開予定だが、まだ公開していない
- ガイドラインを作成・公開する予定がない
- そもそもゲーム実況を禁止している
1番めのケースについては、ゲームの発売日(リリース日)までにガイドラインが公開されることが多いはずです。ゲーム発売後に公開されるパターンもあります。
なお、下記サイトでもガイドラインの有無を調べられます。
参考 ゲーム配信規約データベース(外部サイト)
収益化できるかも
営利目的は禁止
YouTuberのように、ゲーム実況でお金を稼ぎたいという人もいるかもしれません。そこで確認したいのが、収益化が認められているかという点です。
一般的なガイドラインでは、営利目的(商用利用)によるゲーム実況は許可されていません。
商用・営利目的で動画を動画共有サイトへ投稿することはできません。直接的に営利目的でなくとも、動画を利用することにより、間接的に利益を得る目的があると認められる場合は、営利目的とみなします。
投げ銭やスーパーチャットなど、視聴者から直接金銭の授受を行う機能を利用した収益化や、メンバーシップなど有料会員登録者限定の動画投稿に使用することは原則として禁止させていただきます。
例外あり
ただし、これには例外が設けられているケースがあるでしょう。
具体的には、配信サイトが提供しているお金を稼ぐ仕組み・機能を使う場合にかぎり、収益化してもかまわないというものです。
ゲーム実況を行うデジタルプラットフォームが公式に提供している機能(中略)は当該機能から副次的に収益が発生したとしても営利を目的とした利用とはみなしません(後略)。
少し難しい言いまわしに思えたかもしれません。これは、たとえば以下のような機能を使えば収益化できるという意味です。
- YouTubeパートナープログラム(Super Chat含む)
- Twitchアフィリエイトプログラム、Twitchパートナープログラム
- クリエイター奨励プログラム、ニコニコチャンネル
- ツイキャス・マネタイズ
つまり、配信サイトの収益化機能を使う場合にかぎり、収益化できるというわけです。
YouTube Liveでよく見かけるSuper Chat(スパチャ)ですが、ガイドラインで許されていれば収益化できます。配信者が収益を得ても問題ありません。
しかし、上述したフロム・ソフトウェアのように、原則どおりSuper Chatなどの投げ銭が禁止されているケースもある(広告収入はOK)ので注意してください。
エンディング、BGMはOKか
禁止区域があるかも
いちばん注意したい点です。禁止区域が設けられていることがあります。つまり、ゲーム実況できない箇所が指定されているかもしれません。
たとえば、以下のようなものです。
- 第○章まではOKだが、それ以降は禁止
- エンディング部分は禁止
- 特定の歌・BGMが入っているシーンは禁止
1~2番めは通常、ネタバレ防止を目的としており、後日『ドラゴンクエスト』シリーズのように禁止区域が開放されることがあります。
発売・配信から一定期間を経た作品についてエンディング部分の配信等を禁止する条項を削除し、エンディング部分も含めて配信等をお楽しみいただけるようにガイドラインを改定いたしました。
スパイクチュン・ソフトのガイドラインでは、タイトルごとに「利用可能範囲」が記載されています。
コーエーテクモゲームスのガイドラインも同様で、『信長の野望』シリーズではオープニング・エンディング、タイアップ曲などのシーンはNGになっているほか、『戦国無双5』では禁止区域が細かく指定されています。
カプコンのガイドラインでは、エンディングまで許可されています。ただ、今後タイトルによっては例外が出てくるかもしれません。
タイトル個別でガイドラインを設けていない限り、発売後であれば、投稿する範囲に制限はありません。タイトル個別にガイドラインを設けている場合は、公式サイトに掲載いたします。
BGMが問題になるかも
BGM(楽曲)が禁止されているタイトルとしては、たとえば『鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚』があります。ゲーム内のオプションからBGMをOFFにしましょう。なお、ゲーム機のシェア機能を使う場合は、自動的にBGMがOFFになります。
鬼滅の刃関連の楽曲が含まれている投稿は削除対象となります。撮影時には本作品内設定より「BGM」の音量をオフにしてください。
特定のBGMが含まれていることが原因で権利者による申し立て削除が行われる可能性もあります。BGMの著作権も軽視できません。
その他、注意点
著作権表示、ネタバレあり表示
以下の表示が求められていることがあります。
- 著作権表記(権利表記)
- 「ネタバレあり」の表記
これらをサイトの説明欄に記入しましょう。
ムービーシーンの切り出し禁止
ガイドラインで創作性・独自性が求められているケースがあるかもしれません。
通常のゲーム実況であれば問題ありませんが、ガイドラインでムービーシーン(カットシーン)のみをまとめた動画は原則禁止しているメーカーが多いです。
まとめ
ガイドラインは、多くが共通した内容となっています。したがって、今回解説したポイントさえ押さえておけば、困ることはないでしょう。
ゲーム実況のやり方については、下記ページをご覧ください。
2006年から15年以上、ゲーム実況のやり方の解説記事を書いています。書いた記事数は1,000本以上。ゲーム配信、ゲーム録画、動画編集の記事が得意です。
記事はていねいに、わかりやすく!ゲーム実況界の教科書をめざしています。