OBS Studio(以下OBS)を使用していて、Discordの通話音声が入らない(出ない)場合、どうしたらよいのでしょうか。
具体的には以下のようなケースです。
- OBSによるライブ配信中、通話相手の声が視聴者に聞こえていない
- OBSで録画したところ、通話相手の声が動画に入っていない
いずれも通話相手の声は自分に聞こえているのに、OBSでうまく取り込めなかったというケースを想定しています。
本来であればとくに設定を変更しなくてもよいのですが、うまくいかない人もいるかもしれません。ぜひこの記事を参考にしてください。
Windows PCの使用を前提としています。
目次
【重要】問題の切り分けをしよう
これはとても重要です。通話相手の声「以外」のデスクトップ音声は問題なく入るでしょうか。
デスクトップ音声というのは、たとえば以下のようなものです。
- PCゲームの音
- YouTubeで再生している動画の音
もしこれらのデスクトップ音声が入らないのであれば、下記ページを最初に読みましょう。デスクトップ音声をライブ配信・録画できる状態にします。
しかし、PCゲームの音やYouTubeの動画の音は入るのに、通話相手の声「だけ」が入らないという場合は、このまま記事を読み進めてください。Discordの設定に問題があります。
なぜ通話相手の声だけ入らないか
OBSの設定に問題がないという前提での話になりますが、Discordの「出力デバイス」の設定が原因です。
実際にDiscordの設定画面を開いてみましょう。画面下部の歯車アイコンをクリックします。
そして、「音声・ビデオ」をクリックしてください。
「出力デバイス」を正しく設定することで、OBSに通話相手の声が入るようになります。では、どのように設定すればよいのでしょうか。
Discordでどう設定するのか
3つのソフトですべて同じオーディオ機器を使う設定にします。用語が難しいかもしれませんが、以下の3つです。
- Windowsの「既定のデバイス」
- OBSの「デスクトップ音声」
- Discordの「出力デバイス」
たとえば、USBヘッドセットを使って配信するとしましょう。この場合、
- USBヘッドセットからゲーム音を出す設定にする(Windows)
- USBヘッドセットの音をOBSで配信する設定にする(OBS)
- USBヘッドセットから通話相手の声を出す設定にする(Discord)
というように、音を出すのに使用するオーディオ機器をすべて同じもので統一すればよいのです。バラバラではなく、同じにします。
OBSの「デスクトップ音声」は、「既定」のままでかまいません。「設定」→「音声」の部分です。
▲「既定」というのは、Windowsの設定(既定のデバイス)をそのまま使うという意味合いです。
したがって、残る問題はWindowsの「既定のデバイス」と、Discordの「出力デバイス」の2つです。
具体的な設定方法
話が長くなりました。いよいよ解決法です。
「出力デバイス」を手動で設定
いちばん確実なのは、Discordの「出力デバイス」を手動で適切に設定することです。この場合、Windows側の設定変更は必要ありません。
念のため、設定画面の開き方を再度書いておきます。
- 下部にある歯車アイコンをクリックする。
- 「音声・ビデオ」をクリックする。
既定のデバイスと同じ機器に
では、「出力デバイス」でどれを選べばよいのでしょうか。
正解は、Windowsで「既定のデバイス」に設定している機器です。上述したとおり、Windowsの音声設定と揃えるわけです。
ただ、「『既定のデバイス』ってなんだろう?よくわからない」という人が大半かもしれません。実際に調べて確認してみましょう。
画面右下のスピーカーアイコンをクリックし、さらに矢印アイコンをクリックしてください。青色のラベルが表示されているのが既定のデバイスです。
既定のデバイスを確認したら、Discordの「出力デバイス」でも同じ名称のものを選択しましょう。Windowsの設定とDiscordの設定を揃えます。
▲Windows側で「スピーカー (USB Audio Device)」になっていたので、Discord側でも同じく「スピーカー (USB Audio Device)」にしました。
完了です。Windows・Discordで使う出力機器を同じものに設定できました。OBSでライブ配信・録画してみてください。
「Default」は?
Discordの「出力デバイス」は、下記ページのように「Default」でもかまいません。
ただし、今回のようなトラブルが再度起きる可能性はあります。
ここでいう「Default」は、Windowsの「既定の通信デバイス」(既定のデバイスではなく)のことをさしており、Discordでの手動設定(上述)が手間という人のための設定方法だと思ってください。
▲既定の通信デバイス
たとえば、PCにUSBヘッドセットを接続した場合、通常は自動で既定のデバイスおよび既定の通信デバイスがUSBヘッドセットになります。そうすると、Discord使用時にUSBヘッドセットから通話相手の声が出るようになるというわけです。
便利ですが、Discord側で「Default」を選択しているときはWindowsの既定の通信デバイスがどのオーディオ機器に設定されているか注意しておきましょう。
なぜなら、USBヘッドセットを接続したり(取り外したり)、なにかの映像・音声関連のアプリをインストールしたタイミングで既定の通信デバイスが変更され(あるいは変更されず)、通話相手の声をOBSでデスクトップ音声として取り込めなくなるケースがあるからです。
既定のデバイスと既定の通信デバイスが別々のオーディオ機器になると、トラブルが起きることがあります。Discordの「Default」は既定の通信デバイスのことであるのに対し、OBSの「既定」は既定のデバイスのことであるため、設定に齟齬が生じるのです。
もしよくわからなければ、Discordの「出力デバイス」は「Default」以外のオーディオ機器を指定しておきましょう。そうすれば既定の通信デバイスを気にする必要はありません。
補足 : 音を出す機器を別々にしたい
音を出す機器を別々にした状態でライブ配信・録画したいという人もいるかもしれません。
たとえば、「通話相手の声はUSBヘッドセットから出して、ゲーム音はHDMIモニターの内蔵スピーカーから出したい。そして両方の音を配信したい」というようなケースです。
この場合、以下のように設定します。
- Discordの「出力デバイス」を任意の機器にする(自分で決める)。
- OBSの「デスクトップ音声」が「既定」になっていることを確認する(Discordの「出力デバイス」と別のものに)。
- OBSの「デスクトップ音声 2」を、Discordの「出力デバイス」で選択した機器と同じものにする。
すると、OBSの「デスクトップ音声」で(通話相手の声以外の)デスクトップ音声を取り込み、「デスクトップ音声 2」で通話相手の声を取り込む、という設定になります。
まとめ
話が難しかったかもしれません。
Discordだけでなく、Windowsの設定も絡んでくるため、どうしても話が複雑になります。「既定のデバイス」や「既定の通信デバイス」など、わかったようでわからない用語もやっかいです。
ただ、Discordの「出力デバイス」の設定を意識しておけば実際は問題ありません。通話相手の音を出すためのオーディオ機器と、ゲーム音を出すためのオーディオ機器を一致させておけばよいのです。
そうすれば、OBSで通話相手の声をライブ配信・録画(録音)できます。
2006年から15年以上、ゲーム実況のやり方の解説記事を書いています。書いた記事数は1,000本以上。ゲーム配信、ゲーム録画、動画編集の記事が得意です。
記事はていねいに、わかりやすく!ゲーム実況界の教科書をめざしています。