OBS Studio(以下OBS)で画面サイズが合わない(おかしい)ことがあるかもしれません。
具体的には、
- 灰色の縞模様が表示される
- 画面が見切れる、ずれる
- 上下または左右に黒枠(黒帯、空白)がある
などのケースです。
これらの原因としては、
- OBSの解像度設定をまちがえている
- その映像素材の仕様
- 単純な設定ミス
といったことが考えられます。直すのは簡単ですが、妥協が必要な場合もあるでしょう。
モニター解像度が1920x1080ピクセル(縦横比が16:9)の製品を使用していることを前提としています。
関連OBSのプレビュー画面サイズを大きくしたいときの対処法6個
目次
【重要】最初に確認しよう
「プレビュースケーリング」は初期設定で
プレビュー画面上で右クリックし、「プレビュースケーリング」が「ウィンドウサイズにスケーリング表示」になっていることを確認します。
ここが「基本(キャンバス)」または「出力(スケーリング)」になっていると、「画面サイズが合っていないのでは?」と誤解する可能性があります。
▲OBS 31.0からはプレビュー画面上で右クリックしなくても設定できるようになりました。「ウィンドウサイズにスケーリング表示」にしておきます。
「プレビュースケーリング」は、あくまでもプレビュー画面上で大きく見えているだけであり、ライブ配信・録画のさい実際に画面が拡大されるわけではありません。
実際はほとんど使わない機能なので、初期設定のままにしておきましょう。
「スケ/アス比」フィルターは使わない
「スケーリング/アスペクト比」フィルターは使わないようにします。ソース上で右クリック→「フィルタ」→「+」に同フィルターがあります。
今回は使わないようにしてください。使うと黒枠ができる場合があります。
節子、それ黒枠やない
黒枠だと思っているものがほんとうに黒枠なのか、再度確認してみましょう。
よく確認したら、じつは黒枠ではなくてOBSの両端部分だったというケースがあります。
ソースをクリックして赤枠(バウンディングボックス)をしっかりと見るか、ライブ配信・録画してチェックしたほうが確実です。
基本解像度・出力解像度を16:9で統一する
主流は16:9の画面比率なので
「設定」→「映像」を開いてください。そして、「基本 (キャンバス) 解像度」と「出力 (スケーリング) 解像度」を見ます。
この2つの解像度設定によっては、以下のようなことが起こりえます。
- 画面がずれる
- 黒枠ができる
- 縦または横に伸びた映像になる
そこで、以下のいずれかの設定にしましょう。
基本 (キャンバス) 解像度 | 出力 (スケーリング) 解像度 | 縦横比 | |
設定例1 | 1920x1080 | 1920x1080 | 16:9 |
設定例2 | 1920x1080 | 1280x720 | 16:9 |
設定例3 | 1280x720 | 1280x720 | 16:9 |
もし設定例1~3のどれがよいかわからない、あるいは用語が意味不明という場合は、設定例2が無難です。
重要なのは、画面縦横比(画面比率、画面アスペクト比)をすべて16:9でそろえることです。
どの配信サイト・動画サイトも、基本は16:9の画面サイズです。たとえば、YouTube、Twitch、ニコ生、ツイキャス、すべて16:9です(一部例外あり)。
したがって、基本的に16:9の画面サイズで統一しましょう。
縦型配信のときは9:16にしますが、あくまでも例外です。
不適切な設定例
これがたとえば、「基本 (キャンバス) 解像度」を1920x1080(16:9)にして、かつ「出力 (スケーリング) 解像度」を1280x960(4:3)にしたらどうなるでしょうか。
▲OBSのプレビュー画面上では正常に見えます。しかし、解像度設定は不適切な状態です。
OBSのプレビュー画面上では一見正常ですが、実際は縦長の映像になります。さらには左右に黒枠ができます。
▲Twitchで見たときの映像。YouTubeだと黒枠は表示されないものの、フルHDモニターの視聴者がフルスクリーン表示にすると左右の空白部分が黒色になります。
ピラーボックスといって、左右の空白部分(なにもない部分)が黒色で表示されるのです。これが黒枠の正体です。
では、「基本 (キャンバス) 解像度」を1280x960(4:3)にして、かつ「出力 (スケーリング) 解像度」を1280x720(16:9)にしたらどうなるでしょうか。
▲OBSのプレビュー画面上では正常に見えます。しかし、解像度設定は不適切な状態です。
OBSのプレビュー画面上では一見正常ですが、実際に出力される映像は横長になります。OBSが画面を横に引き伸ばして出力したためです。
▲映像が横長になった状態
「出力をリスケールする」は「無効」で
「設定」→「出力」→「配信」→「出力をリスケールする」は「無効」にします。
▲この設定は、「出力モード」が「詳細」のときに表示されます。
もし「出力をリスケール」の解像度を変更するとしても、16:9の解像度に設定するようにしてください。
しかし、基本的には「無効」を推奨します。通常は設定を変更する必要はありません。
「画面に合わせる」を使う
右クリック→「変換」から
解像度の設定が完了したら、つぎは「画面に合わせる」を使ってみましょう。
- ソース上で右クリックする。
- 「変換」から「画面に合わせる」をクリックする。
もし「画面に合わせる」がグレーアウトして選べない(クリックできない)場合は、ソースのロックを解除します。
ショートカットキーも覚えておいてください。Ctrlキー + Fキーです。頻繁に使います。
ぜひ使いたい3つのケース
「画面に合わせる」は以下のようなケースで使います。
- ソースの画面サイズが小さいとき
- ソースの画面が見切れているとき
- ソースの画面がずれて、斜めの灰色縞模様(オーバーフロー)が表示されているとき
「画面に合わせる」は、ソースの位置・サイズ変更を一発で変更できるスグレモノです。
具体的には、かりにソースの画面サイズが小さい場合、画面にフィットするように最大限大きくなります。
また、ソースの画面サイズが大きすぎて見切れている場合は、画面内に収まるように小さくなります。見切れていた部分も見えるようになるでしょう。
なお、オーバーフローは「設定」→「映像」→「基本(キャンバス)解像度」で設定した画面サイズの範囲外にソースが配置されたときに表示されます。
強引に引き伸ばす
上述の「画面に合わせる」を使っても黒枠を消せないこともあるはずです。そこで、画面に合わせて引き伸ばす方法があります。
縦横比を「無視」する場合
お勧めはしませんが、ソースの画面サイズを引き伸ばして画面にピッタリと合わせることができます。
▲『スーパーマリオワールド』(任天堂)のゲーム画面(4:3)を16:9の画面に合うように、横に引き伸ばしました。
やり方は、Shiftキーを押しながら赤色の点をドラッグです。うまくできない場合は、いったんCtrlキー + Rキーを押してから再度行ってください。
または以下の方法でもかまいません。
- ソース上で右クリックする。
- 「変換」→「画面に引き延ばして置く」をクリックする。
この方法のデメリットは、ソースの画面縦横比が狂うことです。横方向・縦方向に伸びるので、たとえば人が映っている場合は太くなったり細くなったりします。
もし変換をリセットしたい場合は、Ctrlキー + Rキーで最初の状態に戻してください。
縦横比を「維持」する場合
画面縦横比を維持したまま引き伸ばしたいなら、キーを押さずに赤色の点をドラッグします。
▲縦横比を維持しながら引き伸ばしました。画面の一部が欠けていますが、不具合ではありません。
満足するまで大きくしてかまいません。ただし、斜めの灰色縞模様(オーバーフロー)が表示されるまで大きくすると、ソースの画面の一部が欠けます。
この方法で画面サイズを変更する場合、ゲーム画面の重要な情報が見えなくなってしまうかもしれません。また、画質がぼやけます。
もし「画面が欠けるのは避けたい。でも画面は大きくしたい」ということであれば、さきほどの「画面に合わせる」しか方法はありません。
iPhone/iPadの場合は
ここまでの方法をすべて実践しても、iPhone/iPadの画面をOSBに映している場合は黒枠ができます。
不具合ではありません。ただ、どうしても黒枠を消したいのであれば、画像などをソースとして追加して背景にしましょう。
すると、その背景画像の上にiPhone/iPadの画面が配置され、多少は違和感が消えます。
キャプチャーボードを使ってiPhone/iPadの画面をOBSに映している場合は、さらに黒枠の部分をクロップ(トリミング)が必要です。つまり、黒色部分を削るのです。
キャプチャーボード使用時のiPhone/iPadの黒枠の消し方については、下記ページをご覧ください。
レトロゲームの場合は
レトロゲームは、画面アスペクト比が4:3です。したがって、冒頭で設定した解像度設定(16:9)だと左右に黒枠が入ります(ピラーボックス)。
▲出典 : 『スーパーマリオワールド』(任天堂)より
これについても仕様なので、特別対処する必要はありません。
どうしても黒枠を消したいのであれば、背景画像を入れたり、フレーム画像を作って入れるのもよいでしょう。
▲背景画像を入れた状態
たとえば、背景画像を入れるのであれば以下のようにします。
- ゲーム画面上で赤丸の部分にカーソルを重ねる。
- その部分でAltキーを押しながら辺または角をドラッグする(クロップで黒枠を削る)。
- 「ソース」の「+」→「画像」で背景画像を追加する。
- 「ソース」の部分で背景画像をゲーム画面より下の順位にする(ドラッグ)。
Webカメラの場合は
初期設定では、Webカメラの画面は縦横比が4:3になっています。しかし、これだと画面の左右に黒枠が表示されます。
そこで、「映像キャプチャデバイス」の設定を変更して画面縦横比を16:9にしましょう。
- ソースとして追加した「映像キャプチャデバイス」をダブルクリックする。
- 「解像度/FPS タイプ」を「カスタム」にする。
- 「解像度」を「1280x 720」や「1920x 1080」にする。
- 「OK」をクリックする。
備考 : PS5、Switchの表示エリア調整
ゲーム機側の画面サイズの調整が不適切である可能性もあります。
以下の設定で直してみてください。OBSではなく、あくまでもゲーム機側の設定です。
<PS5の場合>
- 「設定」を押す。
- 「スクリーンとビデオ」→「スクリーン」の順に押す。
- 「表示エリアを調整」を押して調整する。
<Switchの場合>
- 「設定」を押す。
- 「テレビ出力」→「画面の大きさを調整」の順に押す。
- 画面サイズを調整する。
まとめ
画面サイズがおかしいときに重要な点は3つあります。
- OBSの2つの解像度設定を見直す(画面縦横比を16:9で統一)
- 「画面に合わせる」を使う(Ctrlキー + Fキー)
- 背景画像を入れる
基本的に、ソースの画面サイズを引き伸ばすのはお勧めしません。画面が伸びるか、欠けるかの2択になるからです。
そういう意味では妥協が必要な場合もありますが、以上のことを基本知識として押さえておくだけでも気が楽になるはずです。
OBSでよくあるトラブルや、画面の映し方については、下記ページも併せてご覧ください。
2006年から15年以上、ゲーム実況のやり方の解説記事を書いています。書いた記事数は1,000本以上。ゲーム配信、ゲーム録画、動画編集の記事が得意です。
記事はていねいに、わかりやすく!ゲーム実況界の教科書をめざしています。