OBS Studio(以下OBS)の設定で、わかったようでわからないのが解像度設定です。
解像度を変更することで、以下の2つが変わってきます。
- 画質(品質)
- PCの負荷(動作の重さ)
目的・環境に合わせて設定を変更しましょう。では、どうすればよいのでしょうか。ポイントをまとめました。
便宜上、ライブ配信を前提にしていますが、一部を除き録画の場合も基本的には同じです。
目次
解像度・フレームレートの意味
設定画面の開き方
解像度の設定を行うには、以下のようにします。
- 「設定」をクリックする。
- 「映像」をクリックする。
- 「基本 (キャンバス)解像度」と「出力 (スケーリング) 解像度」を見る。
ライブ配信中または録画中である場合は、いったん配信・録画を止めましょう。そうしないと解像度の設定を変更できません。
▲「映像出力中です。映像設定を変更するには出力を停止してください。」と表示されているときは、解像度を変更できない状態です。配信・録画をいったん止める必要があります。
もし配信・録画をしていないのに解像度を変更できない場合は、「仮想カメラ停止」ボタンや「リプレイバッファ停止」ボタンをクリックしてください。
基本解像度とは
「基本 (キャンバス)解像度」(以下、基本解像度)は、初期設定ではモニター解像度と同じ設定になっているはずです。
基本的に初期設定のままでかまいません。
たとえば、フルHDモニターを使用していて、かつPCゲームも1920x1080の解像度であるなら、OBSの基本解像度も1920x1080に設定します。
基本解像度の意味ですが、これはOBSで映像ソースを配置して編集するときの、ベースとなる画面サイズ(幅x高さ)のことをさしています。
▲図はニコニコヘルプをもとに作成
たとえば、OBSの基本解像度が1920x1080の状態で、解像度が1280x720の静止画像を取り込んだとしましょう。
この場合、OBSのプレビュー画面は下記画像のようになります。基本解像度の設定は、配信画面を作るためのベースになっているのです。
▲空白(縞模様の部分)がありますが、ソース上で右クリック→「変換」→「画面に合わせる」で埋められます。基本解像度と画像解像度のアスペクト比(縦横比)が同じであれば、この方法でフィットします。
出力解像度とは
基本解像度との違いがわかりづらいのが「出力 (スケーリング) 解像度」(以下、出力解像度)の設定かもしれません。
ライブ配信の場合でいうと、出力解像度はOBSが配信サイトに出力する画面サイズ(幅x高さ)のことをさしています。基本解像度とは必ずしも一致しません。
「1080p配信」や「720p配信」などの表現を見かけたことがあると思いますが、その数字部分の設定を行うのが出力解像度です。
- 1080p配信したい → 1920x1080に
- 720p配信したい → 1280x720に
出力解像度を変えるとして、「基本解像度は変えなくてもいいの?」と疑問を抱く人もいるかもしれません。これについては後述するとおり2つの考え方があります。
なお、「出力」タブ→「配信」タブの「出力をリスケールする」は「無効」にしておいてください。通常、この設定は使いません。
▲この設定は「出力モード」を「詳細」にすると現れます。
FPS共通値とは
解像度設定の下のほうに「FPS 共通値」という設定があります。ここは「30」または「60」にしましょう。無難なのは前者です。
FPS共通値はなにかというと、フレームレート(単位はfps)のことです。フレームレートとは、1秒間に表示されるコマ数のことで、数字が大きいほうが滑らかに動きます。
▲出典 : 『スーパーマリオワールド』(任天堂)より
他人のライブ配信を見ていて、ほかの配信よりも「動きがすごく滑らかだ」「ヌルヌルだ」と感じたことはないでしょうか。60fps配信の可能性があります。
- 60fps配信したい → FPS共通値を60に
- 30fps配信したい → FPS共通値を30に
60fpsのほうがよいと思うかもしれませんが、同一解像度の場合、30fpsよりも60fpsのほうがPCの負荷が大きくなります。逆にカクつく可能性があるので注意してください。
また、設定によっては30fpsよりも画質が落ちることもあります。さらに、ニコ生など配信サイトによっては、仕様上60fpsにしても意味がない場合もあります。
フレームレートについては、下記ページにも情報をまとめました。おもにキャプチャーボード使用時に60fpsにしたい場合の注意点です。
2つの解像度の関係
パターン2つ
話が込み入ってきました。
基本解像度・出力解像度の設定パターンとしては、大きく2種類に分類できます。
- 基本解像度を変えず、出力解像度だけを変えるパターン
- 基本解像度・出力解像度を同じものに変えるパターン
たとえば、フルHDモニターを使用していて、720p配信したいとしましょう。この場合、設定方法としては以下の2パターンが考えられます。
どちらの設定でも配信できます。
画質的にいちばん理想なのは、
- 基本解像度 : 1920x1080
- 出力解像度 : 1920x1080
- ゲーム解像度 : 1920x1080
というように、すべての解像度を1920x1080でそろえることです。
ただ、これはあくまでも理想であって実際のところ容易ではありません。ましてやライブ配信であれば、さまざまな制約があります。
また、基本解像度を変えると、OBSのバージョンによってはソースの位置が変わって画面レイアウトが崩れるので注意してください(31.0以降なら問題なし)。
スケーリング
基本解像度を変えずに出力解像度だけを変えて、両者が不一致になった場合は、スケーリングという処理が行われます。
たとえばライブ配信するとして、基本解像度が1920x1080、出力解像度が1280x720だとしましょう。
基本解像度・出力解像度が異なっているので、OBSは出力解像度である1280x720に縮小した映像を配信サイトに出力します(720p配信)。
このように解像度を変えること、画像サイズを変えることをスケーリングといい、後述の「縮小フィルタ」の設定も関係してきます。
なお、「ツール」→「自動構成ウィザード」には以下のような記述が登場します。
キャンバス (基本) 解像度は配信や録画の解像度と必ずしも同じではありません。実際の配信/録画の解像度はリソース使用量やビットレート要求を減らすためにキャンバス解像度から縮小されたものを使用できます。
※太字筆者
1080pがダメなサイトもある
高画質をめざすなら、出力解像度を1920x1080にしたいところです。
ただし、注意してください。配信サイトによっては1080p配信ができない、または意味がない場合があります。
1080p配信対応 | 設定方法 | |
ニコ生 | ×(720pまで) | こちら |
ツイキャス | ○ | こちら |
Twitch | ○ | こちら |
YouTube Live | ○ | こちら |
OPENREC | ○ | |
ミラティブ | × | こちら |
詳細については、下記ページにまとめました。
ビットレートとの関係も考慮
ここもややこしい部分です。
1080p配信、または720p配信するなら、ビットレートの設定はセットで考えましょう。
ポイントは3点です。
- 解像度が大きいなら、それに見合ったビットレートにする(数字を大きく)
- 配信サイトによってはビットレートに上限がある
- 高ビットレートにするには高速なインターネット環境が必要
極端な例ですが、出力解像度を1920x1080にしたとしても、映像ビットレートが1Mbps(1,000kbps)だと画質が破綻します。いわゆるモザイク配信になりかねません。
▲明らかにビットレートが不足した状態です。出典 : 『スーパーマリオ オデッセイ』(任天堂)より
これは解像度に対してビットレートが低すぎるのが原因です。詳細については、下記ページをご覧ください。
PCスペックも考慮
出力解像度・フレームレートが高いほうがPCにかかる負荷も大きくなります。
たとえば、以下の異なる2つの設定で配信したとします。
- 1920x1080、60fps
- 1280x720、30fps
この場合、軽いのは2番めの設定です。
1番めの設定の場合、PCスペックによっては滑らかに動かず、カクカクになることがあるでしょう。無難なのは720p/30fps配信です。
縮小フィルターとスケールフィルター
解像度設定の下に「縮小フィルタ」という設定があります。
この部分の変更は、基本解像度と出力解像度が異なっているとき限定で有効になります。たとえば、基本解像度が1920x1080、出力解像度が1280x720のときです。
どのアルゴリズムを選ぶかによって画質・負荷が違ってくるのですが、使いやすいのは「ランチョス」でしょう。
ただ、ほかの設定でもかまいません。実際に縮小フィルターを変更して検証し、任意のものにします。ジャギー(輪郭のギザギザ)や文字のにじみに影響することがあります。
細かい話になりますが、ソースを拡大・縮小している場合、「スケールフィルタ」によっても画質が異なってきます。頭の片隅に入れておいてください。
▲「ソース」一覧にある各ソース上で右クリックすると「スケールフィルタ」をソースごとに選べます。
たとえば、「シャープさが不足しているな」と感じたら、スケールフィルターを設定してみましょう。ソースによって最適な設定は異なります。
2006年から15年以上、ゲーム実況のやり方の解説記事を書いています。書いた記事数は1,000本以上。ゲーム配信、ゲーム録画、動画編集の記事が得意です。
記事はていねいに、わかりやすく!ゲーム実況界の教科書をめざしています。