今回、ゲーミングPCのガレリア AXZを株式会社サードウェーブから借りうけ、使用する機会を得ることができました。
ガレリアAXZは、2020年時点で最高クラスに分類されるゲーミングPCです。
CPU | Ryzen 9 3900X(2020年1月現在は3950X) |
メモリ | 16GB |
グラフィックボード | Geforce RTX 2080 Ti |
マザーボード | X570 Phantom Gaming 4 |
ストレージ | NVMe SSD 1TB + HDD 2TB(2020年1月現在はHDDなし) |
光学ドライブ | なし |
電源 | 750W(80PLUS認証 : GOLD) |
OS | Windows 10 Home |
価格 | 公式サイトを参照のこと |
このページでは、筆者が実際に4日間ガレリア AXZを使用し、ゲーム実況用に使用した印象をまとめました。
上表のスペックは貸出機のものです。時期によって構成が変わるため、最新情報については商品ページを確認するようにしてください。
目次
最高峰のスペック
Ryzen 9 3900Xについて
ガレリアAXZには、Ryzen 9 3900XというCPUが搭載されています。
Ryzenの特長は、なんといってもマルチスレッド性能が高い点でしょう。これによるメリットは2つです。
- ゲームプレイ + 録画・ライブ配信が軽い、重くなりづらい
- 動画編集後の書き出し(エンコード)が速い
Ryzen 9 3900Xの位置づけとしては、ハイエンドモデルであるRyzen 7 3700Xを上回る性能となっています。端的に言うと、最上位クラスのえげつないスペックだと思ってください。
2020年1月現在、ガレリア AXZのCPUはRyzen 9 3950Xにアップグレードされています。
RTX 2080 Tiについて
PCゲームを高画質でプレイするなら、グラフィックボード(GPU)の性能を最重視で考えなくてはいけません。
この点、ガレリア AXZにはRTX 2080 Tiが搭載されています。ゲーマー向けとしては最高性能のGPUであり、4K解像度ですら最高画質設定でプレイできます。
さらに、フルHD解像度であれば最高画質設定のまま144fpsでプレイできるでしょう。後述しますが、『フォートナイト』がよい例です。
PS4 Proのゲーム実況
キャプチャーボードであるGC573にPS4 Proを接続し、4K/60fps録画でどの程度の負荷になるか検証しました。
まず、GC573付属のキャプチャーソフト(RECentral)を使い、初期設定のまま録画します。
▲シングルモード、NVENC
結果、CPU使用率は5~6%たらずでした。圧倒的な余裕があり、なんの不安もありません。
さらに、RECentralではなくOBS Studio(以下、OBS)を使って4K録画してみました。
こちらはRECentralよりも軽く、CPU使用率は3%です。4K解像度での録画であるにもかかわらず、軽すぎて録画していることを忘れるレベルです。
PC版フォートナイトのゲーム実況
続いて、PC版『フォートナイト』を録画してみました。
ゲーム側でフレームレートの設定を変更し、3つのケースを検証しています。解像度は1920x1080、画質設定は「最高」です。
録画するのに使用したソフトはOBS、フレームレートの計測はFrapsで行っています。OBSの設定については、上述した「PS4 Proのゲーム実況」をご覧ください。
まずは60fpsから見ていきましょう。わかっていたことですが、きわめて軽い動作でした。
CPU使用率 | 6~8% |
GPU使用率 | 36~40% |
平均フレームレート | 60fps |
最小フレームレート | 58fps |
フォートナイトのように競技性の高いゲームとなると、144fpsでゲームをプレイしつつ、OBSでは60fpsで録画・ライブ配信したいという人が多いと思いますが、こちらも安定していました。
CPU使用率 | 14~18% |
GPU使用率 | 75~83% |
平均フレームレート | 144fps |
最小フレームレート | 140fps |
では、240fpsでのプレイはどうかというと、さすがに240fpsは出ませんでした。240fpsでプレイしたい場合は、ゲーム側の画質を下げましょう。
CPU使用率 | 18~20% |
GPU使用率 | 99% |
平均フレームレート | 183fps |
最小フレームレート | 104fps |
最大フレームレート | 232fps |
なお、いずれのフレームレートの場合も、動画がカクつくことはありませんでした。
PC版PUBGのゲーム実況
PC版『PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS』(PUBG)についても、OBSを使って録画しました。
フォートナイトのときと同様、ゲーム側でフレームレートの設定を変更し、3つのケースを検証します。解像度は1920x1080、画質設定は「ウルトラ」です。
60fpsでのプレイは下表のとおりです。
CPU使用率 | 8~10% |
GPU使用率 | 37~40% |
平均フレームレート | 60fps |
最小フレームレート | 52fps |
144fpsについてもフレームレートの極端な落ち込みはなく、動画も基本的にスムーズな動きでした。
CPU使用率 | 14~15% |
GPU使用率 | 70~80% |
平均フレームレート | 142fps |
最小フレームレート | 104fps |
しかし、フォートナイトと同様、さすがに240fpsは出ません。ゲーム側の画質を落とす必要があります。
CPU使用率 | 17~19% |
GPU使用率 | 85~95% |
平均フレームレート | 175fps |
最小フレームレート | 104fps |
最大フレームレート | 208fps |
動画編集
フルHD
Ryzen 9 3900Xの高いマルチスレッド性能は、動画編集ではどのような性能を発揮するのでしょうか。
無料の動画編集ソフトであるDaVinci Resolveを使い、1個の動画をタイムラインに配置して簡単な検証を行いました。
まず、1080p/60fpsの動画(H.264、34Mbps)を編集しましたが、カクつきはなく快適でした。RTX 2080 TiがVRAMを11GB搭載していることもあり、編集中にDaVinci Resolveが落ちることもありません。
また、無編集の状態に戻し、この17分ある動画をH.264でHDDに書き出したところ、8分50秒という短時間で終了しました。参考までに、筆者が所有するガレリア XFだと15分32秒かかります。
CPU | 17分の動画の書き出し時間 | |
ガレリア AXZ | Ryzen 9 3900X | 8分50秒 |
ガレリア XF | Core i7 9700K | 15分32秒 |
4K
つぎに、4K/60fpsの動画(H.264、70Mbps)を編集しました。
このクラスになると、クリックでタイムラインを移動したときに一瞬プレビューが遅れます。また、トランジション(場面切替時のエフェクト)を入れた場合、エフェクトの部分だけプレビューがカクつきます。
しかし、心配ありません。DaVinci Resolveの「最適化メディアを生成」と「レンダーキャッシュ」を使えば対処できます。前者は待ち時間が発生しますが、今回は10分で完了しました。
また、無編集の状態に戻し、17分の動画をH.264でHDDに書き出したところ、22分15秒で終了しました。実時間よりは少し時間がかかりましたが、4K/60fps動画であることを考えると高速です。
CPU | 17分の動画の書き出し時間 | |
ガレリア AXZ | Ryzen 9 3900X | 22分15秒 |
ガレリア XF | Core i7 9700K | 32分28秒 |
音質
音質は、可もなく不可もなくと言ったところです。
詳細については、ガレリア AXZと同じマザーボード(X570 Phantom Gaming 4)を搭載しているガレリア AXFの記事をご覧ください。
温度・静音性
フォートナイトをOBSで録画しつつ、5分ほどプレイしました。室内温度は26℃です。
結果は下記画像のとおりです。きちんと冷えており、熱で異常な動作になることはありませんでした。
グラフィックボードは、ハイエンドモデルであるにもかかわらず低い温度で動作しています。
動作音については、極端にうるさくはありません。大きな負荷がかかった場合に「ブオー」という音が出ますが、不快な音ではありません。
ただ、PC起動時やスリープ時だけは例外で、最初の数秒だけファンがうるさい音を出します。
外観・内部の画像まとめ
USB端子の数は、前面に2個、背面に8個あります。すべてUSB 3.1です。
背面にはHDMI端子が1個、DisplayPort端子が3個あります。どちらかの端子でモニターをつなげましょう。
サイドパネルからは、CPUクーラーが光っているのを確認できます。
PC内部については下記画像をご覧ください。じゅうぶんな拡張性があります。内蔵型キャプチャーボードも接続できます。
購入時の注意点
注意点は以下のとおりです。
- HDD非搭載
- マウス・キーボードは付属しない
- 光学ドライブ(DVDドライブ)は非搭載
- ケースのサイズを考慮し、置き場所を確保しておく
貸出機にはHDDが付いていましたが、現時点ではHDDは搭載されていません。録画や動画編集をやるなら、1~2TBのHDDはあったほうがよいでしょう。
光学ドライブは、カスタマイズで付けることができます。ただ、近年はDVD-ROMをPCで使う機会は少ないかもしれません。
ケースのサイズは、幅207 x 奥行き520.7 x 高さ450.2mmです。
まとめ
ガレリア AXZは、すさまじい性能です。ゲーム実況でその性能を遺憾なく発揮してくれます。
もしフルHD環境下でのゲーム配信(生放送)を考えているのであれば、場合によってはオーバースペックとなるかもしれません。
他方、動画編集については、明らかにRyzen 9 3900Xの恩恵を受けるため、通常のCPUエンコード(ソフトウェアエンコード)で書き出し時間が短くなるというメリットがあります。
新しいPCを買う場合、価格を考えてもう少し安いPCでも問題ありません。たとえば、ガレリア AXFあたりでもスペック的にはじゅうぶんすぎます。
結論としては、ガレリア AXZはゲーム実況用として最高クラスのPCを手にしたい人に向いているPCと言えるでしょう。
2006年から15年以上、ゲーム実況のやり方の解説記事を書いています。書いた記事数は1,000本以上。ゲーム配信、ゲーム録画、動画編集の記事が得意です。
記事はていねいに、わかりやすく!ゲーム実況界の教科書をめざしています。
コメント
ゲーム中の使用率をよく見ると、CPUは大丈夫でもGPUが少し重いんですね。
未来の240fpsで低負荷なGPUに期待しましょう
だいぶ値段が張りますよね...でも、貯金貯めて買いたいです