OBS Studio(以下OBS)の録画機能を使用していると、「録画フォーマット」の設定で悩むことがあるかもしれません。
OBSの場合、いろいろな選択肢が表示されますが、どれを選ぶかによって大きく2つの違いがあります。
- 互換性
- 対応機能
たとえば、録画フォーマットによっては、
- 動画編集ソフトで動画を読み込めない
- 動画再生時にシーク移動できない
- X(旧Twitter)に動画を投稿できない
などのトラブルが起きることがあるでしょう。
では、どの録画フォーマットを選べばよいのでしょうか。
目次
設定画面を開こう
まずは、OBSの「録画フォーマット」の設定を開いてみましょう。
- 「設定」→「出力」の順にクリックする。
- 「出力モード」を「詳細」にする(「基本」でもOK)。
- 「録画」タブを開く。
- 「録画フォーマット」を見る。
録画フォーマットとは
OBSの「録画フォーマット」とは、録画時のファイル形式のことで、難しい用語でいうとコンテナフォーマットのことをさしています。
聞き慣れない用語かもしれませんが、コンテナフォーマットは映像・音声を格納するための箱(入れ物)だと思ってください。
動画は映像・音声という別々のデータから構成されており、1個の箱のなかに映像・音声が入っています。
そして、箱にはいろいろな種類(規格、ファイル形式)があって、それぞれ特徴が違います。この箱こそがコンテナフォーマットです。
有名なコンテナフォーマットとして、以下のようなものがあります。
説明 | |
MP4 | 定番 |
MOV | Appleが開発し、別団体がこれをベースにMP4を開発 |
AVI | かつての定番(Windows) |
録画フォーマットの違い
OBSの場合、どの録画フォーマットを選ぶかによって互換性および対応機能が異なります。
重要な4つの録画フォーマットについて見ていきましょう。
Matroska Video
「Matroska Video (.mkv)」(マトリョーシカ)は、OBSのバージョンによっては初期設定で選ばれています。
ただ、MKVは互換性が低い点がデメリットです。
- 動画編集ソフト「Premiere Pro」で読み込めない
- X(旧Twitter)に動画を投稿できない
これに対処するには、再多重化という作業が必要となる点に注意してください。
MPEG-4
「MPEG-4 (.mp4)」は、従来型のMP4形式です。
定番のコンテナフォーマットではありますが、正しく終了処理(ファイナライズ)できなかった場合に動画を見られなくなるというデメリットがあります。
たとえば、録画中にブルースクリーンが発生したり、停電になった場合、動画ファイルが壊れてしまいます。その場合、動画を再生できません。
Fragmented MP4
このMPEG-4のデメリットを解消したのが、OBSバージョン29.1で登場した「Fragmented MP4 (.mp4)」です。
メリットは2つです。
- ファイナライズできなかった場合でも動画を再生できる(MKVも同様のメリットあり)
- MP4なのでMKVより互換性が高い
ただ、デメリットがないわけではありません。
- 動画プレイヤーによってはシーク移動できない(後述)
- 動画プレイヤーによっては動画の再生時間が正しく表示されない
- 動画編集ソフトによっては読み込めないことがある
1番めについては動画プレイヤーを変更する必要があり、2番めについては「ファイル」→「録画の再多重化」を行う必要があります。
3番めについては、筆者が試したかぎりでは問題ありませんでした。ただ、念のため記載しておきます。
参考「OBS Studio 30.2」がリリース、Enhanced BroadcastingとHybrid MP4を新たにサポート
参考OBSに追加された「Hybrid MP4」は通常のMP4と何が違うのか?
Hybrid MP4
Fragmented MP4のデメリットを解消すべく開発されたのが、OBSバージョン30.2で登場した「Hybrid MP4 (.mp4)」です。
これはFragmented MP4のメリットを引き継ぎつつ、同方式のデメリットを解消したものであるため、デメリットらしいデメリットがありません。おすすめです。
なお、Hybrid MP4はチャプターマーカー機能にも対応しています。
どのMP4を選ぶべきか
「録画フォーマット」の部分で「.mp4」という表記が入ったものが3種類あるため、どれを選べばよいか悩むかもしれません。
- MPEG-4 (.mp4)
- Fragmented MP4 (.mp4)
- Hybrid MP4 (.mp4)
結論としては、どれでもかまいません。
細かいことを抜きにすれば、いずれも致命的なデメリットがあるわけではないからです(上述)。画質が変わるわけでもありません。
ただ、MPEG-4やFragmented MP4のデメリットを解消したのがHybrid MP4であるため、これにしておくのがよいでしょう。
おすすめ録画設定
OBSで録画するさいのおすすめ設定については、下記ページにまとめました。
とくに、多くの人が高画質で録画したいと思っているはずです。「OBSで録画したらモザイク画質だった」という人がいますが、重要なのは重要なのはエンコーダーの種類・設定です。
具体的には「映像エンコーダ」と「レート制御」の2つを意識してください。
おまけ : シーク移動できない?
録画した動画を再生したさい、シーク移動できないことがあるかもしれません。以下のような場合です。
- 「Fragmented MP4 (.mp4)」にして録画した
- 「Fragmented MOV (.mov)」にして録画した
この場合、動画を再生するのに使ったソフトによってはシーク移動できません。
シーク移動 | |
メディア プレーヤー | × |
映画 & テレビ | × |
フォト | × |
Windows Media Player | × |
VLCメディアプレーヤー | ◯ |
GOM Player | ◯ |
対処法については上記ブログに詳しく書いてあるので、ここでは簡単に箇条書きしておきます。
- 動画プレイヤーを変更する(例 : VLC)
- 再多重化する(上述)
- 「Hybrid MP4 (.mp4)」で録画する(上述)
2006年から15年以上、ゲーム実況のやり方の解説記事を書いています。書いた記事数は1,000本以上。ゲーム配信、ゲーム録画、動画編集の記事が得意です。
記事はていねいに、わかりやすく!ゲーム実況界の教科書をめざしています。