キャプチャーボードについて調べ始めると、分配器(スプリッター)の情報を目にすることがあるかもしれません。
分配器はあると便利ですが、必須というわけではありません。使うべき場面は限られます。
目次
分配器とは
同時出力が本来の目的
分配器は、複数の機器に映像・音声を分配出力するさいに使います。「複数の機器」という点が重要です。
▲分配器はゲーム機が出力した映像・音声を受け取り、それをキャプチャーボードとTVの両方に出力します。
たとえば、ゲーム実況でキャプチャーボードを使用している場合、
- キャプチャーボード(つまりPC)
- TV(モニター)
という2つの機器に対して、ゲーム機の映像・音声を分配出力する役割を担います。
つまり、分配器を使うことで
- PCにゲーム画面が映り、PCからゲーム音が出る
- TVにゲーム画面が映り、TVからゲーム音が出る
という状態にできます。
このように、分配器を使ってゲーム機の映像・音声をPC・TVの両方の機器に出力しているわけです。
遅延を回避できる
ひょっとしたら、「PCとTVの両方に画面を映してどんな意味があるの?」と思う人もいるかもしれません。
端的に言えば、キャプチャーボードの遅延を回避できるのです。
本来、キャプチャーボードには遅延があります。そのため、PCに映っているゲーム画面を見ながらだとうまくプレイできない場合があります。
- 操作が重く感じる
- タイミングが合わず、避けたはずの敵の攻撃が当たる
そこで分配器の出番です。
分配器を使えば、ゲーム機からTVに出力されている映像・音声はキャプチャーボードの影響を受けません。
キャプボの影響 | キャプボによる映像・音声の遅延 | |
PCに映っているゲーム画面 | あり | あり |
TVに映っているゲーム画面 | なし | なし |
なぜなら、ゲーム機の映像・音声は分配器を通じてそのままTVに出力されているからです。遅延の原因であるキャプチャーボードは関与していません。
したがって、TVに映っているゲーム画面を見ながらゲームをプレイすれば、キャプチャーボードの遅延がない環境を作れるというわけです。
キャプチャーボードとは違う
「あれ?よくわからないぞ?」と思った人もいるかもしれません。
まず前提として、キャプチャーボードと分配器は違うという点を理解してください。キャプチャーボードは、Switchなどのゲーム画面をPCに映すために使います。
他方、分配器はSwitchのゲーム画面をTV・PCの両方に映すために使います。キャプチャーボードと同時に使うことはありますが、分配器がキャプチャーボードの代わりになることはありません。
もしキャプチャーボードについてわからないことがある場合は、必ず下記記事を確認するようにしましょう。
さらにこれも理解しておきたいのですが、分配器は必須ではありません。必要な人だけが使えばよいのです。
説明がわからなかったとしても、必ずしも問題はありません。
必要となる3つのケース
では、分配器が必要なのはどのようなケースでしょうか。3つ考えられます。
パススルーがない
キャプチャーボードの遅延を回避したいのであれば、分配器ではなくパススルー出力機能を搭載したキャプチャーボードを使うのが一般的です。
同機能を搭載しているキャプチャーボードの場合、分配器は基本的に必要ありません。パススルー出力機能は分配器の代わりになります。
同機能の有無は、キャプチャーボードを見ればわかります。「OUT」と書かれたHDMI端子があれば対応していますし、なければ対応していません。
同機能がない場合は、分配器を使いましょう。もちろん、遅延を感じない、プレイに支障がないなら、パススルーも分配器も不要です。
配信外でPCを起動したくない
上述したパススルー出力機能はとても便利です。
ただ、デメリットもあります。そのひとつが、基本的にPCの電源を入れないとTVに画面が映らないという点でしょう。
想像してください。たとえば、配信外のプライベートでちょっとSwitchのゲームをTVでプレイしたいだけなのに、いちいちPCを起動しないといけないわけです。
もしPCを起動したくないなら、SwitchとTVを接続するしかありません。つまり、Switchをキャプチャーボードから取り外す必要があります(接続しなおし)。これは不便です。
しかし、分配器であれば、ゲームをプレイしたいだけならPCを起動する必要はありません。
HDCP対策に(一部)
PS3の場合、キャプチャーボードとHDMI接続しても画面がPCに映りません。これはPS3の仕様で、HDCPというコピーガードが原因です。
しかし、特定の分配器を使うとHDCPをキャンセルできます。ゲーム機とキャプチャーボードのあいだに、挟み込むようなかたちでHDMI接続して使います。
ただし、どの分配器でもよいわけではありません。たとえば下記製品を使います。分配器の本来の機能(分配出力)は使わなくてもかまいません。
購入まえにAmazonで最新のレビューを必ずチェックしてください。以前とは仕様が変わる可能性もあります。もし最新レビューを読んでみて、不安であれば購入をやめましょう。
まとめ
分配器が必要なケースは限られてきます。通常はキャプチャーボードのパススルーを使いましょう。そのほうが簡単です。
また、分配器とキャプチャーボードは役割が違う点に注意してください。分配器はキャプチャーボードの代わりにはなりません。
2006年から15年以上、ゲーム実況のやり方の解説記事を書いています。書いた記事数は1,000本以上。ゲーム配信、ゲーム録画、動画編集の記事が得意です。
記事はていねいに、わかりやすく!ゲーム実況界の教科書をめざしています。