ブロックノイズとは、ライブ配信時や録画時に発生する映像ノイズの一種で、モザイク状に見える現象のことです。
もし激しい動きの映像を見たとき
- 粗い(荒い)
- モザイクのようだ
- 画面の状態が滑らかではない
- 画質が悪い、低画質
と感じたのであれば、それはブロックノイズである可能性が高いでしょう。
今回はブロックノイズを軽減するための方法について見ていきます。
ライブ配信を想定した記事です。
録画については、「OBSで超高画質録画するための、シンプルなポイント。じつは数字をいじるだけ」をご覧ください。
目次
ブロックノイズの原因
ブロックノイズの原因は、端的には映像ビットレート不足です。OBSでは「設定」→「出力」で設定します。
▲今回は「出力モード」を「詳細」にしました。しかし、「基本」でもかまいません。
OBSにはさまざまな画質関連の設定がありますが、極論を書くと映像ビットレートさえ上げればブロックノイズは発生しません。
ただし、録画の場合はともかくとして、ライブ配信では映像ビットレートをむやみに上げることはできません。
なぜなら、
- 配信サイトの仕様(ビットレート上限)
- 自宅回線のアップロード速度
という2つの事情を考えなくてはいけないからです。詳しく見ていきましょう。
ビットレートを上げよう
「設定」→「出力」で
ブロックノイズをなくすための根本的な解決方法は、映像ビットレートを上げることです。設定を見てみましょう。
- 「設定」→「出力」の順にクリックする。
- 「出力モード」を「詳細」にする(「基本」でもOK)。
- 「配信」タブを開く。
- 「レート制御」を「CBR」にする。
- 「ビットレート」を任意の設定にする(後述)。
- 「OK」をクリックする。
たとえば、ビットレートが6,000kbps(キロビーピーエス)と2,500kbpsとでは、下記画像のような違いがあります。両方とも1080p/60fpsです。
▲『ソウルキャリバー 6』(バンダイナムコエンターテインメント)より
画面全体にエフェクトが表示されて激しく映像が変化する場面であり、どちらもブロックノイズが発生しました。
しかし、それでも6,000kbpsの画像のほうがブロックノイズが少ないのがわかります。
ビットレート上限がある
では、ビットレートはどのくらいが目安と考えればよいのでしょうか。
これを考えるさいに重要なのが各配信サイトのビットレート上限です。じつは配信サイトの仕様上、むやみにビットレートを上げられません。
ビットレート上限 | 設定例(映像+音声) | 備考 | |
ニコ生 | 6,000kbps | 5,872+128 | |
ツイキャス | 60,000kbps(60Mbps) | 5,872+128 | 事実上、上限なし(参考) |
Twitch | 6,000kbps | 5,872+128 | |
YouTube Live | 51,000kbps(51Mbps) | 5,872+128 | 事実上、上限なし(参考) |
OPENREC | 5,000kbps | 4,872+128 | |
ミラティブ | 1,000kbps | 936+64 |
たとえば、Twitchやニコ生であれば映像ビットレート + 音声ビットレート(「配信」タブ横の「音声タブ」で設定)を6,000kbps以下にする必要があります。
配信サイトのビットレート上限を無視して設定すると、場合によっては配信映像がカクカクして滑らかに動きません。映像・音声が途切れがちで不安定な配信となります。
したがって、ブロックノイズをなくしたい、高ビットレートに設定したいと思っても、どうしても配信サイトの仕様に縛られます。
ミラティブなどは1,000kbpsがビットレート上限であるため、激しい動きのゲーム配信はブロックノイズをなくすのは難しいでしょう。
ビットレートの目安
ビットレートの設定は、配信サイトのビットレート上限を踏まえたうえで行ってください。
とはいえ、YouTube Liveおよびツイキャスは事実上ビットレート上限がないようなものです。ビットレートの設定方法で迷うことがあるかもしれません。
目安としては、一般的な1080p/60fps配信、かつブロックノイズを防ぐという2点を意識するなら10~15Mbps(100,000~150,000kbps)がおすすめです。
▲1Mbpsは1,000kbpsなので、10Mbpsは10,000kbpsです。
ただし、この場合上りの回線速度が重要です。
たとえば、上りの回線速度が10Mbpsなのにビットレートを15Mbpsに設定してしまうと、映像・音声が途切れてまともな配信ができません。
したがって、ビットレートを設定するなら
- 配信サイトのビットレート上限を確認する
- 自宅の回線速度(上り)を確認する
という2つの視点が欠かせません。
解像度・フレームレートを下げよう
ビットレートを上げられないときに
本来であれば、ブロックノイズを軽減したいならビットレートを上げるのが基本です。
しかし、配信サイトのビットレート上限や回線速度の関係で、どうしてもビットレートを上げられない場合もあるでしょう。
このような場合は、次善策としてOBSの解像度・フレームレートを下げます。
- 1080pなら → 720pに下げる
- 60fpsなら → 30fpsに下げる
同一ビットレートなら、基本的に解像度・フレームレートを下げたほうがブロックノイズを軽減できるからです。
(1)720p/30fps、(2)720p/60fps、および(3)1080p/60fps配信の画質を比較しました(すべて6Mbps)。(1)の画像がいちばん顎のラインが鮮明です。
▲1080p/60fpsについては、画像編集ソフトで720pに縮小して掲載しています。画像は『ソウルキャリバー 6』(バンダイナムコエンターテインメント)より。
「設定」→「映像」で
解像度・フレームレートの設定方法は以下のとおりです。
- 「設定」→「映像」の順にクリックする。
- 「出力 (スケーリング) 解像度」を任意の数値にする(例 : 1280x720)。
- 「FPS 共通値」を任意の数値にする(例 : 30fps)。
- 「OK」をクリックする。
▲720p/30fps設定
ただし、「FPS 共通値」(フレームレート)は、ゲームによっては30fpsにすると動きの滑らかさが失われます。そのため、カクついているという印象を受けるかもしれません。
▲出典 : 『スーパーマリオワールド』(任天堂)より
解像度・フレームレートの用語の意味がよくわからない場合は、下記ページをご覧ください。
映像エンコーダーを変更しよう
「設定」→「出力」で
ひょっとしたら、ビットレートや解像度・フレームレートの設定を変えたくないという人もいるかもしれません。
じつは、「映像エンコーダ」の種類を変えるだけでブロックノイズを軽減できるケースがあります。
- 「設定」→「出力」の順にクリックする。
- 「出力モード」を「詳細」にする(「基本」でもOK)。
- 「映像エンコーダ」を任意のものにする。
- 「OK」をクリックする。
たとえば、現在「NVIDIA NVENC H.264」にしているなら「NVIDIA NVENC AV1」や「NVIDIA NVENC HEVC」にします。
いちばん画質がよいのは、「AV1」という表記が入ったエンコーダーです。そのつぎに「HEVC」という表記のあるもの、最後に「264」が入っているものと続きます。
▲『ソウルキャリバー 6』(バンダイナムコエンターテインメント)より
同じビットレート、同じ解像度、同じフレームレートで配信したとしても、エンコーダーが違うだけでブロックノイズが減り、画質が上がることがあるでしょう。
対応していないことも
ただし、注意点として表示されるエンコーダーはPCによって異なります。したがって、自分のPCに表示されないエンコーダーもあるでしょう。
説明 | |
NVIDIA NVENC AV1 | GPUがRTX 40シリーズの場合に選択可能 |
AMD HW AV1 | Radeon RX 7000シリーズの場合に選択可能 |
QuickSync AV1 | Intel Arcシリーズの場合に選択可能 |
AOM AV1 | 通常は選ばない |
SVT-AV1 | 通常は選ばない |
NVIDIA NVENC HEVC | 同上、HEVCの別名はH.265 |
AMD HW H.265 (HEVC) | AMD製の内蔵GPU、Radeonの場合に選択可能 |
QuickSync HEVC | インテル製の内蔵GPU(第6世代以降)の場合に選択可能 |
NVIDIA NVENC H.264 | GPUがGTX/RTXシリーズの場合に選択可能 |
AMD HW H.264 (AVC) | AMD製の内蔵GPU、Radeonの場合に選択可能 |
QuickSync H.264 | インテル製の内蔵GPU(第5世代以降)の場合に選択可能 |
アップル VT H264 ハードウェアエンコーダ | Macの場合に選択可能 |
x264 | すべてのPCで選択できる |
また、大半の配信サイトはAV1およびHEVCに対応していない点も注意が必要です。
AV1 | HEVC | H.264 | |
ニコ生 | × | × | ◯ |
ツイキャス | × | ◯ | ◯ |
Twitch | ×(対応予定) | ×(対応予定) | ◯ |
YouTube Live | ◯ | ◯ | ◯ |
OPENREC | × | × | ◯ |
ミラティブ | × | × | ◯ |
たとえば、Twitchは2024年9月時点でAV1非対応であるため、PCが対応していたとしても「映像エンコーダ」で「NVIDIA NVENC AV1」を選べません。
この点、YouTube LiveはAV1およびHEVCの両方に対応しています。YouTubeで配信する場合は、エンコーダーを変更してみてください。
まとめ
ブロックノイズは、動きが激しいほど発生しやすくなります。
ゲーム配信でブロックノイズを完全になくすことは難しいですが、映像ビットレートを上げれば気にならないレベルにはできます。
ただし、配信サイトのビットレート上限などの関係上、ビットレートを上げられない場合もあります。そのような場合は、解像度・フレームレートを下げるなどして対処してください。
OBSの画質関連の設定については、下記ページにも情報をまとめました。
2006年から15年以上、ゲーム実況のやり方の解説記事を書いています。書いた記事数は1,000本以上。ゲーム配信、ゲーム録画、動画編集の記事が得意です。
記事はていねいに、わかりやすく!ゲーム実況界の教科書をめざしています。