OBS Studio(以下OBS)を使用している場合、どうすればDiscordのボイスチャットの通話音声を入れないで配信できるのでしょうか。
今回は、VoiceMeeter Banana(以下、Bananaと略)という無料ソフトを使ったやり方について見ていきます。
便宜上、ライブ配信を想定して解説していますが、録画の場合も設定は同じです。
以下の解説は、Windows PCの使用を前提としています。macOSについては扱わないので、注意してください。
目次
この方法は、あまりに難度が高い
Bananaは仮想ミキサーといって、どの音をどこに流すのか一元的に制御できるソフトです。
とても便利なのですが、慣れるまで手間と時間がかかるかもしれません。というのも、画面上に多くのボタンがあり、どのように操作をすればよいのか、最初は理解しづらいからです。
また、Bananaを使用しているときのOBSの音声設定は、通常時の配信設定とは違うものになります。そのため、OBSの音声設定で混乱するかもしれません。
Bananaを使わない別のやり方については、下記ページをご覧ください。
また、いろいろな情報を参考にしすぎた結果、OBSの設定がメチャクチャになるケースもあります。念のため設定をバックアップしておいたほうが安全です。
Bananaをダウンロードしよう
まずは、Bananaをダウンロードしましょう。無料です。
- 公式サイトにアクセスする。
- 「Download」ボタンをクリックする。
- ダウンロードしたZIPファイルを解凍する。
つぎはインストールです。
- 「VoicemeeterSetup」フォルダー内にある「VoicemeeterProSetup」をダブルクリックする。
- 「Install」ボタンをクリックする。
- インストールが完了する。
Windowsの設定を変更しよう
さっそくBananaで設定していきたいところですが、最初にWindowsのサウンド設定を変更しておきましょう。
既定のデバイスを設定する
画面右下のスピーカーアイコンを右クリックし、「サウンドの設定を開く」をクリックします。
▲右クリック
Windowsのサウンド設定画面が開きました。「出力」の部分を「VoiceMeeter Input」にします。
また、「入力」の部分を「VoiceMeeter Output」 にします。
既定の通信デバイスを設定する
今度は「サウンド コントロール パネル」をクリックします。
すると、新たに設定画面が開きました。「再生」タブの「VoiceMeeter Aux Input」に受話器のアイコンが表示されていることを確認してください。
もし受話器のアイコンが表示されていない場合は、同項目上で右クリックし、「既定の通信デバイスとして設定」をクリックします。
「録音」タブでも同様に、「VoiceMeeter Aux Output」に受話器のアイコンが表示されていることを確認します。
Bananaで最初の設定しよう
起動する
Bananaを起動する方法は、以下のとおりです。
- スタートボタン(画面左下の窓)をクリックする。
- 「VoiceMeeter Banana」を探してクリックする。
ヘッドホン・スピーカーを選ぶ
Bananaを起動したら、音を出す設定を行いましょう。ふだんPCの音を聞くのに使っている機器を、画面右上の「HARDWARE OUT」の「A1」で選びます。
適切に設定することで、意図した機器からPCの音が出るようになります。試しに、なにか音を再生してみてください。
- イヤホン
- ヘッドホン
- ヘッドセット
- スピーカー
▲「A1」をクリックすると「WDM」「KS」など似たような項目が表示されますが、いまは神経質になる必要はありません。よくわからない場合は、「WDM」が入っているものを選びます。
マイクを選ぶ
つぎはマイクの設定です。使用するマイクを「HARDWARE INPUT 1」で選択しましょう。
適切に設定することで、自分の声を入れることができるようになります。OBSやDiscord使用時に、自分の声を聞いてもらうために必要な設定です。
Bananaのボタンを切り替えよう
さて、いよいよ難しい部分です。
流す音を決める
Bananaには、「A1」「B1」などさまざまなボタンが並んでいます。圧倒されるかもしれません。
じつは、各種ボタンはクリックでON/OFF切り替えられるようになっており、どの音をどこに流すのか決めることができます。
▲初期設定ではこのようにボタンが点灯していますが、ここから自分でON/OFF切り替えていきましょう。
たとえば、通話相手の声を配信に乗せたくないときは、「Voicemeeter AUX」の「B1」をOFFにします。
意味がわからないと思いますが、いったん下記画像のとおりにボタンを設定してみてください。色を塗った3列だけでかまいません。
画面の見方(縦列)
いま行った設定がどのような意味なのか見ていきましょう。
まず、ポイントは縦列です。端的には、OBSまたはDiscordに流す音の種類を表しています。
中央の「Voicemeeter VAIO」は、以下のようなデスクトップ音声のことをさしています。ただし、通話相手の声は含みません。
- PCゲーム音
- YouTubeの動画の音
- 棒読みちゃんの音
- iTunesの音
では、同じく中央にある「Voicemeeter AUX」はというと、通話相手の声のことです。
もし名前がわかりづらい場合は、右クリックして名前を変更してもかまいません。好きな名前にできます。
画面の見方(ボタン)
つぎは、縦列に並んでいるボタンの意味を理解しましょう。これは、どこに音を流すのかという設定です。
重要なのは3つだけです。極論を言うと、「B1」と「B2」がどこに音を流す設定なのか記憶しておけば問題ありません。
音の行き先 | 備考 | |
A1 | ヘッドホン・スピーカーへ | 「HARDWARE OUT」で設定したデバイスのこと |
B1 | OBSへ | Windowsの既定のデバイスのこと(「録音」タブ) すなわち、VoiceMeeter Output |
B2 | Discordへ | Windowsの既定の通信デバイスのこと(「録音」タブ) すなわち、VoiceMeeter Aux Output |
たとえば、OBSへ音を流したいなら「B1」をONにします。流したくないならOFFです。
具体例1
では、通話相手の声を配信に乗せたくない場合の設定方法を考えてみましょう。
通話相手の声ですから、「Voicemeeter AUX」の列を見ます(上述)。そして、OBSへ音が行かないように設定したいので、「B1」をOFFにすればよいのです。
▲「Voicemeeter AUX」の「B1」をOFFにしたところ
そうすれば、通話相手の声はOBSに出力されず、配信に乗りません。
ボタンをON/OFF切り替えることで、Bananaからほかのソフトへ音声を出力するかどうか制御できるわけです。
具体例2
今度は、ゲーム音を配信で流す設定を考えてみましょう。
ゲーム音を意味しているのは「Voicemeeter VAIO」でした(上述)。OBSへゲーム音を送りたいので、この部分の「B1」をONにします。
▲「Voicemeeter VAIO」の「B1」をONにしたところ
また、もしマイク音(自分の声)を配信で流したいのであれば、「マイク」の部分にある「B1」をONにします。
▲「マイク」の「B1」をONにしたところ
もちろん、マイク音を流したくないのであれば「B1」はOFFでかまいません。ゲーム音だけをOBSで配信できます。
OBSの設定をしよう
「マイク音声」を変更する
Bananaから出力された音声をOBSで入力したいので、そのための設定を行います。
「設定」→「音声」の順にクリックし、「マイク音声」を「VoiceMeeter Output (VB-Audio VoiceMeeter VAIO)」に変更しましょう。
なお、ここは「既定」でもかまいません。今回は念のためです。
「デスクトップ音声」を変更する
そして、忘れずに「デスクトップ音声」を「無効」にしてください。
「既定」にしつつ、デスクトップ音声をミュートする方法もあるのですが、無効のほうがより確実です。
Discordの設定を確認しよう
Discordについては、以下のように設定しましょう。
- 左下の歯車アイコンをクリックする。
- 「音声・ビデオ」をクリックする。
- 「入力デバイス」が「Default」になっていることを確認する。
- 「出力デバイス」が「Default」になっていることを確認する。
ここでいう「Default」とは、さきほどWindowsのサウンド設定で選択したデバイスのことをさしています。
- 入力デバイス : VoiceMeeter Aux Output
- 出力デバイス : VoiceMeeter Aux Input
音が出ない、聞こえないときは
以下の点を守れば音は出ます。
- 「VoiceMeeter Input」を既定のデバイスにする
- Bananaを起動する
- Bananaを起動後、右上で出力デバイスを設定する
- 「Voicemeeter VAIO」の「A1」を点灯させる
- 音量をミュートにしない
とくに気をつけたいのは、Bananaを起動していないときは音が出ないという点です。
これを回避したいなら、Windowsのサウンド設定の画面を開き、「出力」の部分を変更しましょう。たとえば、「スピーカー (Realtek Audio)」などに戻します。つまり、既定のデバイスを変更します。
ただ、そうすると次回Bananaを起動したとき、また音が出ません。今度は、「出力」を「VoiceMeeter Input」に変更する必要があります。
つまり、いずれにせよ音が出ないパターンが考えられるので、必要に応じて設定を変更しなくてはいけません。
まとめ
設定方法を大まかに表すと、4ステップです。
- Windowsのサウンド設定をする。
- Bananaの設定をする。
- OBSの設定をする。
- Discordの設定をする。
Bananaの設定については、(1)縦列と(2)各列のボタンの意味を理解する点が重要です。
2006年から15年以上、ゲーム実況のやり方の解説記事を書いています。書いた記事数は1,000本以上。ゲーム配信、ゲーム録画、動画編集の記事が得意です。
記事はていねいに、わかりやすく!ゲーム実況界の教科書をめざしています。
コメント
Voice meeterを通すと、自分の声もPCの音も全てにノイズが発生してしまいます
1年以上使ってきて初めて起こりました
Voice meeterをアンインストールしても残る関連ファイルを手動で全て削除してからインストールし直したり、BananaやPotatoの違うものをインストールしたり、再起動したり、何をしても同じでした
既定のプログラムを直接ヘッドセットにすると正常に聞こえるのでヘッドセットの問題ではないことは確かです
非常に高性能で今まで役に立っていたのですが、もし直らないなら代替の似たソフトはないものでしょうか・・・
こんにちは。
録画にボイスチャットを入れたくないのでこのVoicemeeter Bananaを使用することを検討しています。
しかし、それによってゲームのフレームレートが大きく落ちてしまうと本末転倒なので、PCへの負荷はどれぐらいなのかを知りたいです。
よろしくお願いします。
あまりにも重いようなら別の方法を試してみます。
記事とは内容が違いますがOBSの質問です
OBSの設定で音声モニタリングに設定したデバイス(オーディオインターフェイス)で放送に乗せる音を聞いているとだんだん音ズレが起きて2時間ほどで0.5秒ほどズレてかなり気持ち悪くなります。
OBSを再起動すればまた治るのですがやはり時間経過と共に音ズレが発生します。
対策方法はありますでしょうか?
タイムスタンプのチェックONOFFやサンプリングレートを44.1や48に合わせる等はやってみましたが効果無しでした。