OBS Studio(以下OBS)でゲーム実況動画を作る場合、録画時に別撮りできます。
ここでいう別撮りとは、1個の動画内でゲーム音・マイク音を2つに分けて録画する方法のことです(マルチトラック録画)。
大まかには3ステップで考えていきましょう。
- 通常どおり録画設定を行う。
- ゲーム音・マイク音を分けるための設定を行う。
- 録画する。
設定が難しいので、じゅうぶん注意してください。
ライブ配信せずに録画だけ行う場合を想定しています。
関連【完全版】OBSで音声を便利に分ける方法。複数のケースを例にまとめました
関連 OBS録画でゲーム・Discord・マイクを3つの音声に分ける方法
目次
基本的な設定を行う
通常の録画設定
まず、以下のことを行いましょう。
- OBSにゲーム画面を映す。
- 録画時の設定を行う。
わからない場合は、下記ページをご覧ください。


また、マイク音(自分の声)を録音する設定についても同様です。この部分の設定も通常の録画時と同じです。
問題なく録画できるか
これから設定していくまえに、問題なく録画できていることを確認しましょう。具体的には2点です。
- ゲーム音が入っていること
- マイク音が入っていること
なぜかというと、記事のとおりにOBSの設定を行っているにもかかわらず、あとで動画を再生・編集するときになって音が聞こえないというトラブルが起こることがあり(後述)、事前に問題の切り分けを行っておく必要があるからです。
もし現段階で音声トラブルを抱えている場合は、最初に下記ページを読み問題を解消しておいてください。

複数の音声トラックを作成する設定に
マルチトラックのイメージ
別撮りするためには、録画時に複数の音声トラックを作らなくてはいけません。これをマルチトラックといいます。
マルチトラックという用語は、わかったようでわからない表現かもしれません。
- マルチ : 複数の
- トラック : 領域
イメージとしては、家に複数の部屋があるのを想像してください。各部屋は分かれて独立しています。
動画のなかに複数の領域を作り、各領域に独立した音声を入れた状態のことをマルチトラックといいます。
たとえば、音声トラック1にゲーム音、音声トラック2にマイク音を入れるように設定して録画すれば、ゲーム音・マイク音をそれぞれ分けて編集できます。
詳細については、下記ページに詳しくまとめました。

OBSの設定
OBSで以下のように設定しましょう。
- 「設定」→「出力」の順にクリックする。
- 「出力モード」を「詳細」にする。
- 「録画」タブを開く。
- 「録画フォーマット」を「Hybrid MP4 (.mp4)」または「Fragmented MP4 (.mp4)」にする。
- 「音声トラック」の部分で、「1」と「2」の両方にチェックを入れる。
- 「OK」をクリックする。
注意点が多いのですが、まず「録画フォーマット」が「Flash Video (.flv)」だとマルチトラックにできません。これ以外にする必要があります。
また、「音声トラック」の部分で「1」のみを選択した場合も、マルチトラックにできません。必ず複数のトラックを選択してください。
たとえば、「1」と「2」を選択することで、1個の動画内に音声トラック1・音声トラック2というように2個の音声トラックを作成できます。
各トラックに入れる音声を選択する
具体例
複数の音声トラックを作る設定ができました。つぎは、どのトラックにどの音声を入れるのかという設定を行います。
たとえば、以下のようにしたいとしましょう。
- 音声トラック1 : ゲーム音を入れたい
- 音声トラック2 : マイク音を入れたい
オーディオの詳細プロパティ
「オーディオの詳細プロパティ」という設定画面を開きます。
デスクトップ音声とマイク
そして、音声をトラックごとに選択します。
- 「デスクトップ音声」のトラック「1」のみにチェックを入れる。
- 「マイク」のトラック「2」のみにチェックを入れる。
- 設定画面を閉じる。
映像キャプチャデバイスとマイク
キャプチャーボードを使用している場合は、以下のように設定することもあります。
- 「映像キャプチャデバイス」のトラック「1」のみにチェックを入れる。
- 「マイク」のトラック「2」のみにチェックを入れる。
- 設定画面を閉じる。
ただ、キャプチャーボードが入力した音をデスクトップ音声として出力している場合は、下記画像のように設定にしてください。ややこしい部分です。
デスクトップ音声かどうかは、OBSの「映像キャプチャデバイス」の設定画面で確認できます。「音声出力モード」の部分です。
- デスクトップ音声出力(WaveOut) → デスクトップ音声
- デスクトップ音声出力(DirectSound) → デスクトップ音声
- 音声のみをキャプチャ → 映像キャプチャデバイス
録画・編集する
音が聞こえない?
あとは通常どおり録画しましょう。「録画開始」ボタンをクリックし、話しながらゲームをプレイします。
注意点ですが、ここでできた動画を再生してもゲーム音またはマイク音のどちらかが聞こえないはずです。
編集ソフトに注意
しかし、マルチトラックオーディオの読み込みに対応した動画編集ソフトを使えば、きちんとゲーム音・マイク音の両方が再生されます。
▲動画編集ソフトのVegas Pro。音声は「ストリーム 1」「ストリーム 2」というように表示されます。
詳細については、下記ページにまとめました。対応ソフトを使うことで、ゲーム音・マイク音を別々に音声編集できます。


難しい場合はまとめ撮りで
もしうまくできない場合は、まとめ撮りがおすすめです。いちばん混乱が少ない設定であるため、初心者に向いているでしょう。
まず、音声トラックを1個だけ作る設定にします。
- 「設定」→「出力」の順にクリックする。
- 「録画」タブを開く。
- 「音声トラック」の部分で、「1」のみにチェックを入れる。
- 「OK」をクリックする。
つぎに、「オーディオの詳細プロパティ」で以下のように設定してください。
- 「デスクトップ音声」または「映像キャプチャデバイス」のトラック「1」にチェックを入れる。
- 「マイク」のトラック「1」にチェックを入れる。
- 設定画面を閉じる。
▲めんどうな場合は、すべてにチェックを入れてもかまいません。
まとめ
OBSで別撮りする場合、2か所で音声トラックの設定を行う必要があります。
- 「設定」→「出力」
- 「オーディオの詳細プロパティ」
設定が複雑であるため、難しく感じるかもしれません。ゲーム音・マイク音が聞こえないというときは、設定の問題なのか、それとも別問題なのか調べるようにしましょう。

もしOBSの設定が難しいのであれば、別のソフトを使うのも手です。たとえば、BandicamやShadowPlayでも別撮りできます。しかも簡単です。


2006年から15年以上、ゲーム実況のやり方の解説記事を書いています。書いた記事数は1,000本以上。ゲーム配信、ゲーム録画、動画編集の記事が得意です。
記事はていねいに、わかりやすく!ゲーム実況界の教科書をめざしています。
コメント
返信遅くなりすみません。
ありがとうございます。
無事解決できました!
記事読ませて頂きました。
凄く参考になりありがとうございます。
おひとつお聞きしたいのですが
恐らく最近の配信者(動画投稿者)は配信と録画を同時に行っている人が多いと思います。
(配信後に切り抜きで動画投稿用途)
この記事の内容だけを実行した場合『OBSの出力-配信-音声トラック1にチェック』が入っている為、その場合音声トラック1を外しているので配信に音声が乗らないと思うのですが(実際に試してみました)その場合どうすればいいのでしょうか?
それとも他の方法を皆さんはされているのでしょうか?
配信しつつ同時に録画する場合、たとえばですが、
「設定」→「出力」の「配信」タブでは「音声トラック1」を選択し、
「設定」→「出力」の「録画」タブでは「音声トラック2」と
「音声トラック3」を選択します。
そして、「オーディオ詳細プロパティ」のほうで、
すべての「トラック1」にチェックを入れます。
これで配信ではゲーム音とマイク音が流れます。
録画については、「オーディオ詳細プロパティ」で
「トラック2」と「トラック3」のほうで任意のものに
チェックを入れ、各トラックに入れたい音声を
選択するかたちになります。