ニコニコ生放送(以下ニコ生)では、2019年8月28日から一般会員でもPCから配信できるようになりました。
これまでは、有料のプレミアム会員でないと配信できない仕様でした。無料でも配信できるようになったため、大きな改善と言えるでしょう。
ただ、一般会員の状態で配信するのはデメリットもあります。あくまでもお試しであり、プレミアム会員と完全に同じというわけではありません。
今回はPC配信を前提に、以下の2点について詳しく見ていきましょう。
- 一般会員向けの注意点
- 一般会員向けの配信時の設定
目次
無料配信のメリット
一般会員のまま配信するメリットとして、月額550円を節約できる、無料で配信できるという点があります。
今回の変更は、以下のような人たちにとって朗報です。
- たまにしかニコ生で配信しない人
- 「月額550円払ってまで配信したくない。でも無料なら…」と考えていた人
- 配信のためだけにプレミアム会員になっていた人
無料配信のデメリット
たしかに、一般会員でも配信はできます。しかし、実際のところはドワンゴによるプレミアム会員への誘導が目的だと思ってください。
無料配信の位置づけとしては、お試し機能、あるいは制限版といったところです。
というのも、デメリットが多いのです。下表に掲載した事項を妥協できないなら、一般会員の状態で配信するのは厳しいでしょう。
一般会員 | プレミアム会員 | |
画質 | 1Mbps/450pまで | 6Mbps/720pまで |
配信時間 | 30分まで | 6時間まで |
延長 | × | ○ |
予約 | × | ○ |
ギフトの受け取り | × | ○ |
ニコニコ新市場の制限 | 「ネタ」が制限 | なし |
引用 | × | ○ |
「お試し」という表現は、ニコニコインフォにも登場しています。つまり、プレミアム会員獲得への導線として、制限をかけているわけです。
一般会員の方もPCからユーザー生放送をお試しで配信できるようになりました。
プレミアム会員との重大な違いは2点
細かい点については、上表に掲載したとおりです。
では、実用面で考えるとどうでしょうか。以下の2点が重要です。
画質が劣る
配信内容にもよりますが、映像が激しく動くような配信の場合、一般会員は画質的に不利でしょう。
1Mbps/450pというのは、つまり高画質な配信はできない、HD画質で配信できないということです。
▲一般会員(左)とプレミアム会員(右)における画質の差。厳密な比較検証ではないので、参考程度にしてください。出典 : 『スーパーマリオ オデッセイ』(任天堂)
ただ、雑談配信などは問題ありません。画質が求められているわけではなく、雑談の内容そのものが重要だからです。
なお、ニコニコ動画への動画投稿の場合は、会員の種類による画質の違いはありません。あくまでも、ライブ配信の場合の話です。
1枠30分で、延長できない
一般会員の場合、1枠は30分間で終了します。
配信時間を延長できないため、30分ごとに枠を取り直して新たに配信を開始する必要があります。配信回数に制限はありません。
ビットレート・解像度に注意
一般会員が配信する場合、大まかなやり方はプレミアム会員と同じです。

ただ、一般会員は配信時の画質が大きく制限されています。そのため、プレミアム会員と同じ画質設定にしても意味がありません。
つまり、一般会員用の設定で配信する必要があります。具体的には、以下の2点を覚えておいてください。
- ビットレートを合計1Mbps(1,000kbps)以下に
- 解像度を450p以下に
では、どのように設定すればよいのでしょうか。2つの配信ソフトを例に設定してみましょう。OBSとN Airです。

OBSの設定方法
映像ビットレート
映像ビットレートを904kbpsにします。
- 「設定」→「出力」の順にクリックする。
- 「出力モード」を「詳細」にする。
- その下の「配信」タブを開く。
- 「エンコーダ」を「x264」にする(低ビットレート配信ではこれが無難)。
- 「レート制御」が「CBR」になっていることを確認する。
- 「ビットレート」を904kbpsにする。
音声ビットレート
いま映像ビットレートを904kbpsに設定したので、音声ビットレートを96kbpsにします。これでビットレートの合計が1Mbpsになります。
- 「音声」タブを開く。
- 「音声ビットレート」で「96」を選択する。
解像度
解像度を800x450に設定します。
- 「設定」→「映像」の順にクリックする。
- 「出力 (スケーリング) 解像度」で「800x450」と入力する。
- 「縮小フィルター」で「ランチョス」を選択する。
- 「OK」をクリックする。
配信方法や、OBSの設定で不明な点がある場合は、下記ページをご覧ください。


N Airの設定方法
N Airの場合、自分で設定しなくても配信は可能です。自動で画質を設定してくれる機能が搭載されており、それを使えばよいからです。
たとえば、番組作成時に「最高配信画質」を「1Mbps/450p」にして配信を開始すると、以下のような一般会員用の設定になります(自動)。
- 映像ビットレート : 904kbps
- 音声ビットレート : 96kbps
- 解像度 : 800x450
▲番組を作成する画面で「1Mbps/450p」を選ぶだけです。
したがって、用語の意味がよくわからないのであれば、そのままの設定で配信してもかまいません。一般的な環境であれば、問題なく配信できます。
詳しいN Airの設定については、下記ページをご覧ください。


まとめ
他サイトでは、ずっと以前から「配信は無料」が一般的でした。ニコ生も無料で配信できるようになり、時代遅れだった部分が改善されています。
ただ、一般会員は画質が制限されている点に注意しましょう。もし画質に満足できないのであれば、対策は2つです。
- プレミアム会員になる
- 他サイトで配信する(例 : YouTube、Twitch、ツイキャス
他サイトでの配信方法については、下記ページをご覧ください。
