配信中、だれもが1回は遭遇するトラブルがあります。それが、配信を始めると画面がカクカクする、プツプツする、止まる、切断されるというものです。
画面がカクカクする原因は、いろいろなケースが考えられます。パッと解決できればよいのですが、そうもいきません。
今回は解決のヒントになりそうなことをご紹介します。
目次
【重要】アンテナが赤色・黄色前提
具体例
典型的な症状は、OBS上の画面は問題ないのに、配信サイトに映っている画面がカクカクする、カクつくという状況です。
この場合、たとえばOBS Studio(以下OBS)では以下のような状態になります。
- 「ドロップしたフレーム」が増えていく
- 赤色のアンテナが表示される
該当しない場合は
しかし、なかには「アップロード速度に問題はなく、上記症状は現れていない。しかし、カクカクする」というケースもあるでしょう。
その場合の対処法については、下記ページをご覧ください。
ビットレートを下げる
ビットレートの設定
基本中の基本ですが、ビットレートを下げます。これをいちばん最初に試しましょう。
たとえば、以下のように設定します。
- 「設定」→「出力」の順にクリックする。
- 「出力モード」を「詳細」にする。
- 「レート制御」を「CBR」にする。
- 「ビットレート」の設定を下げる(例 : 500kbps)。
- 「OK」をクリックする。
ビットレートを下げれば画質は落ちます。激しく動くような映像だと、モザイクのような粗い(荒い)画面になるかもしれません。
▲出典 : 『スーパーマリオ オデッセイ』(任天堂)。左の画像がビットレートを下げた状態です。
もちろん、低画質にしたくない、ブロックノイズが耐えられないという気持ちはわかります。
しかし、どの程度のビットレートならカクつかないのか明確にしたいので、いったん下げてください。カクカクしなくなるまでです。
CBRにしておく
「レート制御」は「CBR」にしましょう。
説明 | |
CBR | ・ビットレートが一定(固定ビットレート) ・多くの配信サイトが推奨(おすすめ) ・ただし実質的にはVBR |
CQP/CRF | ・ライブ配信には向いていない ・録画ではおすすめ |
VBR | ・ビットレートが変動(変動ビットレート) ・ライブ配信ではほぼ選ばない |
無損失 | ・ライブ配信では使うことはない ・録画でもあまり使わない(ファルサイズ大) |
うっかり「CQP」を選んでしまうと、映像が激しく動く場合に突発的にビットレートが跳ね上がり、配信が止まる可能性があります。
その数字は、ほんとうに正しいのか
めやすとして、ビットレートは上り速度の70~80%内に収まるように設定します。
サイトごとのビットレート上限にも注意しましょう。
ビットレート上限 | 設定例(映像+音声) | 備考 | |
ニコ生 | 6,000kbps | 5,872+128 | |
ツイキャス | 60,000kbps(60Mbps) | 5,872+128 | 事実上、上限なし(参考) |
Twitch | 6,000kbps | 5,872+128 | |
YouTube Live | 51,000kbps(51Mbps) | 5,872+128 | 事実上、上限なし(参考) |
OPENREC | 5,000kbps | 4,872+128 | |
ミラティブ | 1,000kbps | 936+64 |
詳細は、下記ページにまとめました。
また、ビットレートの桁数をまちがえないようにしてください。たとえば、自分では6,000kbps(6Mbps)と入力したつもりでも、実際は60,000kbps(60Mbps)になっていないでしょうか。
▲1Mbpsは1,000kbpsとして、これだと60Mbpsです。通常、60Mbpsで配信することはありません。
さらに、夜間は混雑し、遅くなる傾向があるということを覚えておきましょう。つまり、昼と夜で同じビットレートだったとしても、夜の配信だけカクつくというケースがありえます。
配信関係の設定を変更する
ネットワークの最適化
OBSの場合、以下のように設定することでアイコンの色が激しく変化する症状が直ることがあります。
- 「設定」→「詳細設定」の順にクリックする。
- 「ネットワークの最適化を有効にする」をONにする。
- 「OK」をクリックする。
RTMPSにする
ほとんどの人はRTMPSで配信しているはずですが、YouTube配信などでHLSを利用している人がいるかもしれません。
後者だと1時間ごとに配信が切断されるという人がいます。
配信のストリームキーをRMTPに切り替えた所
1時間切断が発生せず配信も安定している気がします
ただこれだとHDR画質の配信ができないため
問題解決にならないのが残念ですhttps://t.co/VJxtWvh2eV— 神無月 智夢(Tom-Kannaduki) (@tom_kannaduki) August 26, 2024
そこで設定を変更してみましょう。
- 「設定」→「配信」の順にクリックする。
- 「サービス」を「YouTube - RTMPS」にする。
- 「OK」をクリックする。
IPv4のみ使う
同様にOBSで以下のように設定してみてください。
- 「設定」→「詳細設定」の順にクリックする。
- 「IP ファミリー」を「IPv4 のみ」にする。
- 設定が見当たらない場合は、「配信」→「サービス」を「YouTube -RTMPS」にする(「YouTube -HLS」はダメ)。
- 「OK」をクリックする。
- 詳細(情報元)は、すたいるのOBS情報メモブログ(外部リンク)を参照のこと。
この設定は、Twich配信で「指定したチャンネルまたはストリームキーにアクセスできませんでした」「サーバーから切断されました」などのエラーが出る場合にも効果があるようです。
多分直ったから備忘!
症状)
・OBS(Twitch)配信開始から40~90分経過すると「サーバーから切断されました」と配信が止まる
・2,3年間問題なく配信出来ていた設定なのに2024/8/10頃から毎回症状が出る対処)
設定>詳細設定>IPファミリー>「IPv4 および IPv6 (既定値」から「IPv4 のみ」に変更 https://t.co/AplcJ9w3cc— いもーん (@imoimo_imoon) August 18, 2024
動的ビットレート
OBSでは、バージョン24.0から動的ビットレートという機能が導入されました。
▲「輻輳(ふくそう)を管理するためにビットレートを動的に変更する」の部分です。
これは、配信でカクつき(ドロップフレーム)が発生したさい自動的にビットレートを下げる機能です。
ただ、ビットレートの設定によっては配信上の遅延が増大する場合があります。不安ならOFFにしておきましょう。
ミラティブの場合
ミラティブの場合、公式サイトどおりの画質設定にしないと配信が切断されます。
やりがちなミスとしては、ビットレートや解像度などの設定を変更しがちです。しかし、ここは推奨設定にしないといけません。
複数サイトでの同時配信を見直す
もし複数のサイトで同時に配信している場合は、1個のサイトだけで配信します。同時配信すると、帯域幅を多く使うからです。
たとえば、上り速度が8Mbpsだったとしましょう。
このとき、ニコ生用に6Mbps、YouTube用に6Mbps割り当てて同時配信できるかというと、できません。カクカクになります。
しかし、片方のサイトだけなら問題ありません。
インターネット環境・設定を見直す
Wi-Fiをやめる
もしWi-Fi接続で配信しているのであれば、LANケーブルを使って有線接続します。Wi-Fiでも配信はできますが、不安定になることがあるかもしれません。
たとえば、筆者は実家に帰省したさい、USB無線LANアダプターを持ち込んでテスト配信したことがあります。
しかし、Wi-Fiの2.4GHz帯(g)では安定して配信できませんでした。アップロード速度が25Mbpsなのに、10Mbpsで配信するとカクつきます。
LANケーブルは、カテゴリ5e以降のものを使いましょう。たとえば、「CAT5e」「CAT6」「CAT7」などと表記されているものにします。
巨大ファイルで帯域を占有していないか
配信以外で、大きなデータをダウンロード、またはアップロードしていないか確認しましょう。
- Windows Update
- 購入したゲームのダウンロード
- ゲームのアップデートファイルのダウンロード
- オンラインストレージ(クラウド)へのアップロード
現在の状況はタスクマネージャーで確認できます。
- 「スタート」ボタン上で右クリックする。
- 「タスク マネージャー」をクリックする。
- 「パフォーマンス」を開き、「イーサネット」または「Wi-Fi」をクリックする。
▲「送信」がアップロード、「受信」がダウンロードです。
ソフトごとのネットワーク使用率を見たい場合は、「プロセス」タブの「ネットワーク」を見ましょう。
配信サイト、配信サーバーを変える
あくまでもテストの一環として別サイトで配信してみてください。
かりに、特定のサイトで配信したときだけカクつくのであれば、そのサイトとの関係でなにか問題が起きていると推測できます。
試してほしいサイトは2つです。どちらも無料です。
- YouTube
- Twitch
Twitchで配信する場合は、サーバーを手動で指定してみましょう。以下のように設定します。
- 「設定」→「配信」の順にクリックする。
- 「サーバー」を「Asia: Japan, Tokyo」にする(ほかも試す)。
- 「OK」をクリックする。
▲東京にあるサーバーを指定するのが基本ですが、調子が悪い場合は別のサーバーも試しましょう。
その他
OBS公式サイトにも情報が掲載されています。
たとえば、
- ファイアーウォール
- ルーター
- アンチウイルスソフト
のことが書かれています。参考にしてください。
オプション、プロバイダー、回線を変更する
ゲーム配信に必要な上り速度
ざっくりとした書き方になりますが、安定して上り速度が10Mbps出ていれば問題ありません。ビットレートを6Mbps以下に設定して配信することが多いので、これくらいでも配信できます。
あとは安定性の問題となり、一定の速度を維持できるかどうかが重要です。つまり、ガクッと遅くなるようなことがなければ、10Mbps程度でもよいのです。
▲出典 : 「NVIDIA NVENC OBS Guide」より。おもにTwitchやYouTubeで配信することを前提に、ビットレートのめやすがまとめられています。「Upload Speed」が上り速度のことです。
かりに上り速度が1~3Mbpsだと、ゲーム配信は厳しいでしょう。ビットレートを下げれば対処はできますが、画質は妥協するしかありません。
アップロード速度は下記サイトで計測できます。(1)ダウンロード速度 → (2)アップロード速度の順で計測されます。
参考 Speedtest(外部サイト)
v6プラス
利用しているプロバイダーが、「v6プラス」(IPv6 IPoE + IPv4 over IPv6)という名前のオプションサービスを提供していないか確認してください。サービス名は、プロバイダーによって多少異なります。
▲出典 : JPNE公式サイトより。上図を見ると、v6プラスでは混雑の原因である網終端装置(もうしゅうたんそうち)を通らないことがわかります。
これをプロバイダーの公式サイトで申し込み、v6プラス対応ルーター、またはv6プラス対応ホームゲートウェイを用意します。設定をすませれば、混雑を避けることができ、速度が改善するというものです。
ただ、デメリットもあります。難しそうだと感じた場合は、しっかりと検索して詳細を調べてみてください。
プロバイダー
プロバイダー(ISP)によっては、厳しい速度規制(速度制限、転送量制限)が行われています。また、速度が安定しないプロバイダーもあるかもしれません。そこで、プロバイダーを変えるという手もあります。
以下は、速度規制が「ない」ことを公表しているプロバイダーです。
- 府中インターネット
- かもめインターネット
- ちょっパヤ!ネット
回線
さらに、かなり勇気のいる決断になりますが、光回線を変えるという対処法もあります。
一例として、以下のような回線から選びます。
- フレッツ光(光コラボ含む)
- NURO光
- auひかり
まとめ
カクカクになる原因がプロバイダーや回線にある場合、一筋縄ではいかないかもしれません。
そこで、実際に配信している人(配信者)や、プロバイダーに直接質問してみてください。私たちよりも詳しいはずです。
質問のさいは、以下の情報が重要です。
- 回線・プロバイダー
- ルーター
- どのような対処法を試したか
もし問題が解決したら、つぎは高画質な配信に挑戦してみてください。
2006年から15年以上、ゲーム実況のやり方の解説記事を書いています。書いた記事数は1,000本以上。ゲーム配信、ゲーム録画、動画編集の記事が得意です。
記事はていねいに、わかりやすく!ゲーム実況界の教科書をめざしています。