よくある質問として多いのが、OBS Studio(以下OBS)で特定の音だけを配信に乗せる方法がわからないというものです。
たしかに従来の方法では設定が難しく、簡単にはできませんでした。
そこで今回は、OBSのプラグインである「win-capture-audio」を使ってみましょう。一例ですが、以下のようなことができます。
- ゲーム音だけを乗せる
- ブラウザー(例 : Chrome)で視聴中の動画の音は乗せない
- Discordの通話相手の声は乗せない
使い方は驚くほど簡単です。
OBSのバージョンが27.0.1以上、かつWindows PCであることを前提にしています。
便宜上、ライブ配信を前提にしていますが、録画の場合も設定は同じです。
目次
【最新】OBS 28.0からプラグイン不要に
2022年9月1日にOBS 28.0がリリースされました。
このバージョンでは、プラグインをインストールせずともwin-capture-audioと同じことができるようになっています(細かい点で違いあり)。
詳細については、下記ページをご覧ください。プラグインを使わずに行う方法・注意点をまとめました。
ここから下はプラグインを使用する場合のやり方となります。
具体的にどんなことができる?
「いま自分が聞いている音を配信に乗せたくない」と思ったことはないでしょうか。
以下のような音です。
- YouTube、Amazonプライム・ビデオ、Netflixなど、動画の音声
- 音楽
- Discordの通話相手の声
- 棒読みちゃんの読み上げ音声
- Windowsのシステム音(例 : 「ポーン」という音)
たとえば、Discordで仲間と会話しつつPCゲーム配信をやりたいのですが、仲間の声を配信で流したくありません。
あるいは、Amazonプライム・ビデオでアニメを視聴しつつ、棒読みちゃんの音声は配信で流したいのですが、アニメの音を配信で流すわけにはいきません。
このようなときはwin-capture-audioの出番です。配信に乗せるアプリの音・乗せないアプリの音を指定できます。
ダウンロード・インストールする
win-capture-audioは、プラグインとして無料配布されています。
- GitHubにアクセスする。
- 「Assets」をクリックする。
- 「win-capture-audio v2.1.0-beta」をダウンロードする。
▲解説では「v2.1.0-beta」を使っています。「v2.2.0-beta」以降だとUIが少し異なるので注意してください。
ダウンロードしたら通常どおりEXEファイルを実行しましょう。
- 「I accept the agreement」をクリックする。
- 「Next」をクリックする。
- 「Install」をクリックする。
「WindowsによってPCが保護されました」という画面が表示された場合、「詳細情報」から「実行する」をクリックするようにしてください。
▲もし「実行しない」をクリックしてしまうと、win-capture-audioをインストールできません。
デスクトップ音声を無効にする
まず前提として、「設定」→「音声」の「デスクトップ音声」を「無効」に(またはミュートに)します。
ここは注意してください。デスクトップ音声が有効のままだと、音が二重になって金属音のように聞こえたり、配信に乗せたくない音が乗る場合があります。
「音声ミキサー」に「デスクトップ音声」が表示されなくなりますが、問題ありません。正常です。
なお、自分の声も入れたい場合は、「設定」→「音声」→「マイク音声」でマイクを選択してください。ここはいつもどおりです。
ソースから追加する
いよいよwin-capture-audioの設定をしていきましょう。「ソース」の「+」から「Application Audio Output Capture」をクリックします。
▲このソースは、win-capture-audioをインストールしていないと表示されません。どうしても表示されない場合は、OBSのバージョンを27.0.1以上にしてみてください。
「OK」をクリックします。
すると、設定画面が開きました。どの音を配信に乗せるか(乗せないか)、この設定画面で決めていきます。
どの音を乗せるか決める
「モード」の設定
「モード」が「特定のウィンドウをキャプチャ」になっていることを確認しましょう。この設定にすると、すぐ下にある「ウィンドウ」で任意のアプリを指定できるようになります。
「モード」では「ホットキーで前面のウィンドウをキャプチャー」も選べますが、通常は使いません。
▲ホットキーを押したタイミングで、最前面にあるアプリの音を指定する方法です。
「ウィンドウ」の設定
重要なのは「ウィンドウ」の部分の設定です。任意のアプリを選択しましょう。
▲アプリ名が表示されていない場合は、アプリを起動したうえで設定画面を開き直します。
ここで選択したアプリから出ている音だけが配信に乗り、それ以外の音は配信に乗りません。
- 「ウィンドウ」で選択したアプリ → 乗る
- それ以外のアプリ → 乗らない
たとえば、「ウィンドウ」でPCゲームを選択した場合、ゲーム音だけが視聴者に聞こえます。
したがって、もしDiscordでフレンドと会話しても、彼の声は視聴者に聞こえません。また、ChromeでYouTubeの動画を見たとしても、動画の音は視聴者に聞こえません。しかし、自分にはいつもどおり聞こえます。
除外設定も便利
上述した設定は、指定した1個のアプリの音だけを配信に乗せ、それ以外のアプリの音を配信に乗せない、という設定でした。
しかし、逆に複数のアプリの音を配信に乗せ、1個のアプリの音だけを配信に乗せない設定もできます。
必要に応じて「選択したウィンドウ以外のすべての音声をキャプチャ」にチェックを入れましょう。
チェックを入れると、「ウィンドウ」で選択したアプリの音以外の、すべてのアプリの音が配信に乗ります。
- 「ウィンドウ」で選択したアプリ → 乗らない
- それ以外のアプリ → 乗る
たとえば、PCゲームの音や、棒読みちゃんの声、Discordの通話相手の声は配信に乗せたいのだけれども、Chromeの音だけは乗せたくないとしましょう。
- PCゲーム → 乗せたい
- 棒読みちゃん → 乗せたい
- Discord → 乗せたい
- Chrome → 乗せたくない
この場合、「ウィンドウ」で「chrome.exe」を選びます。
そして、「選択したウィンドウ以外のすべての音声をキャプチャ」にチェックを入れるわけです。すると、Chrome以外のすべての音を配信に乗せる設定になります。
成功?レベルメーターを確認
狙いどおりに設定できたかどうか、「Application Audio Output Capture」のレベルメーターを見て確認しましょう。
配信では流したくない特定の音を再生したとき、「Application Audio Output Capture」のレベルメーターが無反応であれば、その音は配信に乗りません。成功です。
他方、「Application Audio Output Capture」のレベルメーターが動いているなら、基本的にその音は配信に乗ります。
したがって、配信に乗せたくない音がある場合は、試しにその音だけを再生してみます。そして、レベルメーターが動いていないことを確認してください。
まとめ
win-capture-audioの使い方は2ステップです。
- 「Application Audio Output Capture」を追加する。
- どの音を乗せるか、乗せないか設定する。
さまざまな事情により配信に乗せるのはマズイけれども、その音を聞きながら配信したいというケースがあるはずです。
いままでVoicemeeter BananaやVB-Audio Virtual Cableの設定が苦手だった人にとって、win-capture-audioは救世主になることでしょう。
ただ、音声トラブルに注意してください。win-capture-audioを追加しているため、通常時とは設定が異なった状態になっています。問題の切り分けが重要です。
2006年から15年以上、ゲーム実況のやり方の解説記事を書いています。書いた記事数は1,000本以上。ゲーム配信、ゲーム録画、動画編集の記事が得意です。
記事はていねいに、わかりやすく!ゲーム実況界の教科書をめざしています。
コメント
除外設定も便利
のところ、まだこれできますか?
このプラグインを入れると、Windowsの音量調節にOSBが音声を出力するアプリ(ソフト)として表示されていて、これを無効化するとAAOCが働かないことに注意してください。
(私はそれをやってしまって、AAOCが動かないなぁとちょっと悩みました笑)
それを入れて書かれているとおりにしたのですけど音量ミキサーが一ミリも動きません
これそのソースのウインドウ閉じると音消えるからまた設定し直さなきゃいけないんですかね
Application Audio Output Captureの設定を変更していないことが
前提になりますが、再度そのウィンドウを開けばその音だけキャプチャーできます。
掲載して頂き、目からうろこです!
とても簡単に導入できて助かりました!
ありがとうございました♪