OBS Studio(以下OBS)の画面をDiscordやZoomに映したい(共有したい)なら、仮想カメラ機能を使いましょう。
同機能を使うことで、
- OBSの画面を通話相手に見せられる
- ゲーム配信のようなことができる
- シーン機能で複数の画面をワンタッチでスムーズに切替えられる
などのメリットがあります。
使い方は簡単ですが、ゲーム音声なども相手に聞いてもらいたい場合、別途設定が必要なケースがあります。
以下の解説は、Windows版を前提としています。
目次
仮想カメラとは
仮想カメラとは、端的にいえばOBSがWebカメラのような機能を担うことをさしています。
たとえば、Discordで自分の顔を映したいときをイメージしてください。DiscordのほうでWebカメラを選ぶと、自分の顔が映ります。
▲Webカメラ
OBSの仮想カメラも同じで、OBSの画面を映したいときはDiscordのほうでOBSの仮想カメラを選ぶわけです。そうするとOBSの画面が映ります。
▲仮想カメラ
つまり、OBSがWebカメラのような役割を持った状態と考えればわかりやすいでしょう。これが仮想カメラです。
OBSで仮想カメラを開始する
まず最初に「仮想カメラ開始」をクリックしてください。これだけで、ほかのアプリにはOBSがカメラとして認識されます。
あまりないかもしれませんが、特定のシーン・ソースだけを見せたいときの設定は歯車アイコンからできます。
たとえば、OBSの変な画面を見られたら困るという場合、「出力の種類」で「ソース」を選び、「出力の選択」で特定のソースを選びましょう。
そうすると、いま「出力の選択」で選んだものだけが相手に見え、ほかのものはいっさい相手に見えません。
もしソース・シーンについて不明な点がある場合は、下記ページをご覧ください。
Discord側の設定をする
「カメラ」を「OBS Virtual Camera」に
OBS側の設定が完了したので、つぎはDiscord側の設定です。
歯車アイコンをクリックします。
つぎに、「音声・ビデオ」をクリックしてください。
画面を下にスクロールしたところに「カメラ」があります。ここを「OBS Virtual Camera」にしましょう。
VCに参加して「カメラ」をONに
そうしたらボイスチャンネルに参加します。
すると、画面左下にカメラアイコンが表示されました。ここをONにします。忘れやすいところですが、毎回ONにする必要があります。
▲カメラをONにした状態
完成です。DiscordにOBSの画面が映りました。Discordに映っている画面は左右反転して表示されますが、通話相手の画面では正常に表示されます。
注意したいのですが、PCの音声は出ません。これは不具合ではなく、OBSとDiscordの仕様です。対処法は後述します。
Zoom側の設定をする
OBS側の設定が完了したので、つぎはZoom側の設定です。
まず、通常どおりミーティングを開始し、左下の「ビデオ」から「OBS Virtual Camera」を選択してください。
完成です。ZoomにOBSの画面が映りました。Zoomに映っている画面が左右反転して表示されていても、ほかの参加者の画面では正常に表示されます。
もし左右反転を直したい場合は、以下のように設定しましょう。
- 画面右上の自分のアイコンをクリックする。
- 「設定」をクリックする。
- 「ビデオ」タブを開き、「マイビデオをミラーリング」にチェックを外す。
PCの音声については後述します。
仮想カメラを自動開始する方法
もし毎回「仮想カメラを開始」を手動でクリックするのが煩雑である場合は、OBS起動時に自動で開始できます。
OBSの起動パラメーターを使いましょう。以下のように設定します。
- OBSを閉じる。
- OBSのアイコンを右クリックする。
- 「その他のオプションを表示」をクリックする。
- 「ショートカットの作成」をクリックする。
- いま作ったOBSのショートカットアイコンを右クリックし、「プロパティ」をクリックする。
- 「リンク先」に「(半角スペース)--startvirtualcam」を追加で入力する。
- 「OK」をクリックする。
- OBSのショートカットアイコンをダブルクリックして起動する。
▲「"C:\Program Files\obs-studio\bin\64bit\obs64.exe" --startvirtualcam」と入力しました。半角スペースの入力を忘れやすいです。
Switch・PS5の画面を共有する方法
SwitchやPS5の画面をDiscordで共有したい場合、前提としてキャプチャーボードが必要です。PC用の周辺機器です。
今回のようなことが目的の場合、キャプチャーボードはHSV321のような安い製品でもかまいません。
そのうえで、OBSにSwitchのゲーム画面を映し、かつOBSからSwitchのゲーム音が聞こえてくる状態にしておきます。
OBS側の具体的な設定方法については、下記ページに情報をまとめました。
設定が終わったら、あとは上述したとおりです。
- OBS側で「仮想カメラ開始」をクリックする。
- Discord側で「カメラ」が「OBS Virtual Camera」であることを確認する。
- Discord側でボイスチャンネルに参加する。
- Discord側で「カメラ」をONにする。
Discordでゲーム音声を出す方法
音が出ないのは仕様
問題はゲーム音声です。じつは上記設定だけでは、PCの音全般が出せません。
なぜなら、OBSの仮想カメラはあくまでも映像のみ出力するようになっているからです。
つまり、自分にゲーム音が聞こえていても、Discordの通話相手には聞こえていません。相手からしたら「え、音なんか聞こえないよ?」という状態になります。
もちろん、対処法はあります。
ただ、仮想カメラを使うことを前提にすると、音を出すための設定は難度が高いです。最初は時間がかかるでしょうし、内容は意味不明でしょう。
他方、仮想カメラを使わない場合はもっと音を簡単に出せます。それについては、2024年12月下旬に解説記事を公開予定です。
対処法
おすすめの方法ではないので、ざっとやり方を書くだけに留めます。
繰り返しますが、もっと簡単にできる方法は別記事に掲載する予定です。
<VB-CABLEをインストール>
- 公式サイトにアクセスする。
- 「Download」ボタンをクリックする。
- ダウンロードしたZIPファイルを解凍する。
- 「VBCABLE_Setup_x64」上で右クリックする。
- 「管理者として実行」を選択する。
- 「Install Driver」をクリックする。
- 画面を進めていく。
<既定のデバイスを確認>
- PC画面右下のスピーカーアイコンを「右」クリックする。
- 「サウンドの設定」をクリックする。
- 「出力」で「CABLE In 16 Ch (VB-Audio Virtual Cable)」が選ばれていることを確認する。
<「このデバイスを聴く」をONに>
- いまのサウンド設定画面を下にスクロールし、「サウンドの詳細設定」をクリックする。
- 「録音」タブを開き、「CABLE Output」をダブルクリックする。
- 「聴く」タブを開き、「このデバイスを聴く」にチェックを入れる。
- その下にある「このデバイスを使用して再生する」で、いつも自分が音を出している再生機器を選ぶ(重要)。
- 「OK」をクリックする。
▲「このデバイスを使用して再生する」で選ぶべき項目は、PC環境によって異なります。たとえば、USBヘッドセットを使っているならそれを選んでください。
<OBSの音声モニタリング設定>
- OBSの「音声ミキサー」の歯車アイコンをクリックする。
- 「映像キャプチャデバイス」の「音声モニタリング」を「モニターのみ(出力はミュート)」にする。
- 「設定」→「音声」の順にクリックする。
- 「モニタリングデバイス」が「既定」であることを確認する。
- 「既定」でない場合は、「既定」にしてOBSを再起動する。
<Disocordの設定>
上述したとおりです。
<備考>
筆者もゲーム音が出せないことがありましたが、原因はDiscordの「入力モード」が「プッシュトゥトーク」になっていたからでした。
今回の対処法の場合、PCで再生している音はすべて通話相手に聞こえます。たとえば、YouTubeの音なども聞こえます。
Zoomでゲーム音を出す方法
Zoomの場合、ゲーム音を出す設定は簡単です。
OBSを下記画像のように設定しましょう。上述のDiscordの場合の設定と同じです。
これだけで、ゲーム音などPCの音すべてがミーティング参加者に聞こえます。
ただ、筆者の場合はゲーム音の一部しか出ないトラブルが起きました。
原因は、Zoomの「オーディオ」→「オーディオ設定」の「Zoom バックグラウンド ノイズ除去」でした。「自動」になっていたのですが、これを「低」にすると直りました。
まとめ
仮想カメラの使い方は簡単です。
<Discord>
- OBSで「仮想カメラ開始」をクリックする。
- Discord「音声・ビデオ」→「カメラ」を「OBS Virtual Camera」にする。
- DiscordでVCに参加する。
- Discordの「カメラ」をONにする。
<Zoom>
- OBSで「仮想カメラ開始」をクリックする。
- ミーティングを開始する。
- Zoom「ビデオ」から「OBS Virtual Camera」を選択する。
OBSの便利機能は、ほかにもたくさんあります。下記ページも併せてご覧ください。
2006年から15年以上、ゲーム実況のやり方の解説記事を書いています。書いた記事数は1,000本以上。ゲーム配信、ゲーム録画、動画編集の記事が得意です。
記事はていねいに、わかりやすく!ゲーム実況界の教科書をめざしています。