4K解像度に興味があるなら、ぜひGC553(GC553 Live Gamer Ultra)を覚えておきましょう。AVerMediaから発売されている、外付けタイプのキャプチャーボードです。
▲Live Gamer Ultra GC553の外観(リンク先 : Amazon)。PCとUSBで接続して使う外付けタイプです。少しクラシックな雰囲気が漂う、落ちついたデザインです。
このページでは、GC553を購入すべきか迷っている方のために、ポイントや注意点を見ていきます。
目次
GC553の特長・メリット
4K/30fpsで録画できる
PS4 Proなど、4K対応ゲーム機の画面を4K/30fpsで録画できます。
この点、一般的なキャプチャーボードは1080p/60fpsまでしか対応していません。
しかし、GC553は4K/30fpsまで対応しています。つまり、フルHD画質のさらに上を行く、最高級の画質を楽しめます。
1080p HDR録画に対応
HDRを有効にできる環境であれば、1080pのHDR映像を録画できます。HDR録画できる製品は希少です。
▲このボタンをクリックしてオレンジ色に点灯させると、HDR録画が有効になります。
HDRは、一般論として自然な画質になる技術だと思ってください。明暗差が大きい映像でも、美しくリアルに表現できます。
残念ながらGC553は4K HDR録画はできないのですが(可能なのは1080p HDR録画)、4K/60fps HDRのパススルー出力には対応しています。
▲パススルーというのは、簡単に言えばゲーム画面をモニター・TVに遅延なしで映す機能のことです。
したがって、パススルー出力先のモニター・TVでは、4K/60fps HDRの映像を見ながらゲームをプレイできます。遅延はありません。
使いやすいキャプチャーソフトが付属
RECentralというキャプチャーソフトが付属されています。
このソフトには便利な機能がたくさんあります。製品を買った日から、すぐに使いこなせるようになるでしょう。
- ライブ配信機能により、簡単な設定をするだけでゲーム配信ができる
- ゲームを録画して、自分の声を動画に入れることができる
- 声を別撮りできる
- 時間を遡ってゲームプレイを再生・録画できる
- 簡易なカット編集ができる
- YouTubeに動画を直接アップロードできる
動画編集ソフトが付属
動画編集ソフトをわざわざ購入する必要はありません。なぜなら、「PowerDirector 15 for AVerMedia」が付属されているからです。
PowerDirectorは、本格的な動画編集ができる定番のソフトです。もし実況動画の作成を考えているのであれば、これでじゅうぶんでしょう。
関連 【図解】PowerDirectorの詳しい使い方。実況動画を編集しよう
購入まえに「ここ」だけ確認しよう
GC553 | |
PCとの接続 | USB 3.1(3.0のこと) |
エンコードタイプ | ソフトウェアエンコード |
最大録画解像度 最大フレームレート |
4K/30fps 1080p/60fps HDR 1080p/120fps |
ゲーム機との接続 | HDMI |
パススルー出力機能 | あり(4K/60fps HDR対応) |
対応OS | Windows macOS |
USB 3.1専用
GC553とPCを接続するには、USB 3.1を使います。「3.1」とありますが、これはUSB 3.0と実質的に同じものです。
USB 2.0端子に接続しても動作しないので、注意してください。
60fpsで録画したいなら1080pに
GC553は4K録画に対応していますが、その場合は最大フレームレートが30fpsになります。
もし60fpsで録画したいのであれば、RECentralのほうで設定を変更して1080pにしましょう。簡単に設定できます。
後述する上位モデル、GC573は4K/60fpsに対応しています。
PCスペックが心配なら「診断ツール」
PCのスペックは、多くの人が気になることかもしれません。4K対応製品というと、自分のPCで正常に動作するか不安なものです。
じつは、GC553を購入するまえに、PCスペックを検証できます。公式サイトから「診断ツール」をダウンロードしましょう。
- 公式サイトにアクセスする。
- 診断ツールをダウンロードする。
- ダウンロードしたZIPファイルを解凍する。
- 解凍してできた「AVerMedia USB3.0 Diagnosis Tool」フォルダを開き、「AVerMedia USB3.0 Diagnosis Tool.exe」をダブルクリックする。
- 診断結果を確認する。
▲動作環境を満たしている場合の診断結果(左)と、満たしていない場合の診断結果(右)
他製品との比較
GC573との違い
GC573(Live Gamer 4K)は、4K/60fpsに対応しているのが最大の特長です。つまり、4K解像度のときでも60fpsで録画できます。
下表をご覧ください。GC573とGC553の違いをまとめました。
GC573 | GC553 | |
PCとの接続 | PCI Express x4(内蔵) | USB 3.1(外付け) |
4K録画時の最大フレームレート | 60fps | 30fps |
4K HDR録画 | 対応 | 非対応 1080p/60fpsで対応 |
1080p録画時の最大フレームレート | 240fps | 120fps |
GC573は、AVerMediaの製品のなかで最上位機種です。最強のキャプチャーボードがほしい、性能面で妥協したくないということであれば、GC573を購入することになるでしょう。
GC550 PLUSとの違い
GC550 PLUSは、4K録画には対応していません。4Kのパススルー出力には対応していますが、最大録画解像度が1080p/60fpsという、一般的なキャプチャーボードです。
もし、4K製品は必要ないな、高いなと考えている場合は、GC550 PLUSでじゅうぶんでしょう。GC553と同様、動画編集ソフトも付属されています。
GC550 PLUS | GC553 | |
4K録画 | 非対応 | 対応 |
4K/60fpsパススルー | 対応 | 対応 |
HDR録画 | 非対応 | 対応 |
HDRパススルー | 非対応 | 対応 |
付属品
付属品は下記画像のとおりです。
USBケーブル(画像2)とHDMIケーブル(画像3)が付属されています。
PowerDirectorのライセンスキーコードカード(画像5)は、紛失しないようにしてください。これがないとライセンスキーを登録できず、PowerDirectorを使用できません。
遅延はどの程度か
PC画面上での遅延(ラグ)については、下表をご覧ください。
筆者による簡易計測 | メーカーによる公称値 | 備考 | |
4K/30fps | 約0.1秒 | 約0.11秒前後 | パススルーすべき |
1080p/60fps | 約0.07秒 | 約0.07秒前後 | PC画面でのプレイもあり |
筆者が簡単に検証したかぎりでは、遅延時間はメーカー発表の数値と一致しました。4K/30fpsの場合、AVT-C878よりは短い遅延という印象です。
タイミングがシビアなゲームをプレイする場合は、下図のようにパススルー出力したほうが無難でしょう。
モニター・TVに映ったゲーム画面を見ながらプレイすることで、遅延のない、ふだんどおりのゲームプレイが可能です。
小さいが、冷却ファンのノイズ音がある
GC553には、冷却用のファンが搭載されています。
このファンはGC553をPCに接続するのと同時に動作音が発生します。具体的には、「ジーッ」というようなノイズ音で、イメージとしては虫の小さな鳴き声に近いかもしれません。
筆者の場合、カナル型のイヤホンを着用しており、その間は気になりません。しかし、イヤホンをしていない状態だと、動作音が少し気になりました。
スリープ中もGC553のファンは回るため、使わないときはPCから取り外したほうがよいかもしれません。
4K HDRについて
4K環境でなくても使用は可能
ひょっとしたら、4K対応のモニター・ゲーム機がない、フルHD対応のモニター・ゲーム機しかないという人もいるかもしれません。
そのような環境でも、問題なく1080p/60fpsでプレビュー・録画できます。
▲Switchは4K非対応のゲーム機ですが、まったく問題ありません。
しかし、上述したGC550 PLUSのほうが安いので、4K環境がないならGC553でなくてもよいでしょう。
もっとも、いずれ4K環境をそろえる予定がある場合は、将来のことを考えてGC553を買うのはありです。
HDR録画はハードルが高い
HDR環境がまだ整っていないなら、HDR録画について過度な期待はしないほうがよいかもしれません。
まず、HDRはハードルが高いのです。以下のものがすべてHDRに対応していなくてはいけません。
- モニター
- HDMIケーブル
- ゲーム機(例 : PS5、PS4、PS4 Pro)
- ゲームソフト
そのうえで、各種設定を行う必要があります。設定自体は簡単です。
- モニターのHDR設定(例 : 「高速信号モード」に)
- ゲーム機のHDR設定
- ゲームソフトのHDR設定(自動で有効になるものもある)
- RECentralのHDR設定
- PCでHDR再生する場合は、Windows 10のHDR設定
▲「HDR」が「対応」になっているので、GC553でHDR録画できます。この画面は、PS4の「設定」→「サウンドとスクリーン」→「映像出力情報」で表示されます。
さらに、以下の点も注意が必要です。
- GC553でHDR録画するには、パススルー出力が必須
- HDR対応モニターであっても、すべてのHDMI入力がHDR対応とは限らない
- HDR再生・編集には対応ソフトが必要(例 : 再生ならVLC media player)
しかも、ここまでやったとしても、ゲームタイトルやモニターによってはHDRの大きな効果が見込めない場合があるでしょう。したがって、過度な期待は禁物です。
必要に応じて1080p/60fpsに
4K/30fpsで録画した場合、1080p/60fpsで録画した場合と比較して、動きの滑らかさに欠けるいう印象を持つかもしれません。
1080p/60fpsでも録画できるので、必要ならRECentral側で設定を変更しましょう。
なお、上位モデルのGC573であれば4K/60fpsで録画できます(上述)。
PowerDirector 15は機能制限版だが、問題なし
GC553付属のPowerDirector 15は、機能限定版です。いくつかの編集機能がありませんが、実況動画の編集ではじゅうぶんな機能が搭載されています。
念のためキーワードだけ書いておくと、一例ですが以下の機能が制限されています。
- アクションカメラセンター
- ビデオハンスメント
- カラーエンハンスメント
- 動画逆再生
- キーフレーム
- WaveEditor
もう1点、この機能限定版では、H.265動画(HEVC)や、HDR動画を読み込むことはできません。HDR録画するとH.265動画になるので、覚えておきましょう。
最新版、かつフル機能のPowerDirectorの使い方については、下記ページをご覧ください。
GC553の使い方は、別ページで解説
GC553を使いこなすためには、以下の事項をマスターしましょう。
- RECentralのインストール方法
- ゲーム機との接続方法
- ゲーム画面をPCに映す方法
- パススルー出力の方法
- 録画・ライブ配信のやり方
- HDR録画のやり方
詳しい使い方については、以下のページをご覧ください。製品を購入するまえに、ザッと一読しておくことをお勧めします。
まとめ
4K HDR環境は、多くの一般的なユーザーにとって、あまり興味のない世界かもしれません。導入のハードルは高めです。その意味で、GC553はコアユーザー向けの製品と言えます。
もし現時点で4K HDR環境が整っていないなら、GC553を急いで買う必要はありません。ただ、今後はPS5の登場で4K HDR録画が一般的になる可能性はあります。
そこで、4Kの入門的な製品としてGC553を購入するのもよいでしょう。RECentralは簡単に使えますし、不満を感じたならOBS Studioがあります。
▲GC553を通してOBS Studioにゲーム画面を映したところ
GC553で高画質な4K映像を楽しんでください。ゲーム配信(生放送)にも使える製品です。
2006年から15年以上、ゲーム実況のやり方の解説記事を書いています。書いた記事数は1,000本以上。ゲーム配信、ゲーム録画、動画編集の記事が得意です。
記事はていねいに、わかりやすく!ゲーム実況界の教科書をめざしています。
コメント
読んだ上での改めての確認になるのですが、4K環境(モニター、PS4PRO、対応ソフト等)は準備出来ております。
パススルー出力している場合でも出力先が4Kモニターであればきちんと4Kでプレイできるという認識でよろしいのでしょうか?
PS4上での映像出力設定も3840×2160 60hz RGB HDRと表示されております。
そうです。
パススルー出力先の4Kモニターでは、4K/60fps HDRでプレイできます。
夜遅くにありがとうございます。