OBS Studio(以下OBS)には、「リプレイバッファ」という機能があります。これは、ボタンをクリックしたときから遡って動画を保存する機能です。
たとえば、ゲームをプレイ中に決定的な瞬間があったとします。そのタイミングでボタンをクリックしましょう。
すると、クリックした瞬間までの、事前に指定しておいた時間ぶんの動画を保存してくれます。
見どころがあったときだけ、そして必要なぶんだけ動画にできるので、ストレージ(HDD/SSD)容量の節約になるメリットがあります。
また、動画の長さ(尺)が短く、内容も明確なぶん、のちの動画編集も効率的に行えるかもしれません。
関連 【図解】OBSでゲーム画面録画するときの設定マニュアル
目次
大きく3ステップ
リプレイバッファーの設定は大きく3ステップです。
- 「設定」→「出力」タブで設定する。
- リプレイバッファーを開始する。
- リプレイを保存する。
やり方は難しくありませんが、設定ミスがあると使えません。手順を正確に踏む必要があります。
使い方を順に見ていきましょう。
画面を映す、音を出す
まず前提として、OBSにソースを追加しておく必要があります。つまり、OBSにゲーム画面などを映しておいてください。音声設定も事前に行っておきます。
画面が映らない、音が出ないなど、リプレイバッファーを開始するまえにトラブルが起きた場合は、下記ページをご覧ください。
「出力」タブで設定する
リプレイバッファーの設定をしていきましょう。確認すべき点が多いので、使い方には注意が必要です。
「出力モード」を「詳細」に
まず、以下のように設定します。
- 「設定」→「出力」の順にクリックする。
- 「出力モード」を「詳細」にする。
- 「リプレイバッファ」タブが表示される。
「出力モード」は「基本」でもよいのですが、当サイトは「詳細」で統一しました。録画設定をより細かく行えます。
「種別」を「標準」に
引き続き以下のように設定します。
- 「録画」タブを開く。
- 「種別」を「標準」にする。
▲「録画」タブは「音声」タブの左隣にあります。「配信」タブとまちがえやすいです。
録画フォーマットの設定
「録画フォーマット」を任意のものに設定します。よくわからない場合は、「Fragmented MP4 (.mp4)」または「Hybrid MP4 (.mp4)」がおすすめです。
このあと、もし動画を編集ソフトで読み込めなかった場合は再多重化してください。「ファイル」→「録画の再多重化」です。
リプレイバッファーを有効に
つぎに、リプレイバッファーを有効にしましょう。
- 「リプレイバッファ」タブを開く。
- 「リプレイバッファを有効にする」にチェックを入れる。
「最大リプレイ時間」の設定
「最大リプレイ時間」は、どのくらいの時間を遡って動画を保存するのかという設定です。
▲時間を増やすほど「推定メモリ使用量」も増えます。「メモリ」はメインメモリのことで、リプレイバッファーを開始するとデータをここに保持し、最終的に動画としてストレージに書き込みます。
たとえば、20分間保存したいのであれば「1200」と入力します。単位は秒(s)になっているので注意してください。
- 1,000秒=16分40秒
- 500秒=8分20秒
「最大リプレイ時間」の設定ができない(グレーアウトしている)場合は、「録画」タブの「レート制御」が「無損失」になっているのが原因です。
「最大メモリ」の設定
同じく「録画」タブの「レート制御」の設定によっては、下記画像のように「最大メモリ (メガバイト)」の設定が表示されます。
▲「最大メモリ (メガバイト)」「メモリ使用量を見積もることができません。最大メモリ制限を設定してください」と表示されるケース
一例ですが、「録画」タブで「映像エンコーダ」が「NVIDIA NVENC H.264」、かつ「レート制御」が「CQP」の場合などに表示されます。
あとでリプレイを保存したさい、指定した時間よりも短い動画になってしまったときは、この「最大メモリ (メガバイト)」を少し増やしてみてください。
開始→保存する
開始する
ここまで設定できたら、「リプレイバッファ開始」ボタンが表示されているはずです。同ボタンをクリックしましょう。
▲ボタンが表示されていない場合は、上述した設定ができていません。
すると、「リプレイバッファ停止」ボタンに変化します。これ以降、バックグラウンドで録画が開始します。
もしOBS起動時に自動でリプレイバッファーを開始したい場合は、起動パラメーターを設定してください。
- OBSを閉じる。
- OBSのアイコンを右クリックする。
- Windows 11の場合、「その他のオプションを表示」をクリックする。
- 「ショートカットの作成」をクリックする。
- いま作ったOBSのショートカットアイコンを右クリックし、「プロパティ」をクリックする。
- 「リンク先」に「(半角スペース)--startreplaybuffer」を追加で入力する。
- 「OK」をクリックする。
- OBSのショートカットアイコンをダブルクリックして起動する。
▲「"C:\Program Files\obs-studio\bin\64bit\obs64.exe" --startreplaybuffer」と入力しました。半角スペースの入力を忘れやすいです。
参考 OBS Studio 起動パラメータ - OBSに関する情報メモブログ(外部サイト)
ほかにも、ライブ配信開始と同時にリプレイバッファーを自動開始することもできます。
- 「設定」→「一般」の順にクリックする。
- 「配信時に自動的にリプレイバッファを開始する」にチェックを入れる。
- 「OK」をクリックする。
保存する
リプレイバッファーを開始後、任意のタイミングで下矢印をクリックしましょう。動画がストレージに保存されます。これをリプレイの保存といいます。
動画の保存先は、通常の録画と共通です。「ファイル」→「録画を表示」で動画を確認してください。
「停止」に注意
注意点として、動画を保存したいときは「リプレイバッファ停止」ボタンをクリックしないようにしましょう。
なぜなら、同ボタンをクリックするとリプレイバッファー開始以降のデータを破棄するため、動画が保存されないからです。
逆に、データを破棄したい(動画を保存したくない)のであれば、「リプレイバッファ停止」ボタンをクリックしても問題ありません。
高画質にするには
画質設定は通常の録画と共通です。
「画質が悪い」「高画質で録画したい」という場合は、下記ページをご覧ください。
上書き注意のファイル名
初期設定では、保存した動画のファイル名には「Replay 2028-10-27 22-20-03」のように日付・時間が入ります。
基本的に、ファイル名を初期設定から変更する必要はありません。
もしファイル名を変更したい場合は、以下のようにします。
- 「設定」→「詳細設定」の順にクリックする。
- 「ファイル名書式設定」を変更する。
- 「OK」をクリックする。
この場合、「ファイルが存在する場合は上書きする」に注意してください。チェックを入れたままだと、前回保存した動画が上書きされます。
たとえば、初期設定の「%CCYY-%MM-%DD %hh-%mm-%ss」なら問題はありませんが、「a」などのファイル名にしてチェックを入れていると上書きされます。
ホットキーについて
「設定」→「ホットキー」でホットキーを設定できます。
設定箇所が3つあります。
- リプレイバッファ開始
- リプレイバッファ停止
- リプレイ保存
上でも書きましたが、「リプレイバッファ停止」と「リプレイ保存」は違うので、注意してください。
まとめ
リプレイバッファーは設定自体は難しくありません。
ただ、地味に注意点が多いため、「なぜか使えない」「設定できない」「(ボタン)が出てこない」などのトラブルが起きやすい機能でもあります。
しかし、1個ずつ設定を確認していけば便利に使えるので、ぜひチャレンジしてみてください。
2006年から15年以上、ゲーム実況のやり方の解説記事を書いています。書いた記事数は1,000本以上。ゲーム配信、ゲーム録画、動画編集の記事が得意です。
記事はていねいに、わかりやすく!ゲーム実況界の教科書をめざしています。