マイクにノイズが入って困っているなら、NVIDIA Broadcastの出番です。
たとえば、以下のようなノイズを除去できます。
- キーボードのタイピング音、打鍵音
- マウスのクリック音
- 「サーッ」という音
- PCのファンの音
- その他、環境音
実際に動画を見たほうが早いかもしれません。下記動画では、途中からドライヤーの音(ノイズ)が完全に消えています。
類似ソフトとして「RTX Voice」がありますが、NVIDIA Broadcastはその正式版です。
目次
背景を消したり、ぼかしたりも
NVIDIA Broadcastの機能は、ノイズ除去だけではありません。以下のような機能もあります。
- 背景除去
- 背景ぼかし
- 自動フレーム
背景除去は、自分の後ろに映っている背景を自動的に消す機能です。部屋を見られたくない場合に役立つでしょう。グリーンバックは必要ありません。
▲出典 : YouTube「NVIDIA Broadcast App | Push the Limits With AI-Powered Voice and Video」より
自分の後ろの背景をぼかすこともできます。これを使うと、視聴者は配信者が一眼カメラを使っているかのような錯覚に陥ることでしょう。
▲出典 : 同上
自動フレームは、頭や体の動きを追尾して画面中央に人を捉える機能です。具体的な効果は上記動画を参照してください。
【重要】動作環境を確認しよう
注意したいのですが、NVIDIA Broadcastを使うためにはGeforce RTXシリーズのグラフィックボード(GPU)が必要です。
- NVIDIA GeForce RTX
- Quadro RTX
- TITAN RTX
用語の意味がよくわからない場合は、実際にPCスペックを確認してみましょう。
- 画面下部のバー(タスクバー)のなにもない場所で右クリックする。
- 「タスク マネージャー」をクリックする。
- 「パフォーマンス」をクリックする。
- 「GPU」をクリックし、右上を見る。
OBS 27.0でノイズ除去機能が統合
OBS Studio(以下OBS) 27.0では、アップデートによりNVIDIA Broadcastのノイズ除去機能がOBSに直接組み込まれました。
これにより、OBSを使用しつつノイズ除去したい場合はNVIDIA Broadcastを必ずしもインストールする必要はなくなりました。
もっとも、背景除去機能などNVIDIA Broadcastならではの機能を使いたい場合は、任意でインストールしてもかまいません。
また、DiscordなどOBS以外のソフトでノイズ除去機能を使いたい場合も同様です。
準備しよう
NVIDIA Broadcast
公式サイトでダウンロードできます。
- 公式サイトにアクセスする。
- 「今すぐダウンロード」をクリックする。
ダウンロードしたファイルをダブルクリックし、画面を順に進めていけばインストール完了です。
グラフィックドライバーのバージョンに注意してください。これが古い場合、下記画像のようなエラー画面が出ます。GeForce Experienceを使ってバージョンを456.38以上にアップデートしましょう。
なお、RTX Voiceがインストールされている場合、同ソフトはアンインストールされます。
配信ソフト、チャットソフト
NVIDIA Broadcastは、単体では意味がありません。必ず配信ソフトやチャットソフトとともに使う必要があります。
たとえば、以下のようなソフトを用意しましょう。
- OBS
- Streamlabs Desktop
- Xsplit
- Twitch Studio
- Discord
- Skype
- Zoom
- Microsoft Teams
- Slack
- Google Meet
ここに掲載していないソフトであってもNVIDIA Broadcastは使えます。筆者が試した範囲では、BandicamやShadowPlayでも使用できました。
NVIDIA Broadcastで設定しよう
大まかな設定方法
NVIDIA Broadcastの使い方は、2ステップです。
- NVIDIA Broadcastで設定する。
- 配信ソフト・チャットソフトで設定する。
マイク・カメラと、配信ソフト・チャットソフトの中間で各種処理を行うのがNVIDIA Broadcastの役割です。
まずは、NVIDIA Broadcast側の設定方法から見てきましょう。マイクとカメラの設定を行います。
マイク
使用するマイクを「マイク ソース」で選択します。ここで選択したマイクの音をNVIDIA Broadcastが受け取ってノイズ除去し、各アプリに出力します。
場合によっては、Windowsの既定のデバイスを意味する「(Default Device)」でもかまいません。ただ、自分でマイクを指定したほうがより確実です。
つぎに、「効果」の部分でエフェクトをONにしてください。これでノイズ除去が有効になりました。
「強度」では、ノイズ除去の強弱を調整できます。右側の部分で録音テストができるので、実際にテストしながら設定しましょう。
スピーカー
ここは基本的に設定不要です。
PCの音をノイズ除去して再生したい場合に効果がありますが、今回はOFFにしておいてください。
なお、もしONにした場合は各アプリのほうでも設定変更が必要です。
カメラ
顔出し配信など、Webカメラや一眼カメラを使って自分を映したい場合にかぎり、必要となる設定です。自分を映さない場合は、設定する必要はありません。
設定方法ですが、使用するカメラを「カメラソース」で選択します。ここで選択したカメラの映像をNVIDIA Broadcastが受け取り、エフェクトを適用したあと各アプリに出力します。
つぎに、「効果」の部分でエフェクトをONにしてください。これで各種エフェクトを有効にできます。
エフェクトの意味は、以下のとおりです。
説明 | |
背景ぼかし | 自分の後ろに映っている背景をぼかす |
背景交換 | 背景を別画像に置き換える(バーチャル背景) |
背景の削除 | 背景を除去し、透明にする |
オートフレーミング | 自分の頭の動きに追従させ、画面の中心に捉える |
使用するアプリで設定しよう
ここまでできたら、あとは各アプリ側の設定をするだけです。具体的には、「NVIDIA Broadcast」を選びましょう。
すると、NVIDIA Broadcastと各アプリが連携できるようになります。
OBS Studio
まず、マイクの設定です。
- 「設定」→「音声」の順にクリックする。
- 「マイク音声」で「マイク (NVIDIA Broadcast)」を選択する。
- 「OK」をクリックする。
カメラを使用する場合は、以下のように設定してください。
- 「ソース」に「映像キャプチャデバイス」を追加する。
- 「デバイス」で「Camera (NVIDIA Broadcast)」を選択する。
- 「OK」をクリックする。
Streamlabs Desktop
マイクの設定
- 左下の歯車アイコンをクリックする。
- 「オーディオ」をクリックする。
- 「マイク/補助デバイス1」で「マイク (NVIDIA Broadcast)」を選択する。
- 「完了」をクリックする。
カメラの設定
- 「ソース」に「ビデオ キャプチャー デバイス」を追加する。
- 「デバイス」で「Camera (NVIDIA Broadcast)」を選択する。
- 「完了」をクリックする。
XSplit Broadcaster
マイクの設定
- 歯車アイコンをクリックする。
- 「マイク」で「マイク (NVIDIA Broadcast)」を選択する。
- 「OK」をクリックする。
カメラの設定
- 「ソースの追加」をクリックする。
- 「デバイス(ウェブカメラ、キャプチャーカード...)」→「ビデオ」で「Camera (NVIDIA Broadcast)」を選択する。
Discord
マイクの設定
- 左下の歯車アイコンをクリックする。
- 「音声・ビデオ」をクリックする。
- 「入力デバイス」で「マイク (NVIDIA Broadcast)」を選択する。
- その下にある「ノイズ抑制」をOFFにする。
カメラの設定
- 左下の歯車アイコンをクリックする。
- 「音声・ビデオ」をクリックする。
- 「カメラ」で「Camera (NVIDIA Broadcast)」を選択する。
その他
ひょっとしたら、「自分が使うアプリの設定が載っていない」という人もいるかもしれません。
その場合、2つのことだけ覚えておけば簡単に設定できます。
- マイクの設定 : 「マイク (NVIDIA Broadcast)」を選択
- カメラの設定 : 「Camera (NVIDIA Broadcast)」を選択
たったこれだけです。カメラを使わないのであれば、2番めの設定は必要ありません。また、公式サイトにも設定例が掲載されています。ぜひ参考にしてください。
参考 NVIDIA Broadcast アプリケーション: セットアップ ガイド(外部サイト)
ノイズ除去の二重適用に注意
近年の配信ソフト・チャットソフトには、マイクのノイズを除去する機能が搭載されていることがあります。
その場合、誤動作を避けるため配信ソフト・チャットソフト側のノイズ除去機能はOFFにしてください。
つまり、NVIDIA Broadcastのほうだけでノイズ除去し、ほかのソフトの類似機能は使わないようにします。
公式サイトには、以下のような記載があります。
ノイズ キャンセルなど、NVIDIA Broadcast のものと似たエフェクトがアプリケーションによって適用されることがあります。
エフェクトを二重に適用すると、しばしばエフェクトに誤動作が起こります。
お使いのアプリケーションやドライバーでそのようなエフェクトを無効にすることをお勧めします。
2006年から15年以上、ゲーム実況のやり方の解説記事を書いています。書いた記事数は1,000本以上。ゲーム配信、ゲーム録画、動画編集の記事が得意です。
記事はていねいに、わかりやすく!ゲーム実況界の教科書をめざしています。