OBS Studio(以下OBS)でマイクの音が入らない、自分の声が入らないという場合の対処法について見ていきましょう。
原因は大きく3つに分類できます。
- OBSの設定が不適切
- Windowsの設定が不適切
- 物理的な問題が起きている
意外とありがちなのが、「OBSのせいだと思ったら違った」というパターンです。
OBS以外にも多くの原因が考えられるので、ひとつずつ対処していく必要があります。
OBSの設定
使用するマイクを適切に選択する
マイクをきちんと選択できているか確認します。
- 「設定」をクリックする。
- 「音声」タブを開く。
- 使用するマイクを「マイク音声」で選択する。
- 「OK」をクリックする。
PC環境によっては、「マイク」ではなく「ライン」を選ばなくてはいけない場合もあるでしょう。たとえば、AG03などを導入している場合です。
もし「マイク音声」で適当なマイクが表示されない場合は、Windows側の設定でマイクを有効にする必要があります(後述)。
なお、今回のように「設定」→「音声」でマイクを指定する場合は、シーンに「音声入力キャプチャ」を追加しないようにしてください。マイク音声が二重になります。
マイクのミュートを解除する
「音声ミキサー」の部分でマイクがミュートになっている場合は、ミュートを解除します。
音声トラックの設定を見直す
まず、歯車アイコンから「オーディオの詳細プロパティ」を開きましょう。
▲ここに歯車アイコンがない場合は、上部メニューバー「編集」→「オーディオの詳細プロパティ」でも開けます(バージョン28.0以上で同アイコンが表示)。
つぎに、「マイク」の「トラック」のすべてにチェックを入れます。
そのうえで以下のように設定してください。
- 「設定」→「出力」タブを開く。
- 「出力モード」の下にある「配信」タブ、または録画したいなら「録画」タブを開く(タブがないなら設定不要)。
- 「音声トラック」の「1」にチェックを入れる。
▲初期設定では音声トラック「1」が選択されています。したがって、「オーディオの詳細プロパティ」の「マイク」も「1」にチェックが入っていないといけません。
音声トラックの設定は、慣れないうちはいじらないほうが無難です。
音声モニタリングの設定を見直す
上述の「オーディオの詳細プロパティ」を開き、「マイク」の「音声モニタリング」で「モニターオフ」を選択します。
基本的に、「マイク」の「音声モニタリング」については「モニターのみ (出力はミュート)」を選んだままにしておくことはありません。
説明 | 配信への影響 | 重要度 | |
モニターオフ | 初期設定 | なし | A |
モニターのみ(出力はミュート) | 音を自分で聞きたいときに | 配信には乗らない | A |
モニターと出力 | 音を自分で聞きたいときに | 配信にも乗る | C |
ただ、自分の声を確認したいときなど、必要なときだけ一時的に「モニターのみ (出力はミュート)」にすることはあります。
モニタリングデバイスを見直す
これは、マイク音をOBS上で聞くための設定をまちがえているパターンです。
「マイク」のレベルメーターが動いているにもかかわらず、マイク音が自分に聞こえない場合に確認してください。
以下のように設定しましょう。
- 「設定」→「音声」の順にクリックする。
- 「モニタリングデバイス」を「既定」にする。
- 「OK」をクリックする。
ノイズ抑制などの音声フィルターを削除する
音声フィルターを追加している場合、これをいったん削除してみてください。
具体的には、以下のような音声フィルターです。
- ノイズ抑制
- ノイズゲート
- エキスパンダー
- NVIDIAノイズ除去(NVIDIA Broadcast、RTX Voice)
これらの音声フィルターを適用している場合、声質・声量・環境・設定によってはマイクで入力した一部の音が消えてしまいます。ノイズ扱いされるためです。
そこで、いったん音声フィルターを削除(またはOFFに)してみましょう。
- 「音声ミキサー」の「マイク」上で右クリックする。
- 「フィルタ」をクリックする。
- 左側に「ノイズ抑制」などがある場合は削除する(または目のアイコンからOFFに)。
- 「閉じる」をクリックする。
プッシュツートークを無効にする
プッシュツートークは、ボタン(ホットキー)を押しているあいだだけ音が入るようにする機能です。
同機能を有効にした状態だと、ボタンを押していないときは音が入りません。したがって、これが原因でマイク音が入らないケースがあります。
同機能を無効にしましょう。
- 「設定」→「音声」の順にクリックする。
- 「マイク」の「プッシュツートークを有効にする」のチェックを外す。
- 「OK」をクリックする。
マイク音量が小さいだけかも
これもよくあるケースですが、マイクの音が小さすぎるのかもしれません。
たとえば、レベルメーター(緑色の部分)が左端で小さく動いているだけなら音量が小さすぎます。
配信中、自分の声がBGMによってかき消され、マイク音が(小さく入っているのに)まったく入っていないと視聴者に誤解されるケースがあります。BGMを止めてマイク音を確認してみてください。
マイク音量を大きくする方法については、下記ページにまとめました。
Windowsの設定
マイクを有効にする
使用したいマイクがOBS側で選択肢として表示されず、選べない場合、Windows側でマイクを有効にする必要があります。
まずは、以下の方法でWindowsのサウンド設定の画面を開いてください。
- マイクをPCに接続する。
- Windowsキー + Rキーを押す。
- 「mmsys.cpl」と入力し、「OK」をクリックする。
- 「録音」タブを開く。
そして、マイクを有効にするわけですが、(1)絵が半透明である場合と、(2)絵が表示されていない場合とで、対処法が異なります。
絵が半透明の場合は、その項目上で右クリックして「有効」を選択しましょう。
絵が表示されていない場合は、ウィンドウ上の適当な場所で右クリックし、「無効なデバイスの表示」をクリックします。すると、マイクの絵が表示されます。
マイクミュートを解除する
Windows側でマイク音量がミュートになっていると、OBSでもマイク音が入りません。
- さきほどのサウンドの設定画面を開く。
- 「録音」タブを開く。
- 使用するマイクをダブルクリックする。
- 「レベル」タブを開く。
- マイク音量がミュートになっている場合は、ミュートを解除する。
マイクへのアクセスを許可する
たまにあるのがこのパターンです。
OBSがマイクにアクセスできる設定になっていないと、自分の声をマイクに入れてもOBSが反応しません。
そこで、OBSがマイクにアクセスできるように、Windows側の設定を変更しましょう。
Windows 11
- 「スタート」ボタン上で右クリックし、「設定」を選択する。
- 「プライバシーとセキュリティ」を選択する。
- 「マイク」を選択する。
- 「マイクへのアクセス」、および「アプリにマイクへのアクセスを許可する」をONにする。
- 画面を下にスクロールし、「デスクトップ アプリにマイクへのアクセスを許可する」がONになっていることを確認する。
Windows 10
- 「スタート」ボタン上で右クリックし、「設定」を選択する。
- 「プライバシー」を選択する。
- 左メニューから「マイク」を選択する。
- 「アプリがマイクにアクセスできるようにする」をONにする。
Bluetoothに注意
もしBluetoothヘッドセットを使用しているのであれば、ひとまず以下のように設定してください。
- 右下のスピーカーアイコンをクリックする。
- 「ヘッドセット (xxx Hands-Free AG Audio)」をクリックする。
- OBSを再起動する。
▲ポイントは、「Hands-Free AG Audio」が入っているものを選ぶ点です。「Stereo」が入っているものを選ぶわけではありません。
このあたりの詳細については、下記ページに情報をまとめました。
物理的な問題
マイクを適切に接続する
きちんとマイクがPCに接続されているでしょうか。
接続が甘くなっていたり、マイクとPCの接続方法をまちがえている可能性もあります。3極と4極の区別など、じつは複雑な部分もあるので注意してください。
また、マイクは基本的にキャプチャーボードに接続しません。
もちろん、それでもよい場合はあるのですが、通常はPC(またはオーディオインターフェイス)に接続しましょう。そのほうがメリットが多いからです。
マイクのスイッチを切り替える、ボタンを押す
マイクにON/OFFスイッチが付いているタイプの場合は、ONに切り替えます。
また、マイクによってはミュートボタンを搭載しているものもあります。ミュートになっているのであれば、ボタンを押してミュートを解除しましょう。
近年のUSBマイクなどは、本体前面にミュートボタンがあるかもしれません。
周辺機器側でマイク音量を調節する
オーディオインターフェイスを使用している場合、そちらのほうでマイク音量を調節します。
たとえば、AG03であれば(1)フェーダーと(2)「GAIN」ツマミを使って調節します。
ファンタム電源をONにする
オーディオインターフェイス、およびコンデンサーマイクを使用している場合は、オーディオインターフェイス側でファンタム電源(+48V)をONにします。
マイクを変更する
マイクが故障しているかもしれません。ほかにマイクがあるなら、それを使ってみてください。
レベルメーターの確認が重要
OBSの「音声ミキサー」部分でレベルメーターを確認してみましょう。
基本的に、自分の声に合わせてレベルメーターが動いていれば、配信でもマイク音は流れます。
- 動いている → 視聴者にも聞こえる(例外あり)
- 動いていない → 視聴者には聞こえない
例外として、「レベルメーターは動いているのに視聴者にはマイク音が聞こえない」というケースがあります。
その場合は、音声モニタリングの設定と、音声トラックの設定を確認しましょう(上述)。
Tips
マイクが入っているかどうかの確認は、配信して視聴者にチェックしてもらうのが確実です。しかし、OBSの録画機能を使えば、自分だけでも確認できます。
もっと基本的な確認を行いたい場合は、下記ページをご覧ください。OBSを使わずにマイクの録音テストができます。
2006年から15年以上、ゲーム実況のやり方の解説記事を書いています。書いた記事数は1,000本以上。ゲーム配信、ゲーム録画、動画編集の記事が得意です。
記事はていねいに、わかりやすく!ゲーム実況界の教科書をめざしています。