高画質な配信をしたいなら、配信ソフトのほうでビットレートを高く設定する必要があります。
しかし、むやみにビットレートを高く設定してはいけません。なぜなら、以下のような事態が起こりうるからです。
- 配信画面がカクつく、カクカクする
- 配信が止まる、途切れる、プツプツする、切断される
では、どのようにしてビットレートを決めればよいのでしょうか。
ライブ配信用の記事です。
録画の場合は、「OBSで超高画質録画するための、シンプルなポイント。じつは数字をいじるだけ」をご覧ください。
関連OBS配信がカクカク、止まる、切断される。不安定な場合に試してほしいこと
目次
すべきことは3点だけ
シンプルに3点だけ押さえておきましょう。
- 速度(上り)を計測する。
- 利用する配信サイトのビットレート上限を調べる。
- 両者を比較し、低いほうの数字を配信ソフトに入力する。
詳細については後述します。
上りの速度を計測しよう
下りではなく、上りが重要
まず、上り速度(アップロードの速さ)を計測しましょう。
ここで注意したいのは、「下り」ではなく「上り」の速度という点です。ライブ配信では、データを配信サイトのサーバーにアップロードするので、上りの速度を計測します。
この速度が速ければ速いほど、ビットレートを高く設定できます。したがって、速度が速ければ高画質な配信をしやすくなると思ってください。
回線速度(通信速度)の測定は、下記サイトでできます。(1)ダウンロード速度 → (2)アップロード速度の順で計測されます。
参考 Speedtest(外部サイト)
混雑と速度規制
注意したいのですが、光回線だからといって必ずしも速いとは限りません。以下の2点を覚えておきましょう。
- 昼よりも夜のほうが混雑し、速度は落ちやすい
- プロバイダから速度規制されて、速度が落ちることがある
配信サイトのビットレート上限を理解しよう
守らないと配信が不安定に
たとえば、上りの速度が50Mbps(メガビーピーエス)出ているとします。しかし、配信ソフトのほうで50Mbpsに設定してもよい、というわけではありません。
なぜなら、配信サイト側のビットレート上限を考慮する必要があるからです。
多くの配信サイトでは、
- ○○Mbpsまでならビットレートを上げてもいいですよ
- でも、○○Mbpsを大きく超えた状態が続いたら配信が切れますよ
というように、ビットレートに上限を設けています。つまり、私たちは配信サイト側の仕様に従わなくてはいけません。
それでは、ビットレート上限について配信サイトごとに見ていきましょう。なお、1Mbps = 1,000kbps(キロビーピーエス)として考えます。
YouTube Live
YouTubeでは、ビットレート上限が設けられていません。
公式サイトには51Mbpsという数字は出てきますが(参考)、これほど高いビットレートで配信することは考えられないため、事実上上限はないと言えるでしょう。
設定がよくわからない場合は、ひとまず6,000kbpsに設定することを推奨します。速度に余裕があるなら10,000kbps(10Mbps)以上でもかまいません。
YouTube公式X(旧Twitter)では、1080p/60fpsで配信する場合に4,500~9,000bpsを推奨しています。
Twitch
Twitchでは、映像ビットレートについては3,000~6,000kbpsが推奨されています。いちおう6,000kbpsが上限と考えておきましょう。
公式ヘルプには、以下のような記載があります。
Twitchでは最大ビットレート(動画1秒ごとに転送されるビット数)を6000kbpsに規定していますが、大半のTwitchストリーマーはそこまで使いません。
ビットレートは最大でも6000までに留めてください。帯域を高く設定すると、多くの場合、配信が不安定になります。
ニコ生
ニコ生の場合は、プレミアム会員および一般会員ともに6,000kbpsが上限となっています。
かつては一般会員だと1,000kbpsが上限でしたが、2023年3月1日(水)に仕様が変わりました。
ツイキャス
ツイキャスの場合は、
ツイキャスでは、2023年にビットレート上限が60,000Mbps(60Mbps)まで引き上げられました。
設定がよくわからない場合は、ひとまず6,000kbpsに設定することを推奨します。速度に余裕があるなら10,000kbps(10Mbps)以上でもかまいません。
OPENREC
OPENRECでは、1,500~5,000kbpsが推奨されています。
公式ヘルプには、以下のように明記されています。
ビットレートが5,000kbpsを超えると自動で切断されます。
ミラティブ
ミラティブの場合、500~1,000kbpsで設定します。
公式ヘルプには、以下のような記載があります。
配信設定(ビットレート・FPS・解像度)が推奨値と大きく異なる場合、モバイルでの視聴に支障をきたすことがあるため、自動的に配信を切断します。
その他
上記以外のサイトについては、公式ヘルプを参照してください。ビットレートの説明が必ず掲載されています。
具体例で考えよう
低い数字に合わせる
いよいよ後半のステップになりました。
上りの速度、および配信サイトのビットレート上限を比較し、低い数字のほうに合わせてビットレートを決めます。
具体例1
たとえば、以下のような例を考えてみましょう。速度が速いケースです。
- 上りの速度 : 20,000kbps(20Mbps)
- 配信サイトのビットレート上限 : 6,000kbps(6Mbps)
この場合、ビットレートは6,000kbpsに設定します。
20,000kbpsには設定しないでください。配信サイトの仕様に合わない設定であり、配信が不安定になります。
具体例2
では、つぎのようなケースではどうでしょうか。今度は速度が遅い場合です。
- 上りの速度 : 1,000kbps(1Mbps)
- 配信サイトのビットレート上限 : 6,000kbps(6Mbps)
この場合は、1,000kbps以下に設定します。念のため、余裕を持たせて700~800kbps程度がよいでしょう(上り速度の70~80%)。
もし高画質にしたくて6,000kbpsに設定してもカクカクな配信になります。速度の限界を超えて設定するのは避けましょう。意味がありません。
▲速度に問題がなければ、このように緑色のアンテナが表示されます。逆に問題があると赤色のアンテナが表示されます。
このあたりについては、下記ページにまとめておきました。併せてご覧ください。
配信ソフトで設定しよう
最後のステップです。配信ソフトにビットレートを入力します。
OBS Studio
OBS Studioでは、まず「設定」をクリックします。
つぎに、映像ビットレートの設定を行います。
- 「設定」→「出力」の順にクリックする。
- 「出力モード」を「詳細」にする。
- 「レート制御」を「CBR」にする。
- その下の「配信」タブを開き、「ビットレート」に数字を入力する。
音声ビットレートの設定を行って終わりです。
- 「録画」タブの右隣にある「音声」タブを開く。
- 「音声ビットレート」で任意の数字を選ぶ。
- 「OK」をクリックする。
なお、ビットレートを変更したならセットで出力解像度の設定を変えたほうがよいケースもあります。詳細は、下記ページをご覧ください。
Streamlabs Desktop
Streamlabs Desktopの場合は、画面左下の歯車アイコンをクリックします。
そして、「出力」タブを開き、ビットレートの設定を行いましょう。
詳細は、下記ページをご覧ください。
XSplit
XSplitの場合、ビットレートの設定は配信サイトごとに行います。
具体的には、「ブロードキャスト」をクリックし、配信サイト名の横にある歯車アイコンをクリックします。
そして、「Bitrate」の部分で設定しましょう。
補足
ここでいうビットレートとは、以下の2種類の合計のことです。
- 映像ビットレート
- 音声ビットレート
たとえば、配信サイトのビットレート上限が6,000kbpsであるなら、映像ビットレートを5,872kbps、音声ビットレートを128kbpsに設定します。
まとめ
初めて配信を行う場合、ビットレートの設定は難しいかもしれません。なぜなら、
- 高すぎると、配信がカクつく、止まる、途切れる、切断される
- 低すぎると、粗い(荒い)画質になる
という状況に混乱しやすいからです。
さらに言えば、ビットレートが適切でも配信画面がカクつくことがあり、なおのこと苦戦する事情がそろっています。
最初は苦しいかもしれませんが、ポイントを押さえたうえでテスト配信を繰り返すことが重要です。
なお、ビットレートの設定は「プロファイル」を使えば配信サイトごとに保存しておけるので、覚えておきましょう。
2006年から15年以上、ゲーム実況のやり方の解説記事を書いています。書いた記事数は1,000本以上。ゲーム配信、ゲーム録画、動画編集の記事が得意です。
記事はていねいに、わかりやすく!ゲーム実況界の教科書をめざしています。
コメント
契約プラン確認して、LANケーブルとルーター変えて、無線から有線に変更して、IPv4 over IPv6にようやく切り替えられたけど、上り速度が1Mbpsでこの一ヶ月の苦労が無駄になった。
NURO光対象外地域だから辛い。
光回線、別にNUROじゃなくても、
NTTのフレッツ光だったとしても、IPv4 over IPv6に対応しているプロバイダと、IPv4 over IPv6に対応しているルーターがあれば、激しい混雑から逃れられる。
IPv6を使うのは良い考えだと思う。