OBS Studio(以下OBS)でライブ配信・録画を開始しようとしたさい、エラーが表示されることがあるかもしれません。
以下のようなキーワードが入っているエラーです。
- NVENC
- NVIDIA
- ビデオドライバー(ドライバー)更新
このようなエラーが出るとライブ配信・録画ができません。しかし、「エラー内容の意味がわからない」という人も多いでしょう。
そこで対処法です。大きく3種類あります。
- OBSの設定を変更する(7秒で解決)
- NVIDIAドライバーを更新する(おすすめ)
- OBSをダウングレードする
目次
エラーの具体例
一例ですが、今回はOBSで以下のようなエラーが出た場合を想定しています。
(タイトルバー)配信開始に失敗しました
(タイトルバー)録画開始に失敗しました
インストールされているNVIDIAドライバーはこのNVENCバージョンをサポートしていないのでドライバーを更新してみてください。
出力開始に失敗しました。詳細はログを確認してください。注: NVENCまたはAMDエンコーダを使用している場合は、ビデオドライバーが最新のものであるかを確認してください。
NVENCコーデックを開けませんでした: Function not implemented お使いのビデオドライバが最新のものであるかを確認してください。
方法1 : 「x264」などにする
秒で解決したい場合に
エラー内容を見ると、どうやら「NVENCというものがトラブルに関係していそうだ」とわかります。
しかし、「用語が意味不明」「早く解決したい」という人もいるかもしれません。
そこで、OBSで以下のように設定してみましょう。手っ取り早く問題を解決できます。
- 「設定」→「出力」の順にクリックする。
- 「出力モード」が「詳細」になっている場合は、「配信」タブまたは「録画」タブを開く。
- 「映像エンコーダ」を「x264」(または「ソフトウェア (x264)」)にする。
- 必要に応じて画質設定を行う。
- 「OK」をクリックする。
- ライブ配信・録画を開始する。
▲上記画像は「x264」と表示されていますが、「出力モード」が「基本」の場合は「ソフトウェア (x264)」と表示されます。
「x264」を選んだのはあくまでも一例です。「配信開始」ボタンや「録画開始」ボタンをクリックしたときエラーが出ないものを選択してください。
たとえば、PC環境によっては「x264」以外にも「QuickSync H.264」(または「ハードウェア (QSV, H.264)」)を選べるので、試してみましょう。
▲上記画像は「QuickSync H.264」と表示されていますが、「出力モード」が「基本」の場合は「ハードウェア (QSV, H.264)」と表示されます。
なお、忘れやすいところですが、「出力モード」が「詳細」のときは「配信」タブと「録画」タブの切り替えを行うようにしてください。
- ライブ配信の場合 → 「配信」タブで設定
- 録画の場合 → 「録画」タブで設定
負荷・画質に影響するかも
時間がないときは以上の設定変更でかまいません。
ただし、「映像エンコーダ」を変更するデメリットとして
- 画質が悪くなった
- PCの動作が重くなった(カクつく)
ということがあるかもしれません。設定を再度見直す必要があります。
方法2 : NVIDIAドライバーを更新する
今回のエラーは、NVIDIAドライバーのバージョンが古いことが原因である可能性があります。
そこで、NVIDIAドライバーを更新(アップデート)してみましょう。
NVIDIAドライバーとは
では、そもそもNVIDIAドライバーは何をさしているのでしょうか。
これはNVIDIA製のPCパーツであるGPUを動かすためのソフトウェアのことです。
説明 | |
NVIDIA | ・GPUを製造・販売している世界的メーカー ・「NVENC」の「NV」はNVIDIAのこと |
GPU | ・PCで映像処理を担当しているパーツ ・PCゲームで重要 ・近年はライブ配信・録画でも重要(NVENCで高画質・低負荷) ・「GeForce RTX/GTX」シリーズが定番 |
ドライバー | ・GPUを動作させるのに必要なソフトウェア ・ビデオドライバー/グラフィックドライバー/GPUドライバーとも |
エラーが出ていて、かつOBS「設定」→「出力」→「映像エンコーダ」で「NVENC」と表示されている項目を選びたいのであれば、ドライバーを更新しましょう。
更新方法は簡単
ドライバーの更新というと難しそうな印象を受けるかもしれません。しかし、実際は簡単にできます。
やり方は複数ありますが、おすすめは「NVIDIAアプリ」を使った方法です。
- OBSを閉じる。
- NVIDIAアプリをインストールする(後述)。
- ドライバーを更新する(後述)。
▲NVIDIAアプリ
NVIDIAアプリにはいろいろな機能が含まれています。よく使うのは録画機能(ShadowPlay)でしょう。OBSと同様、PCゲームを無料で録画できます。
しかし、NVIDIAアプリには録画機能だけではなく、自動的にドライバーを更新する機能もあります。今回この機能を使います。
NVIDIAアプリによる更新方法
では実際にやってみましょう。まずはNVIDIAアプリのダウンロード・インストールからです。
- 公式サイトにアクセスする。
- 「ベータ版をダウンロード」をクリックする。
- ダウンロードしたファイルをダブルクリックする。
- 画面を順に進めていく(わからなくても適当でOK)。
- NVIDIAアプリのインストールが完了する。
そうしたら、いよいよドライバーの更新です。NVIDIAアプリを起動し、「ドライバー」をクリックしてください。
ドライバーが最新バージョンでない場合、「アップデートが利用可能」と表示され、同時に「ダウンロード」ボタンが表示されます。
同ボタンをクリックしましょう。最新バージョンのNVIDIAドライバーがダウンロードされます。
ダウンロードが完了すると「ダウンロード」ボタンが「インストール」ボタンに変わりました。同ボタンをクリックします。
OBSを閉じたうえで、「エクスプレス インストール」が選ばれていることを確認して「続行」をクリックします。
▲OBSを終了してから「続行」をクリックです。
すると、インストールが開始します。しばらく待ちましょう。
ドライバーの更新が終了したら、念のためPCを再起動し、OBSでライブ配信・録画を開始してみてください。今度はエラーが出ないはずです。
なお、NVIDIAアプリ右上の「Game Ready ドライバー」と「Studio ドライバー」は切り替えられます。どちらを選んでもかまいません(筆者は前者を選択)。
方法3 : OBSをダウングレードする
GPUが古いと、ドライバーを最新バージョンに更新してもエラーが解消しないケースがあります。
この場合、現在使用しているOBSのバージョンが、古いGPUによるNVENCに対応していない可能性があります。
たとえば、GPUが2010年代初頭に発売されたKepler世代(例 : GTX 700/600シリーズ)だと、OBSバージョン31.0以降ではNVENCを使用できません。
対処法としては、「映像エンコーダ」を「x264」にするか(上述)、またはOBSをダウングレードしましょう。
つまり、過去バージョンのOBSを使います。たとえば、Kepler世代ならOBSをバージョン30.2にすることでNVENCによるライブ配信・録画ができます。
ダウングレードの方法については、下記ページをご覧ください。通常版とSteam板、それぞれの方法をまとめました。
なお、GPUの確認方法は以下のとおりです。
- Ctrlキー + Shiftキー + Escキーを押す。
- 「パフォーマンス」をクリックする(下図A)。
- 「GPU」をクリックし(下図B)、右上を見る(下図C)。
まとめ
秒では解決できませんが、おすすめはNVIDIAのグラフィックドライバーを更新する方法です。手軽、かつ確実な対処法でしょう。
古いGPUの場合は、新しいPCを買うなどして最新GPUにすることも検討してみてください。大きなメリットを享受できます。
たとえば
- 最新GPUの機能で高画質配信できる(例 : NVIDIA NVENC AV1)
- AI画像生成が高速(例 : Stable Diffusion)
などです。
PCの選び方については、下記ページに情報をまとめました。
2006年から15年以上、ゲーム実況のやり方の解説記事を書いています。書いた記事数は1,000本以上。ゲーム配信、ゲーム録画、動画編集の記事が得意です。
記事はていねいに、わかりやすく!ゲーム実況界の教科書をめざしています。