OBS画質設定が自動化?Twitch「高度な配信」機能がやばすぎる

OBS Studio(以下OBS)は、バージョン30.2でEnhanced Broadcasting機能(マルチエンコード、マルチトラックビデオ)を実装しました。

Enhanced Broadcasting機能

同機能を使うことにより、画質が異なる複数の配信ができるようになります。

たとえば、

  • 1080p/60fps
  • 720p/60fps
  • 360p/30fps

という3つの画質設定で配信することになり、視聴者は自身の環境に合わせて画質を選べる(スムーズな視聴体験を得られる)というメリットがあります。

歯車アイコン

これに加えて、同機能を有効にすることで配信者はOBSの画質設定を自動化できるようになります。

Enhanced Broadcasting機能の設定方法について見ていきましょう。便利です。

Twitch公式サイトでは「Enhanced Broadcasting」を「高度な配信」と翻訳していますが、本文は「Enhanced Broadcasting」で統一しました。

Windows PCであることを前提とした記事です。

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Enhanced Broadcasting機能とは?

複数の画質で配信

Enhanced Broadcasting機能は、従来からTwitchで提供されているトランスコード機能の代替となるものです。

トランスコードとは、視聴者が画質を切り替えて配信を視聴できる機能のことで、視聴者のネット環境が悪い場合に便利です。

歯車アイコン

たとえば、視聴者が外でWi-Fiを使ってTwitch配信を見るとして、回線速度が遅かったり不安定だったりすると、スムーズに配信を視聴してもらえません。

そこで、視聴者の環境に合わせて複数の画質を作る機能がトランスコードです。

画質切り替え

トランスコードには以下のような特徴があります。

  • Twitchサーバー側で処理
  • 一部の配信者(パートナー)のみ安定して使える

トランスコードとの違い

他方、Enhanced Broadcasting機能もトランスコード機能と趣旨は同じですが、以下のような特徴があります。

  • 配信者のPCで処理
  • 配信者全員が使える

端的にいえば、いままで一部の配信者しか使えなかった「高度な」機能が全員使えるようになったと思ってください。

処理する側 利用可能な配信者
トランスコード Twitchサーバー おもにTwitchパートナー(最優先)
Enhanced Broadcasting 配信者のPC Twitch配信者ならだれでも

また、いままでTwitchサーバーに任せていたことを配信者のPCが肩代わりする機能、とも言えます。

高画質配信であれば視聴者も高画質視聴できます。ネット環境がよくない視聴者については、画質を落とせばスムーズに視聴できます。

画質設定が自動化

そして、ここも重要ですが、Enhanced Broadcasting機能を使うとOBSの画質設定が自動化されます。

画質設定が自動化

配信者のPCスペック、およびアップロード速度に応じて画質設定が最適化されるので、高画質配信するための煩わしい設定を行う必要がありません。

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極端な話、初心者はEnhanced Broadcasting機能を有効化するだけで、OBSを使ったTwitch配信ができます。

つまり、配信者・視聴者双方にメリットがあるのがEnhanced Broadcasting機能です。

とにかく上り回線に注意

Enhanced Broadcasting機能を使う場合、回線速度に注意してください。

上り・下り

たとえば、いままで6,000kbpsで配信していたとします。Twitchにおけるビットレートの上限設定です。

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しかし、Enhanced Broadcasting機能を使うと、ビットレートが異なる複数の画質を作ってそれを配信することになります。

すなわち、

  • 1つめの画質(高画質) : 6,000kbps
  • 2つめの画質(中画質) : 2,500kbps
  • 3つめの画質(低画質) : 500kbps

というように、3つの画質を作って配信することになり(場合によっては5つ)、結果的に計9,000kbps以上の配信になるかもしれません。

3つの配信画質

つまり、ビットレートをいつもより多く映像に割り当てたのと同じ状態で配信することになります。

もし上りの回線速度が遅い場合、Enhanced Broadcasting機能をじゅうぶんに活用しきれない可能性が考えられるでしょう。

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対応環境を確認しよう

対応環境は以下のとおりです。

  • OBSのバージョンが30.2以上(XSplitも対応しているが割愛)
  • GPUがGeForce GTX 900以降、RX 6000シリーズ以降(2024年7月時点)

GPUについては、以下の方法でわかります。

  1. 画面下部のバー(タスクバー)のなにもない場所で右クリックする。
  2. タスク マネージャー」をクリックする。
  3. パフォーマンス」をクリックする(下図A)。
  4. GPU」をクリックし(下図B)、右上を見る(下図C)。

タスクマネージャー

たとえば、タスクマネージャーで「GTX 1660」「RTX 3060」などと表示されていればEnhanced Broadcasting機能を使えます。

OBSのアップデートの方法がわからない場合は、下記ページをご覧ください。

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使い方・設定方法は簡単

解像度・フレームレート

設定は簡単です。

まず、「設定」→「映像」を開いて「解像度」と「FPS 共通値」の設定を行いましょう。

解像度・フレームレート

任意の設定でかまいませんが、今回は基本解像度・出力解像度を1920x1080、フレームレートを60fpsにしました。

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Enhanced Broadcastingを有効化

つぎは「配信」をクリックします。「サービス」が「Twitch」になっていること、およびアカウント接続できていることを確認します。


▲「アカウントを切断」と表示されているので、アカウント接続できています。

最後に「マルチトラックビデオ」のところにある「Enhanced Broadcastingを有効にする」のチェックを入れてください。

「Enhanced Broadcastingを有効にする」

最大配信帯域幅」および「最大ビデオトラック数」は、基本的にチェックを入れたままにしておきます。

最大配信帯域幅、最大ビデオトラック数

この2つは、配信者のネット環境がよくない場合にそれぞれチェックを外して上限を設定できます。しかし、基本的には入れておきましょう

  • 最大配信帯域幅 : ビットレートの上限を設定
  • 最大ビデオトラック数 : 作成する配信画質数の上限を設定

たとえば、「最大配信帯域幅」のチェックを外してビットレートの上限を3,000kbpsに設定したとします。

このとき、自分で1080p/60fpsに設定していたとしても実際は720p/30fps配信になることがあります。

なぜなら、1080p/60fps配信で3,000kbpsにすると画質を維持できない(粗くなる)と自動配信設定アルゴリズムが判断し、解像度・フレームレートを最適化するためです。

「最大配信帯域幅」および「最大ビデオトラック数」は通常はチェックを入れておき、必要に応じて外しましょう。

ほかの設定は不要

ほかの設定は必要ありません。ビットレートの設定も不要です。

Enhanced Broadcasting機能を有効化すると、「出力」タブを開いたとき上部に「Twitch Enhanced Broadcastingは配信設定の一部を制御しています」と表示されます。

Twitch Enhanced Broadcastingは配信設定の一部を制御しています

これはつまり、「出力」タブの一部の設定(例 : 配信時のビットレート設定)は不要で、画質設定を変更しても反映されないという意味です。

実際に配信してみよう

Twitchインスペクターを確認

設定が終わったら配信してみましょう。「配信開始」ボタンをクリックするだけです。

配信開始ボタン

Enhanced Broadcastingがうまく機能しているか知りたい場合は、Twitchインスペクターを確認(外部リンク)します。

Twitchインスペクター

配信中は、Twitchインスペクターの画面右側のサムネイルをクリックすると画面が切り替わり、配信状態に関する詳細な情報を見ることができます。

Twitchインスペクター

たとえば、「Source Media Tracks」の部分をご覧ください。複数の画質(マルチトラックビデオ)が作成されていることがわかります。

Source Media Tracks

Source Media Tracks

「Video Track」として「Quality #1」から「Quality #5」まで表示されているのであれば、5つの画質(品質)で配信を行っているという意味です。

  1. 1080p/60fps(5,964kbps)
  2. 720p/60fps(2,507kbps
  3. 480p/30fps(1,004kbps)
  4. 360p/30fps(508kbps)
  5. 160p/30fps(207kbps)

つまり、視聴者にはこの5つの画質のなかから任意のものを選んで視聴してもらえます。視聴者に画質を選択してもらいましょう。

1番の5,964kbpsがもっとも高画質で、5番の207kbpsがもっとも低画質です。視聴者は環境に応じて画質を選べます。

作られる配信画質の数

筆者のメインPC(RTX 4070 Ti SUPER)では5つの配信画質が作られました。

5つの配信画質

しかし、別のサブPC(GTX 1060(3GB))を使って同じ設定で1080p/60fps配信したところ、3つの配信画質が作られました。

  1. 1080p/60fps(6,003kbps)
  2. 720p/60fps(2,501kbps)
  3. 360p/30fps(502kbps)

3つの配信画質

GPUの性能によって作られる配信画質の数が異なるようです。

また、上述の「最大ビデオトラック数」で上限を設定した場合は、その数になります。たとえば、チェックを外して「2」にすると2つの配信画質(ビデオトラック)が作られます。

最大ビデオトラック数

まとめ

Enhanced Broadcastingを使うメリットは2つです。

  • 複数の画質を作って配信できる(視聴者の視聴体験が向上)
  • 画質設定が自動化される

設定方法は簡単で、「設定」→「配信」で「Enhanced Broadcastingを有効にする」のチェックを入れるだけでした。

OBSを使ってTwitch配信する場合、ひょっとしたら今後はこの配信方法が主流になるかもしれません。

Twitchでゲーム配信する方法・やり方については、下記ページもご覧ください。

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