OBS Studio(以下OBS)で画面を録画したさい、ファイルサイズ(≠容量)が大きすぎて驚くことがあるかもしれません。
たとえば、ゲーム実況のために録画したら10GBを超えてしまったというケースはよくあります。珍しいことではありません。
とはいえ、
- YouTubeやXに動画を投稿したい
- SSD/HDDの残り容量が気になる
という場合もあるでしょう。
そこで、今回はファイルサイズを小さくする方法について見ていきます。
関連OBSで超高画質録画するための、シンプルなポイント。じつは数字をいじるだけ
目次 [非表示]
前提(よくある誤解)
「容量」と「ファイルサイズ」の違い
「容量」のことを「ファイルサイズ」と表現する人もいます。
しかし、両者は厳密には同じ意味ではありません。
- 容量 : SSD/HDDなどで保存可能なサイズのこと
- ファイルサイズ : 動画ファイルの大きさのこと
容量というのは、例えるなら駐車場です。駐車場が大きいほうが、たくさんの車を駐められます。
他方、ファイルサイズというのは、駐車場に駐める車の大きさです。車が小さいほうが駐車場に停められる車の数は多くなります。
ファイルサイズはサイトによって上限が決まっています。
- YouTube : 256GB、または12時間のいずれか小さいほう
- X : 512MB以下(無課金の場合)
![](https://vip-jikkyo.net/wp-content/uploads/2021/03/youtube32c-100x100.png)
![](https://vip-jikkyo.net/wp-content/uploads/2019/08/x-100x100.png)
もう1回録画できる人向け
それともう1つ重要なのが、現在ファイルサイズの大きさに悩んでいるとして、録画しなおし(撮り直し)できるかという点です。
もしすでに録画したあとで、かつ撮り直しできない場合は、動画編集ソフト(例 : PowerDirector)などを使ってファイルサイズを小さくしましょう。
![](https://vip-jikkyo.net/wp-content/uploads/2025/02/pd27b-100x100.jpg)
![](https://vip-jikkyo.net/wp-content/uploads/2019/12/editing12b-100x100.png)
OBSには動画編集機能はないので、録画してできた動画のファイルサイズを小さくすることはできません。
他方、まだ録画まえの段階であったり、あるいは撮り直しできる場合は、このまま記事を読み進めてください。
以下、いまから録画する(撮り直し含む)ことを前提とした解説です。
映像エンコーダーを変更しよう
圧縮効率が重要
ここからが本題です。「映像エンコーダ」を変更しましょう。
映像エンコーダーとは、動画のファイルサイズを小さくする(圧縮する)ための設定のことをさしています。
じつは、これを変更するだけで画質を維持したままファイルサイズを小さくできる場合があります。
「出力モード」を確認する
まず、「設定」→「出力」の順にクリックして「出力モード」が「基本」と「詳細」のどちらになっているか確認してください。
どちらでもかまいません。
ただ、両者を同時に説明すると内容が複雑になるため、便宜上「詳細」で統一します。
- 「出力モード」を「詳細」にする。
- その下にある「録画」タブを開く。
- 「種別」を「標準」にする。
NVENC H.264が無難
では、「映像エンコーダ」はどれがよいのでしょうか。この点、無難なのは「NVIDIA NVENC H.264」です。
H.264は汎用性がとても高い規格です。動画再生から編集、投稿、あらゆる場面でトラブルが起きづらいです。
ただし、PC環境によってはNVENCを選べません(NVENCがない)。その場合は、別のエンコーダーを選んでください(「x264」以外)。
- QuickSync H.264
- AMD HW H.264 (AVC)
NVENC HEVC、NVENC AV1もいいぞ
すでに「NVIDIA NVENC H.264」になっていた場合は、「NVIDIA NVENC HEVC」や「NVIDIA NVENC AV1」もおすすめです。
なぜなら、両者は「NVIDIA NVENC H.264」よりもファイルサイズを小さくできるからです。
では、どちらがより優れているのかというと「NVIDIA NVENC AV1」でしょう。
AV1は最新規格であり、条件が同じなら「NVIDIA NVENC HEVC」よりもさらにファイルサイズを小さくできます。
ただし、両者ともにNVENC系でPC環境によっては選べません。PCが搭載しているGPUによって違ってきます。
説明 | |
NVIDIA NVENC HEVC | GPUがRTX/GTXシリーズの場合に選択可能 |
AMD HW H.265 (HEVC) | AMD製の内蔵GPU、Radeonの場合に選択可能 |
QuickSync HEVC | インテル製の内蔵GPU(第6世代以降)の場合に選択可能 |
NVIDIA NVENC AV1 | GPUがRTX 40シリーズ以降の場合に選択可能 |
AMD HW AV1 | Radeon RX 7000シリーズの場合に選択可能 |
QuickSync AV1 | Intel Arcシリーズの場合に選択可能 |
AOM AV1 | 通常は選ばない |
SVT-AV1 | 通常は選ばない |
また、AV1動画は動画編集ソフトによっては読み込めず、編集できない場合がある点に注意してください。
この場合、(1)いったん動画を変換してから(2)編集ソフトで読み込む必要があります。つまり、よけいな作業が1つ増えます。
動画投稿についても同様です。録画してできた動画を未編集で投稿しようとしても、AV1のままではできないでしょう。
動画編集・投稿のことを考えると、HEVCのほうがAV1よりも無難かもしれません。
画質を下げよう
高画質だとファイルサイズ大
ファイルサイズを小さくしたいなら画質を下げるのも基本です。
- 高画質設定 → ファイルサイズ大
- 低画質設定 → ファイルサイズ小
もちろん、画質を下げたくないという気持ちはわかります。
しかし、必要以上に高画質設定にしている場合もあります。その場合、少し画質を落としたとしても気づきません。
「映像エンコーダ」によっては設定が違う
注意点として、今回ここで見ていく設定は「映像エンコーダ」(上述)によって表示される項目が異なる場合があります。
すべてのパターンを網羅して解説するのは困難であるため、「映像エンコーダ」で「NVIDIA NVENC」系を選んでいることを前提とします。
「レート制御」の設定を変更する
まず、「レート制御」を「定数QP」(CQP)にしましょう。そして、「定数QP」(レート制御)を変更します。
▲OBS 31.0以降の設定画面です。これより前のバージョンだと表記が微妙に違います。また、「映像エンコーダ」を「NVIDIA NVENC」系にしたときの設定です(上述)。
一見難しそうな用語ですが、2点覚えておいてください。
- 数字が小さいほど高画質、ファイルサイズ大
- 数字が大きいほど低画質、ファイルサイズ小
たとえば、「定数QP」が20の場合と23の場合を比較すると、数字が大きい後者のほうがファイルサイズは小さくなります。
今回は23にしましたが、好きに設定してかまいません。実際に録画し、画質・ファイルサイズとの兼ね合いで調整してください。
![](https://vip-jikkyo.net/wp-content/uploads/2021/10/obs74c-100x100.jpg)
解像度・フレームレートを変更する
さらにファイルサイズを小さくしたい場合は、必要に応じて以下のように設定してもかまいません。
- 「設定」→「映像」の順にクリックする。
- 「出力 (スケーリング) 解像度」を下げる(例 : 1280x720)。
- 「FPS 共通値」を下げる(例 : 30fps)。
- 「OK」をクリックする。
▲720p/30fps設定。「FPS 共通値」はフレームレートのことです。
ただし、この設定にすると
- 画質が落ちる
- 動きの滑らかさが失われる
ことがあるかもしれません。
ファイルサイズはたしかに小さくなりますが、上記デメリットを妥協できるかどうか実際に録画して検証してください。
![](https://vip-jikkyo.net/wp-content/uploads/2022/07/obs35f-100x100.png)
![](https://vip-jikkyo.net/wp-content/uploads/2024/07/obs75a-100x100.png)
参考までに、解像度・フレームレートを変更して録画し(10分間)、ファイルサイズを検証しました。NVENC HEVC、定数QP23です。
- 1080p/60fps : 789MB
- 1080p/30fps : 493MB
- 720p/60fps : 444MB
解像度・フレームレートが低いほうがファイルサイズが小さくなることがわかります。
録画時間を短くしよう
当然ですが、録画時間が短いほうがファイルサイズも小さくなります。
リプレイバッファーを使う
録画時間を短縮する方法として、リプレイバッファーを覚えておいてください。
この機能を使えば、ボタンをクリックしたときから遡って動画を保存できるようになります。
つまり、ピンポイントで見せ場だけを保存できるので、最終的なファイルサイズが小さくなります。ムダに録画する必要がありません。
![](https://vip-jikkyo.net/wp-content/uploads/2022/10/obs85a-100x100.png)
録画を一時停止する
ほかに録画時間を短縮する方法として、録画を一時停止するのもよいでしょう。
明らかに不要な部分は、録画を一時的に止めておいたほうが録画時間が短くなり、ファイルサイズは小さくなります。
![](https://vip-jikkyo.net/wp-content/uploads/2022/11/obs07b-100x100.png)
おまけ : ファイルサイズの目安は?
参考までに、以下の設定で『The Elder Scrolls V: Skyrim』(PC版)を録画しました。
- 解像度 : 1920x1080
- フレームレート : 60fps
- 映像エンコーダー : NVENC HEVC
- レート制御 : 定数QP23
結果、以下のようなファイルサイズになりました。
- 序盤~ヘルゲン脱出まで(30分) : 2.89GB
- ヘルゲン脱出後~リバーウッドまで(30分) : 3.37GB
まとめ
ファイルサイズを小さくする方法は、3つあります。
- 「映像エンコーダ」を変更する
- 画質を変更する
- 録画時間を短くする
どの方法も一長一短あり、事前の検証が必須です。
とくに以下の2点を確認してください。
- 録画・編集・投稿は問題なくできるか(重要)
- 画質・ファイルサイズともに問題ないか
なお、OBSで起きるトラブルについては、下記ページにも情報をまとめています。必要に応じてご覧ください。
![](https://vip-jikkyo.net/wp-content/uploads/2020/11/obs08c-100x100.png)
![](https://vip-jikkyo.net/wp-content/uploads/2024/07/obs02c-100x100.png)
2006年から15年以上、ゲーム実況のやり方の解説記事を書いています。書いた記事数は1,000本以上。ゲーム配信、ゲーム録画、動画編集の記事が得意です。
記事はていねいに、わかりやすく!ゲーム実況界の教科書をめざしています。