OBS Studio(以下OBS)を使えば、ライブ配信中に同時録画することもできます。
つまり、
- ライブ配信(生放送)する
- 録画する
という2つの作業を、1つのOBSだけで実現できます。
録画してできた動画については、あとで編集したうえでYouTubeやX(旧Twitter)に投稿するのもよいでしょう。切り抜き動画として再利用できます。
目次
この記事は経験者向け
まず前提として、最低でも1回以上ライブ配信・録画の両方を経験したことがある人向けの記事となっています。
- OBSでライブ配信したことがある
- OBSで録画したこともある
もしライブ配信・録画の方法がわからないという場合は、下記ページをご覧ください。覚えることがたくさんあります。
以下、ライブ配信・録画の両方を同時にやるためのポイントだけ見ていきましょう。
「出力モード」は「詳細」に
準備として以下のように設定してください。
- 「設定」→「出力」タブを開く。
- 「出力モード」を「詳細」にする。
「出力モード」は「基本」でもよいのですが、今回は「詳細」で統一しました。
「基本」と「詳細」とでは、設定名の表示が一部異なります。後者のほうが詳細な設定ができるので、おすすめです。
録画「出力をリスケール」はOFFに
録画の「出力をリスケールする」は無効にしましょう。
- 「設定」→「出力」タブを開く。
- 「録画」タブを開く。
- 「出力をリスケールする」のチェックを外す。
この「出力をリスケールする」は、「映像」タブの「出力 (スケーリング) 解像度」をさらに拡大・縮小(リサイズ)するための設定です。
チェックを入れてしまうと、画質が悪くなる場合があるので注意してください。
たとえば、「映像」タブの「出力 (スケーリング) 解像度」が「640x 360」だったとします。
そして、「出力」タブ→「録画」タブの「出力をリスケール」にチェックを入れ、「1920 x1080」にして録画したとします。
この場合、640x360を1920x1080に拡大して録画するため、ボヤけた画質になります。つまり、高画質録画できません。
「映像エンコーダ」はGPU使用に
GPUにすれば低負荷
「録画」タブの「映像エンコーダ」でGPUを使う設定にします。低負荷で録画できます。
- 「設定」→「出力」タブを開く。
- 「録画」タブを開く。
- 「映像エンコーダ」で「NVIDIA NVENC H.264」や「QuickSync H.264」などを選ぶ。
▲表示される項目は、PC環境によって異なります。
「配信エンコーダを使用」について
低負荷に拘るのであれば、「映像エンコーダ」を「配信エンコーダを使用」にしてもかまいません。
これは、ライブ配信と同じ解像度・ビットレートで録画する設定です。
たとえば、「映像」タブの「出力 (スケーリング) 解像度」が「1920x 1080」で、かつ「出力」タブ→「配信」タブの「ビットレート」が「5,000 Kbps」の場合、1920x1080、5,000kbpsの設定で録画します。
▲「配信エンコーダを使用」にしている場合、ライブ配信の画質設定で録画されます。
ライブ配信の負荷で録画できるというメリットはありますが、画質の問題が出る場合がある点に注意してください。
たとえば、インターネットの通信速度(上り)が遅い環境で、やむをえず配信ビットレートを1,000kbpsに設定したとしましょう。一般的には低画質な設定です。
このとき「配信エンコーダを使用」にチェックを入れていると、1,000kbpsで録画されます。配信と同じ画質ですから、やはり低画質な動画になるわけです。
なお、「配信エンコーダを使用」にチェックを入れて録画しているかぎり、録画を一時停止することはできません。
「x264」について
「x264」は、PCのスペックに余裕があり、かつ画質を最優先で考えたい場合に選んでください。
設定・環境によってはPCの動作が重くなり、カクつくことがあるかもしれません。注意が必要です。
たとえば、「出力」タブ→「配信」タブの「映像エンコーダ」を「x264」、「出力」タブ→「録画」タブの「映像エンコーダ」も「x264」にしている場合、PCの動作は重くなります。
最低限、どちらか片方の「映像エンコーダ」をGPUに設定するか、または録画のほうを「配信エンコーダを使用」にしましょう。
配信・録画を開始する
ここまでできたら設定画面を閉じて、OBSでライブ配信・録画を開始します。
- 「配信開始」をクリックする。
- 「録画開始」をクリックする。
あるいは、「配信開始」をクリックするのと同時に、自動で録画を開始する設定にもできます。
- 「設定」→「一般」タブを開く。
- 「配信時に自動的に録画」にチェックを入れる。
- 「OK」をクリックする。
録画にマイク音声を入れない方法
「ライブ配信では自分の声を入れたいが、録画では声を入れたくない」という人もいるかもしれません。
つまり、
- 配信 : ゲーム画面 + ゲーム音 + マイク音
- 録画 : ゲーム画面 + ゲーム音
にしたいというケースです。
設定が複雑になりますが、OBSの音声トラックの設定を変更すればできます。
編集・投稿する
録画してできた動画については、通常どおり動画編集ソフトを使って不要な部分をカットするなどしましょう。
YouTubeやXに動画を投稿するための基本的な方法については、下記ページをご覧ください。
余談ですが、YouTubeやTwitchでライブ配信した場合、サイト上でアーカイブをカット編集することもできます。
- YouTube : 配信後、同サイトの「詳細」→「エディタ」で
- Twitch : 配信後、同サイトの「ビデオプロデューサー」で
さらに言うと、Twitchやツイキャスには、アーカイブをYouTubeにエクスポート(出力、投稿)する機能もあります。
設定例まとめ
最後に、設定例をまとめておきます。
このとおりでなくても問題ありません。あくまでも一例です。参考程度にしてください。
備考 : OBSでできないこと
ライブ配信と録画で、異なるフレームレートにはできません。「設定」→「映像」タブの「FPS 共通値」の設定でライブ配信・録画されます。
ライブ配信中に視聴者に見せているチャット画面を録画で入れないようにするなど、ライブ配信と録画で別々の画面にしたい場合、「Source Record」プラグインを導入する必要があります。プラグインなしではできません。
OBSについて不明な点がある場合は、下記ページも参考にしてください。
2006年から15年以上、ゲーム実況のやり方の解説記事を書いています。書いた記事数は1,000本以上。ゲーム配信、ゲーム録画、動画編集の記事が得意です。
記事はていねいに、わかりやすく!ゲーム実況界の教科書をめざしています。
コメント
ありがとうございました!
いつも良い記事をありがとうございます。この記事に関して質問です。
ライブ配信(720p)しつつローカル保存(1080p)したい場合に、「出力をリスケールする」を使うのは有効なのでしょうか。少し混乱の元になる設定なので出来ればしたくないです。
また、使う場合には「映像」タブの出力解像度を1920x1080、「出力」内の「配信」タブのリスケールを1280x720にすれば良いのでしょうか。
よろしくお願いします
その設定でできます。
・「映像」タブ の「出力 (スケーリング) 解像度」: 1920x1080
・「出力」タブの「配信」タブ : 「出力をリスケール」をONにして1280x720
・「出力」タブの「録画」タブ : 「出力をリスケール」をOFF(※「エンコーダ」は
「ストリームエンコーダを使用」以外にする必要あり)
という設定にすれば、ライブ配信は1280x720、録画は1920x1080となります。
たしかに「出力をリスケール」についてはちょっとアレで、
下記サイトに情報が載っているので参考になると思います。
https://ch.nicovideo.jp/kenta0644/blomaga/ar456144