RS-HDCAP-4PTは、2019年3月にラトックシステムから発売されたキャプチャーボードです。
▲ラトックシステム 4Kパススルー対応HDゲームキャプチャー RS-HDCAP-4PTの外観(リンク先 : Amazon)
特長としては、
- 専用ドライバー不要
- 4Kパススルー対応
- 動画編集ソフト「PowerDirector 12」が付属
の3点となります。
今回はサンプルを提供していただいたので、感想・体験談とともに、簡単な使い方をご紹介します。
目次
外観のチェック
RS-HDCAP-4PTは、薄くコンパクトなデザインとなっています。サイズ的にはカードケースに近いかもしれません。軽量です。
前面にマイクを接続する端子(マイク入力)があり、これは自分の声を入れたい場合に使います。ただ、PCにマイクをつなげたほうが利便性は高いでしょう。
▲4極の3.5mmジャック。ヘッドセットをつなげると、製品本体からゲーム音 + 自分の声が聞こえるようになっています。
マイク入力の横には、PS4のコントローラーをつなげるための端子があります。ボイスチャット付きの動画を作りたい場合にかぎり、使うことがあります。通常のゲーム実況では使いません。
▲4極の3.5mmジャック。PS4のコントローラーと接続するためのケーブルは、RS-HDCAP-4PTに付属されています。
背面にはHDMI端子が2個搭載されています。ゲーム機をつなげるためのHDMI入力と、TVをつなげるためのHDMI出力(パススルー)です。
付属品のチェック
付属品は、下記画像のとおりです。HDMIケーブルは付属されていません。自分で用意しましょう。
▲写真撮影しませんでしたが、保証書も含まれています。
AUXケーブルは、PS4のボイスチャットを入れた動画を作りたい場合に使います。RS-HDCAP-4PTとPS4のコントローラーをつなげるためのケーブルです。
繰り返しますが、通常の実況動画ではAUXケーブルは使いません。
準備は簡単
実際にRS-HDCAP-4PTを使ってみましょう。
PCのUSB 3.0端子にRS-HDCAP-4PTを接続します。USB 2.0では動作しないので、注意してください。
つぎに、ソフトをダウンロードするわけですが、RS-HDCAP-4PTには「SynCAP」というキャプチャーソフトが付属されています。
具体的にどのようなことができるのかというと、
- ゲーム画面を映す
- 録画する(声も入る)
- ライブ配信する(声も入る)
- スクリーンショット撮影する
ことができます。
SynCAPは入れなくても支障はありません。しかし、念のためインストールしておきましょう。ダウンロード先はこちらです。
ソフトのダウンロードには、シリアル番号の入力が必要です。同番号は製品本体の裏側に掲載されています。
筆者の環境では、付属ソフトは不安定(追記あり)
ゲーム機の電源を入れて付属ソフトのSynCAPを起動すれば、ゲーム画面が映ります。SynCAP側で設定を変更する必要がありません。
映っている画面の縦横比がおかしい場合は、画面上で右クリックし、「アスペクト比」から「16 : 9」を選びましょう。これで直ります。
必要に応じて、歯車アイコンから各種設定を変更します。詳細については、「SynCAPユーザーズマニュアル」(PDF)を参照してください。
- 画質
- 動画の保存先
- ライブ配信の設定(後述)
- マイクの音入れの設定
- 音量の調整
筆者がSynCAPの設定で詰まったのは、「ビデオ音声設定」タブの「オーディオミキサーを有効にする」の部分です。
▲マイクをPCにつなげる場合にチェックを入れます。RS-HDCAP-4PTに直接マイクをつなげる場合は、チェックを入れる必要はありません。
これは「PCに」接続したマイクの音を入れるための機能なのですが、チェックを入れた状態で録画・ライブ配信すると、SynCAPが100%の確率で落ちます。エラーは出ません。
2019年6月12日加筆 : バージョンを3.1.0.125から3.1.0.161にアップデートしたところ、落ちなくなりました。
また、不安定さの話でいうと、そもそもSynCAPが起動しないこともありました。ソフトをダブルクリックして下記画像の状態で待っていると、そのままエラーを吐かずに終了するという状況です。再現率は100%です。
先日導入した新PCでも最初はSynCAPを起動できなかったのですが、再インストールを2回繰り返すことで起動できるようになりました。
付属ソフトでゲーム配信もできた
SynCAPには、ゲーム配信機能が搭載されています。簡単な設定でライブ配信できるというものです。
設定方法ですが、歯車アイコンから「ライブ配信」タブを開いて行いましょう。
「+」をクリックして、YouTubeまたはTwitchを選択し、ログインします。詳細については、「SynCAPユーザーズマニュアル」(PDF)を参照してください。
設定がすんだら、地球のアイコンをクリックすることで配信できます。
配信機能は、簡易的なものという印象です。ShadowPlay(GeForce Experience)にも配信機能がありますが、あれと同じくらいシンプルなものになっています。
細かい設定はできませんが、配信の取っ掛かりにはなるでしょう。やろうと思えば、ニコ生やツイキャスなどに向けて配信することもできます(Custom RTMP)。
ド安定のOBSを使ってもよい
近年のゲーム実況の世界で定番ソフトといえば、OBS Studio(以下OBS)です。
このソフトを入れることで、録画もライブ配信も両方できます。世界中で使われており、安定性もバッチリです。もちろん無料なので、心配いりません。
まずは、「映像キャプチャデバイス」というものを追加します。
- SynCAPを閉じる(必須)。
- 「ソース」のところにある「+」をクリックする。
- 「映像キャプチャデバイス」を選択する。
- わかりやすい名前を付けて「OK」をクリックする。
そのうえで以下のように設定します。
- 「デバイス」で「U3 UAC Video」を選択する。
- 設定画面を下にスクロールし、「カスタム音声デバイスを使用する」にチェックを入れる。
- 「音声デバイス」で「デジタル オーディオ インターフェイス (U3 UAC Audio)」を選択する。
- 「OK」をクリックする。
- ゲーム画面上で右クリックし、「変換」から「画面に合わせる」を選ぶ。
注意点ですが、RS-HDCAP-4PTの場合、「音声出力モード」は「音声のみをキャプチャ」にします。ここを「デスクトップ音声出力」にしてはいけません。
なぜなら、「デスクトップ音声出力」ではゲーム画面とゲーム音が盛大にズレるからです(音ズレ)。しかし、「音声のみをキャプチャ」なら問題ありません。
「映像キャプチャデバイス」の設定でわからないことがある場合は、下記ページをご覧ください。
遅延の大きさは問題なし
どのキャプチャーボードにも必ず遅延があります。
RS-HDCAP-4PTも例外ではありません。ではどの程度の遅延があるのかというと、おおよそ0.05~0.08秒といったところでした。
この程度の遅延であれば、PCに映したゲーム画面を見ながらでもプレイは可能でしょう。
もっとも、どうしても遅延は許せないという場合は、下図のようにパススルー出力してもかまいません。
とくに難しい設定をするわけではありません。HDMIケーブルで本製品とモニターをつなげるだけです。
RS-HDCAP-4PTは、4Kパススルー出力に対応しています(HDRは非対応)。したがって、PS4 Proなど4K対応ゲーム機を持っているのであれば、パススルー出力先の4Kモニターに4Kの映像を映すことができます。
4Kで録画できるわけではないので、その点は注意しましょう。
PowerDirector 12は古く、かつ機能制限版
近年のキャプチャーボードには、動画編集ソフトであるPowerDirectorの機能制限版が付属されています。どのメーカーもゲーム実況を意識しているわけです。
RS-HDCAP-4PTにも、やはりPowerDirectorが付属されています。これで実況動画の編集をするのもよいでしょう。
ただ、諸手を挙げて喜ぶことはできません。なぜなら、付属されているPowerDirectorが12だからです。これは2013年に発売されたバージョンで、あまりに古いと言わざるをえません。
PowerDirectorは、毎年新バージョンが発売されます。2020年12月現在、最新バージョンは19です。
最新のフルバージョンを現在進行系で使っている筆者からすると、12は編集機能が貧弱に感じます。機能制限と相まって、速度変更(早送り、スロー)などゲーム実況で重要な機能が使えないのは、少し残念なところです。
まとめ
端的にまとめるならば、RS-HDCAP-4PTは近年のキャプチャーボードを研究し、トレンド・キーワードをしっかり押さえた製品と言えます。
- ドライバーレス
- 4Kパススルー出力
- PowerDirector付属
- ゲーム実況
詳しい取扱説明書が公式サイトに掲載されており、使い方で困ることは少ないでしょう。付属ソフトのSynCAPが気に入らなくても、OBSがあります。サードパーティ製のソフトの設定方法も取扱説明書に載っています。
ただ、そのいっぽうで大きな目新しさはない製品です。斬新さがあるかないかで言えば、ありません。
「実売」価格は2万円台前半と、一般的なキャプチャーボードとして標準的なものです。このあたりも考慮して、購入を検討するとよいかもしれません。OBSの使用を前提とするなら、無難な製品にしあがっています。
2006年から15年以上、ゲーム実況のやり方の解説記事を書いています。書いた記事数は1,000本以上。ゲーム配信、ゲーム録画、動画編集の記事が得意です。
記事はていねいに、わかりやすく!ゲーム実況界の教科書をめざしています。