OBS Studio(以下OBS)で配信するさい、どのように設定すれば高画質・高音質な配信ができるのでしょうか。画面が荒くなって困ったという経験は、だれもがあるはずです。
画質で重要なのは以下の設定です。
- ビットレート
- 解像度
また、音質で重要なのは以下の設定です。
- 音声ビットレート
- サンプリングレート
- フィルター
少し説明が長くなりますが、ポイントを押さえていきましょう。
目次
ビットレートの設定をしよう
ビットレートとは
画質をよくしたいなら、まずはビットレートの設定が重要です。
- 「設定」→「出力」の順にクリックする。
- 「出力モード」を「詳細」にする。
- その下の「配信」タブを開く。
- 「レート制御」が「CBR」になっていることを確認する(後述)。
- 「ビットレート」に数字を入力する(例 : 5,000kbps)。
ビットレートは、たとえば「5000kbps(キロビーピーエス)」というような数字で表します。数字が大きいほど高画質にできると思ってください。
▲出典 : 『スーパーマリオ オデッセイ』(任天堂)より
逆に数字が小さすぎると、動きの激しい映像では画質が荒くなり、モザイクがかかったような映像になることがあります。
ビットレートには、映像ビットレートと音声ビットレートがあります。上で書いたのは映像ビットレートの設定です。
音声ビットレートも、数字が大きいほど高音質になります。
- 「設定」→「出力」の順にクリックする。
- 「出力モード」が「詳細」になっていることを確認する。
- その下の「音声」タブを開き、「音声ビットレート」に数字を入力する(例 : 128kbps)。
むやみに高ビットレートにできない理由
では、単純に大きな数字にすればよいのかというと、そうではありません。なぜなら、以下の2つの理由があるからです。
- 配信サイト側で、ビットレートに上限が設けられている
- 配信者のインターネット速度(上り)が遅いことがある
配信サイトのビットレートの上限というのは、たとえば6,000kbps以上のビットレートだと配信が切断される、不安定になるというような制限です。つまり、配信サイト側の仕様です。ユーザー側ではどうしようもありません。
また、配信者の上り速度が遅いというのは、たとえば上りの速度が800kbpsしか出ないというような状況を考えてください。下りの速度ではない点に注意が必要です。
ビットレートの決め方
具体例
では、ビットレートの設定はどうすればよいのでしょうか。以下のように考えていきます。
- 配信サイトのヘルプページなどを見て、上限ビットレートを調べる。
- 自分の上り速度を調べる。
- 1と2を比較し、低いほうに合わせてビットレートを設定する。
たとえば、配信サイトのビットレート上限が2,500kbpsで、かつ自分の上り速度が10,000kbpsであれば、2,500kbpsに設定します。
かりに上り速度が800kbpsの場合は、2,500kbpsに設定してはいけません。紙芝居のようにカクカクと動く配信になるからです。
配信サイトごとのビットレート上限
配信サイトごとのビットレート上限については、下表をご覧ください。注意したいのですが、ビットレート上限は映像ビットレートと音声ビットレートを合計したものです。
ビットレート上限 | 設定例(映像+音声) | |
ニコ生 | 6,000kbps | 5,872+128 |
ツイキャス | 6,000kbps(公式推奨は5,000) | 4,872+128 |
Twitch | 6,000kbps | 5,872+128 |
YouTube Live | 51,000kbps(事実上、上限なし?) | 6,000+128 |
OPENREC | 5,000kbps | 4,872+128 |
ビットレートのめやすについては、下記ページをご覧ください。設定が不適切だと、配信がスムーズにできません。画質にも影響します。

解像度はビットレートとセットで考えよう
解像度の設定
高画質にしたいなら解像度の設定も重要です。
「解像度」という用語はいろいろな場面で用いられますが、ここでは幅x高さで表す画面サイズのことだと思ってください。
- 「設定」→「映像」の順にクリックする。
- 「出力 (スケーリング) 解像度」で任意の解像度を設定する(例 : 1280x720)。
- 「縮小フィルタ」で「ランチョス」を選択する。
「縮小フィルタ」は、「基本 (キャンバス) 解像度」を「出力 (スケーリング) 解像度」に縮小するさいに使う機能です。理論上は、「ランチョス」がもっとも高画質に縮小できます。
むやみに解像度を大きくできない理由
解像度は大きければよいというわけではありません。たとえば、「出力 (スケーリング) 解像度」を1920x1080にしたら高画質になるのかというと、そうとは限らないのです。
以下の3つを考える必要があるからです。
- OBSの映像ビットレートの設定
- 配信サイトの仕様
- 配信者のPCスペック
解像度を大きくしても、映像ビットレートが不足していると、逆に画質が落ちてしまいます。
たとえば、映像ビットレートを500kbps、解像度を1920x1080に設定したらどうなるでしょうか。下記画像のように画質が破綻します。解像度に対して、映像ビットレートが極端に不足しているからです。
▲明らかにビットレートがたりない状態です。ゲーム画面は『スーパーマリオ オデッセイ』(任天堂)より
解像度の設定は、ビットレートとセットで考える必要があるのです。上り速度が遅い場合、高ビットレートにできないため、1920x1080の解像度はあきらめてください。
また、上り速度に問題がなくてもPCのスペックが問題になるケースがあります。というのも、解像度が大きいほどPCに大きな負荷がかかり、映像が滑らかに動かなくなる場合があるからです。

たとえば、1280x720と1920x1080を比較した場合、後者のほうがPCの動作が重くなります。したがって、もし低スペックなPCを使用しているのであれば、解像度を1920x1080にしてはいけません。
配信サイトごとの解像度の設定例
解像度の設定は、下表を参考にしてください。基本的には1280x720がおすすめです。なぜなら、画質やPCスペックとの関係で無難な設定だからです。
解像度の設定例 | |
ニコ生 | 1280x720 |
ツイキャス(超高画質配信) | 1280x720、1920x1080 |
Twitch | 1280x720、1920x1080 |
YouTube Live | 1280x720、1920x1080 |
OPENREC | 1280x720、1920x1080 |
また、TwitchやYouTubeで画質を突き詰めたいなら1920x1080、インターネット環境がよくないならサイトに関係なく640x360がよいでしょう。
エンコーダープリセットについて
エンコーダープリセットを変更することでも画質を上げることができます。これは、あらかじめ用意されている画質設定のことです。
- 「設定」→「出力」の順にクリックする。
- 「出力モード」が「詳細」になっていることを確認する。
- その下の「配信」タブを開く。
- 「CPU使用のプリセット」を変更する(例 : 「medium」)。
下にあるものほど高画質ですが、その代わりPCの負荷は大きくなります。逆に上にあるものほど低画質ですが、PCの負荷は小さくなります。
設定・環境によっては、設定画面が上記画像と違うことがあるでしょう。「エンコーダ」が「x264」以外だとそうなります(後述)。
▲「エンコーダ」が「NVIDIA NVENC H.264(new)」のときは、「プリセット」という表示になります。
その他、画質に影響を及ぼす設定
CBRとVBR
ビットレートの設定では、CBRとVBRについて頭の片隅に留めておきましょう。この設定は画質や安定性に関係してきます。
- 「設定」→「出力」の順にクリックする。
- 「出力モード」が「詳細」になっていることを確認する。
- その下の「配信」タブを開き、「レート制御」が「CBR」になっていることを確認する。
CBRというのは、ビットレートが変動しないようにする設定のことです。VBRはその反対で、映像の状態に合わせてビットレートが変動する設定です。
- CBR(constant bitrate) : 固定ビットレート
- VBR(variable bitrate) : 可変ビットレート
たとえば、映像が激しく動く場合、ビットレートを上昇させて画質を維持するのがVBRです。
それぞれメリット・デメリットはあるのですが、基本的にはCBRでよいでしょう。Twitchなど主要な配信サイトはCBRを推奨しています。
参考 Broadcasting Guidelines(外部サイト)
なお、録画目的でOBSを使用するする場合は、逆にCBRにはしません。「VBR」「CRF」「CQP」のいずれかを選びます。

キーフレーム間隔
キーフレーム間隔は、キーフレームというものを挿入する頻度について設定します。やはり画質・安定性に影響します。
初期設定では0(つまり自動)になっていますが、通常は2~3秒にしておきましょう。
- 「設定」→「出力」の順にクリックする。
- 「出力モード」が「詳細」になっていることを確認する。
- その下の「配信」タブを開き、「キーフレーム間隔」を「2」秒にする。
▲なお、YouTubeやTwitchで配信する場合、厳密には「設定」→「配信」タブの「配信サービスの推奨事項設定を無視する」のチェックを外しておけば、「出力」タブでキーフレームの設定を行う必要はありません。OBS内部で2秒に設定されるからです(自動)。
フレームレート
フレームレートの設定も画質に影響します。
- 「設定」→「映像」の順にクリックする。
- 「FPS 共通値」が「30」になっていることを確認する。
フレームレートは動きの滑らかさを表しており、「30fps」といえば1秒間に30個の画像が表示されて切り替わるという意味合いです。パラパラマンガと同じで、60fpsのほうが30fpsよりも滑らかに動きます。
基本的には30fpsにしておいてください。むやみに数字を大きくしても、画質低下やPCの動作が重くなる原因になります。
もちろん、ゲームが60fpsで動いていて、かつPCスペックに余裕があるなら60fpsにしてもかまいません。
なお、ニコ生は30fpsまでの対応となっています。
エンコーダー
最後に、エンコーダーの設定についてです。
- 「設定」→「出力」タブを開く。
- 「出力モード」を「詳細」にする。
- 「配信」タブを開く。
- 「エンコーダ」の部分を見る。
環境によって異なりますが、「エンコーダ」では以下のような選択肢が表示されます。
説明 | |
x264 | |
NVENC H.264 (new) | GPUがGTX/RTXシリーズの場合に |
QuickSync H.264 | インテル製CPUの場合に |
H264/AVC Encoder (AMD Advanced Media Framework) | AMD製CPUの場合に |
アップル VT H264 ハードウェアエンコーダ | Macの場合に |
用語が難しいかもしれません。2種類に分けて考えましょう。
説明 | |
x264 | 画質はよいが、負荷が重い。CPUエンコードとも言う |
それ以外 | 画質は落ちるが、負荷が軽い。GPUエンコードとも言う |
一般論として、ハードウェアエンコーダーは画質が少し落ちます。したがって、画質重視の設定にするならソフトウェアエンコーダーであるx264がよいのです。
ただ、PCのスペックとの兼ね合いもあるため、最終的な判断は難しいところです。よくわからないのであれば、無難にハードウェアエンコーダーを選択してください。画質よりも動きの滑らかさを重視します。
OBSのバージョンが23.0以降で、かつグラフィックボードがRTX 20シリーズであれば、迷わず「NVENC H.264 (new)」を選びましょう。x264のプリセットである「fast」よりも画質が上だからです(参考)。
▲出典 : NVIDIA公式サイトより
音質の上げ方
音声ビットレート、サンプリングレート
音声ビットレートについては、上で述べました。96~192kbpsの範囲内で設定すればじゅうぶんです。
サンプリングレートも音質に直接影響する設定です。ただ、配信では気にする必要はありません。音ズレなどの問題が起きたさいに、48kHzにすべきか44.1kHzにすべきか意識する程度です。
- 「設定」→「音声」の順にクリックする。
- 「サンプリングレート」を「48khz」または「44.1khz」にする。
ノイズ低減機能・ツール
OBSにはフィルター機能があります。マイクの音質が悪い場合は、うまく使うとよいかもしれません。ノイズ抑制とノイズゲートの2種類があります。

また、OBSの機能を使わず、NVIDIA BroadcastやRTX Voiceといったソフトを使う方法もあります。こちらのほうがより強力です。


オーディオ機材
もし本気で高音質な配信にしたいなら機材をそろえましょう。ここでいう機材とは、オーディオインターフェイスやマイクのことです。

備考 : 視聴側の画質設定
配信サイトの動画プレイヤーの画質設定によっては、低画質に見えることがあるかもしれません。
たとえば、YouTubeで歯車アイコンが「360p」になっていたとします。この場合、たとえOBSで1080pに設定して高画質配信していたとしても、低画質な状態で動画が再生されます。
まとめ
上り速度や配信サイトの仕様、PCの負荷を総合的に考えて、画質を設定しなくてはいけません。一筋縄ではいかない部分もあるでしょう。
基本的には、高画質な設定は高負荷になりやすく、逆に低負荷な設定は低画質になりやすいという傾向があります。したがって、画質を優先的に考えると高性能なPCのほうが有利です。

もし高画質な設定にした結果、PCが重い、配信画面がカクつくという場合は、下記ページをご覧ください。設定を見直す必要があります。

質問・コメント
OBS配信をしようと思っているんですが、何故か配信しても2-3秒で画質が荒くなってしまいます。
止まっている間は画質が安定していますが、動いて2-3秒ごとに画質が安定して2-3秒ごとに画質が荒くなります。
どうすればずーーーと画質が荒れる事なく安定する配信ができますでしょうか?
corei7 6700
メモリ16GB
グラボ Geforce GTX 1070 8GB
モニター144Hz
回線速度どのサイトが正しいのか分かりませんが上り520MbPS下り370Mbps
回答が完全な勘になってしまって申し訳ないのですが、
OBSの設定画面で「出力」→「出力モード」→「詳細」で、
「プロファイル」の部分を「baseline」にしてみてください。
また、同じく「出力」で「キーフレーム間隔」が
0秒になっているのであれば2秒にします。
加えて、「詳細設定」→「YUV色範囲」が「全部」に
なっているのであれば「一部」にすることで直るかもしれません。
通常は、ビットレート、解像度、フレームレートの3点が
完璧ならば映像が荒くなることはないので、
うまくいかないかもしれませんが…。
基本解像度とはモニターの解像度とありますが、キャプチャーしているゲームをフルスクリーンでプレイしていない場合でも1920×1280に設定したほうが良いのでしょうか。
基本解像度は、へたに変えるとトラブルのもとなので、
原則として変えないほうがよいかと思います。
モニターの解像度が1920x1080なら、ゲームをフルスクリーンで
プレイしていない場合でもそのままでOKです。
そうなんですね、PCや配信は素人なので助かりました。ありがとうございます。
OBS23.0にアップデートしてからビットレートが安定しなくなりました。
今までは9000でもずっと緑だったのが、今では赤くなったり緑になったりと不安定です。5000に下げても同じく不安定です。
どうしたらよくなるなど分かる方はご教授お願い致します。
質問です。
今まで配信しながらゲームをしていても、特に問題ありませんでしたが、最近OBSのフレームレート落ちに悩まされています。
windows update数日後から不調で色々試してみましたが治りません。
もし、心当たり有る修正方法等ご教授頂けたら幸いです。
スペック
core i7 7700
メモリ16G
グラボ Geforce GTX 1060 6G
たとえばですが、Windows Update後にWindows 10のゲームモードが
ONに戻ってしまって、フレームレートが出ないというケースがあります。
まずは、そのあたりをチェックされてみてはいかがでしょうか。
https://vip-jikkyo.net/fps-drops-in-obs-studio#i-4