AG03とOBS Studio(以下OBS)を使ってゲーム配信する場合の設定について見ていきましょう。
解説では、便宜上、ライブ配信を対象としていますが、録画の場合も同じ設定です。また、AG03MK2などAG03/06シリーズの場合も同じ設定で可能です。
目次
「INPUT MIX」に切り替えよう
OBSでのゲーム配信を前提に考えると、「INPUT MIX」がおすすめです。「TO PC」スライドスイッチを中央に移動しましょう。
▲LOOPBACKの状態。中央のINPUT MIXにします。
なぜ「INPUT MIX」にすべきかというと、これがいちばんシンプルに配信できるからです。基本的なモードと思ってください。
説明 | |
DRY CH1-2G | 各チャンネルの「素」の音をPCへ送る |
INPUT MIX | マイクの音をPCへ送る |
LOOPBACK | PCの音とマイクの音をAG03でミックスし、PCへ送る |
もちろん、「LOOPBACK」や「DRY CH1-2G」でもゲーム配信はできます。しかし、設定・操作が複雑になってしまいます。
たとえば、「LOOPBACK」の場合はゲーム音が二重にならないように、OBS側でデスクトップ音声を無効(またはミュート)にしなくてはいけません(後述)。話がややこしくなります。
「INPUT MIX」時の設定(推奨)
まず、OBSで以下のように設定します。
- 「TO PC」スライドスイッチを「INPUT MIX」にする。
- 「設定」→「音声」を開く。
- 「デスクトップ音声」で「既定」を選択する。
- 「マイク音声」で「ライン(AG06/AG03)」を選択する。
「デスクトップ音声」の「既定」は、PCの音を配信するための設定です。
また、「マイク」で「ライン(AG06/AG03)」を選択することで、AG03から出力されたマイク音を配信する設定にしました。
「OK」をクリックして設定画面を閉じると、OBSの「音声ミキサー」は以下のようになります。
「LOOPBACK」時の設定(非推奨)
おすすめしませんが、どうしても「LOOPBACK」にしたい場合(例 : オケと歌声がズレると困る歌配信など)は以下のように設定してください。
- 「TO PC」スライドスイッチを「LOOPBACK」にする。
- 「設定」→「音声」を開く。
- 「デスクトップ音声」で「無効」を選択する。
- 「マイク音声」で「ライン(AG06/AG03)」を選択する。
ポイントは、「デスクトップ音声」を無効にする点です。デスクトップ音声が有効の場合、視聴者からするとPCの音が二重に聞こえます(ハウリング、エコー)。
もっとも、「デスクトップ音声を無効にしたら視聴者にPCの音が聞こえないのでは?」と思う人もいるかもしれません。
しかし、AG03側でPCの音とマイクの音をミックスしてPCに出力するので、OBS側のデスクトップ音声を無効にしても問題ないのです。
むしろ無効にしないと、AG03とOBSの両方でデスクトップ音声を配信する設定になってしまい、結果的にPCの音が二重になります。
正しく設定した場合、OBSの「音声ミキサー」は以下のようになります。デスクトップ音声を無効にしたので、「デスクトップ音声」は表示されません。
▲「マイク」と表示されますが、正確にはデスクトップ音声 + マイク音声です。AG03側を「LOOPBACK」にしているからです。
ノイズ除去の方法
よけいな音(ノイズ)を除去したい場合、どのように設定すればよいのでしょうか。
- キーボードのタイプ音
- マウスのクリック音
AG03にはノイズ除去機能は搭載されていないので、もしそういった機能を使いたいのであればOBS側で設定しましょう。
具体的には、OBSの音声フィルターである「ノイズ抑制」を使います。
- 「マイク」横にある縦の3点リーダーをクリックする。
- 「フィルタ」をクリックする。
- 「+」から「ノイズ抑制」をクリックする。
- 「RNNoise (より高品質)」を選択する。
詳細については、下記ページをご覧ください。
注意点ですが、「LOOPBACK」にしている場合、マイク音だけでなくゲーム音にもノイズ抑制を適用することになります。
なぜなら、AG03側でゲーム音 + マイク音をミックスしてPCに送り、その音声に対してOBSでまとめてフィルターを適用しているからです。
そうすると、ノイズ抑制が原因で一部のゲーム音が聞こえなくなる(消される)ことがあるかもしれません。
ノイズ抑制というのは、ノイズと考えられる音をカットする機能です。一部のゲーム音もノイズとみなされ、消される可能性があります。
音量調整の方法
AG03側で音量調整してみましょう。
まず覚えておきたいのは、ヘッドホンツマミは自由に調整してよいという点です。
▲ヘッドホンツマミ
たとえば、「ゲームは大音量でプレイしたい」という人は多いでしょう。その場合は、ヘッドホンツマミで調節します。
では、視聴者に「ゲーム音が小さい」「ゲーム音が大きい」と指摘された場合は、どうしたらよいのでしょうか。
この場合は、レベルツマミで調節します。ヘッドホンツマミとは異なり、すべてに影響します。慎重に操作してください。
▲レベルツマミ
たとえば、レベルツマミを左に回せば視聴者に聞こえるゲーム音は小さくなりますし、自分に聞こえるゲーム音も同様に小さくなります。12~3時の位置がおすすめです。
マイク音量については、(1)フェーダーと(2)「GAIN」ツマミで調節しましょう。
▲フェーダー(左)と「GAIN」ツマミ(右)。なお、AG06の場合はフェーダーの代わりにレベルツマミが左下にあります。
自分の声をモニタリングする方法
自分の声を自分で聞きながら配信したい場合は、「MONITOR MUTE」スイッチをOFFにしてください。ONにするとモニターできません。
▲通常は音声をモニタリングする必要はありません。しかし、歌配信などで必要であれば切り替えます。
OBS側にもモニタリング機能がありますが、使う機会は少ないでしょう。AG03のモニター機能よりも遅延があるからです。
▲「モニターオフ」にしておきます。この設定画面は、「編集」→「オーディオの詳細プロパティ」で開きます。
まとめ
ゲーム配信の場合、「TO PC」スライドスイッチは「INPUT MIX」を推奨します。このモードにしておけば、当サイト内の解説を読んでいても混乱することはないでしょう。
基本的に、「LOOPBACK」にすべき機会は多くありません。
OBSでトラブルが起きた場合の対処法については、下記ページも併せてご覧ください。
2006年から15年以上、ゲーム実況のやり方の解説記事を書いています。書いた記事数は1,000本以上。ゲーム配信、ゲーム録画、動画編集の記事が得意です。
記事はていねいに、わかりやすく!ゲーム実況界の教科書をめざしています。